コロナウイルスの流行などを背景に、お葬式は「火葬式」や「直葬」といった最小限の内容で執り行う傾向にありました。しかし、コロナ禍の収束に伴い、親しい方たちとお別れの時間を過ごす「家族葬」を検討される方が徐々に戻ってきました。
葬儀社や葬儀式場をインターネットで検索すると、広告や検索結果に表示される「小さなお葬式」と「よりそうお葬式」。
価格や内容・評判が気になる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、両社のサービスの特徴・違いの説明、プランの比較に加え、プラン選択時のポイントをお伝えします。家族葬を検討する際にお役立ていただけると思いますので、最後までご覧ください。
目次
小さなお葬式・よりそうお葬式とはなにか?
テレビCMでも目にする機会の多い、「小さなお葬式」「よりそうお葬式」はどのようなサービスなのでしょうか。サービス概要と、それぞれの特徴について解説します。
両社は葬儀のインターネット仲介会社
両サービスは、葬儀社や葬儀式場をお探しの方に、提携する葬儀社を紹介する「仲介会社」です。自社で運営するコールセンターがご遺族の状況や要望を聞き取り、現地の提携葬儀社へ施行を委託します。エアコン修理や水漏れトラブルの際に、自宅に近い地元の業者さんが来てくれる経験を思い出していただくと分かりやすいと思います。
両サービスとも、各社が独自に考案したオリジナルプラン(パッケージなどとも言われます)があり、委託を受けた葬儀社はその内容に沿って、決められた価格で葬儀を執り行います。統一のプラン・価格を設定することで、かつて青天井と言われた葬儀費用に対するご遺族の不安を払拭し、安心して葬儀を依頼できるように考案されたサービスです。
小さなお葬式の特徴
「小さなお葬式」は、株式会社ユニクエストが運営しています。「小さなお葬式♪」というメロディが印象的なテレビCMをご覧になった方も多いのではないでしょうか?
ホームページにも記載の通り「受注実績が6年連続No.1」であることから、実績や件数が豊富な点が安心につながります。経営母体や子会社に大手葬儀企業がいることから、葬儀・終活ビジネス全般に対する造詣が深く、幅広いサポートを受けられる点も特徴です。
よりそうお葬式の特徴
一方、『よりそうお葬式』は株式会社よりそうが運営しています。最近では、武田鉄矢さん・吉谷彩子さんが出演するテレビCMが幅広い世代に好評です。「プラン代金の返金保証」や「お別れ演出」などの独自サービスを打ち出している点が特徴です。「お客様満足度94%」とホームページに謳われていることからも、サービス品質が多くの支持を集めている理由の一つなのではないでしょうか。
小さな家族葬とよりそう家族葬の比較
「小さなお葬式」・「よりそうお葬式」には、幅広いお見送りの形式に応えられるように、複数のプランが用意されています。今回は、両サービスが共に打ち出している「家族葬」について比較します。
家族葬とはなにか?
両サービスの比較の前に、「家族葬」について簡単におさらいしましょう。解釈や定義はさまざまですが、基本的に「故人と親交のあった親族・近親者などの少人数が参列し営まれる葬儀形式」を指します。対比される概念として、近所の方や仕事上の関わりがあった方(=一般の方)も参列する「一般葬」があります。
「家族葬」は、「一般葬ほど豪華なご葬儀は不用だけれど、親しい人たちで最後のお別れの時間をゆっくりと過ごしたい」という、葬儀の合理化の流れの中で登場した比較的新しい葬儀形式です。
小さな家族葬とは?
「小さな家族葬」は「小さなお葬式」のプランの一つで、通夜・告別式を二日間に分けて執り行います。10名から30名程度の親しい方の参列を想定したプランです。
よりそう家族葬「二日プラン」とは?
「よりそうお葬式」では、「一日プラン」・「二日プラン」・「華やか二日プラン」の総称を「家族葬」と呼んでいます。この中で、「小さな家族葬」に相当する通夜告別式を執り行うのは「二日プラン」です。
比較1.価格の違い
まずは、それぞれのプランについて価格を比較します。
サービス | 小さな家族葬 | よりそう家族葬「二日プラン」 |
---|---|---|
通常価格 ※( )内は税込価格 |
449,000円 (493,900円) |
399,000円 (438,900円) |
事前割引適用価格 ※( )内は税込価格 |
399,000円 (438,900円) |
369,000円 (405,900円) |
額面のみを比較した場合、通常価格・割引適用価格いずれも「よりそうお葬式(二日プラン)」が安価と言えます。後述しますが、プランに含まれているサービスや物品に目立った大きな違いはないため、金額的なメリットを重要視する場合は、よりそう家族葬「二日プラン」に軍配が上がります。
尚、両サービスとも、事前に顧客登録をすることによるお得感を演出しています。事前登録で費用が掛かるわけではありませんので、大切な方やご自身のことが心配な方は、なるべく早いタイミングから葬儀・終活について情報収集されることをお薦めします。
比較2.プランに含まれる物品やサービスの違い
続いて、両プランに含まれる物品やサービスについて比較していきましょう。プランに含まれている内容は共通するものが多いので、「共通するサービス・物品」と「異なるサービス」に分けて比較します。
サービス | 小さな家族葬 | よりそう家族葬 「二日プラン」 |
---|---|---|
共通するサービス・物品 | ・寝台車 ・預かり安置(4日分) ・ドライアイス(4日分) ・枕飾り一式 ・手続き代行 ・棺一式(標準サイズ) ・納棺 ・仏衣一式 ・生花祭壇 ・遺影写真(2サイズ) ・焼香用具 ・仏具一式 ・運営スタッフ ・付き添い安置(告別式前日の一泊分) ・受付セット ・会葬礼状(30枚分) ・運営スタッフ ・収骨 ・骨壷・骨箱・骨覆 ・後飾り祭壇 |
|
異なるサービス①:式場利用料 | 100,000円(税込)まで | 50,000円(税込)まで |
異なるサービス②:お別れ演出 | なし | メモリアルコーナー 遺影花飾り ラストメッセージ |
異なるサービス③:会葬礼状 | 60枚 | 30枚 |
異なるサービス④:生花祭壇 | 幅2メートル2段 | 1段目:2メートル 2段目:1.6メートル 3段目:50センチメートル |
どのような印象を持たれたでしょうか?細かな差はあるものの、依頼先を絞り込むための圧倒的な決め手は無いと感じた方が多いのではないでしょうか。
強いて挙げるとすれば、式場利用料に50,000円(税込)の差がある点です。通常、葬儀を執り行うための式場は利用料が決まっています。最近ではプラン内に含まれていることが多く、あまり意識することが少ないのですが、要は場所を借りるための費用だと考えてください。
式場利用料が記載額を上回った場合は自己負担(実費)となり、別途支払いが必要になります。利用する斎場・式場によっては「小さなお葬式」の方がお得と言えるでしょう。
比較時に注意するべきポイント
ここまでは、各サービスのホームページに記載されている数字やサービスを中心に比較してまいりました。最後に、それらを比較・検討する際に大切なポイントについて解説いたします。
ポイント1.単純に価格だけを比較しない
これまでの比較を踏まえると「よりそう家族葬(二日プラン)」がやや、コストの面で優勢です。さらに、よりそうのプランには、メモリアルコーナーやラストメッセージなどの演出も付いています。したがって、単純な支払額のみで比較検討したい方には「よりそう家族葬」がお薦めと言えます。
しかし一方で、価格が安いということは、それだけ葬儀社側の取り分が少なくなります。ユーザーから見た場合はお得に感じますが、葬儀社からすると「儲けの少ない仕事」と言い換えることができます。
もちろん、提携している葬儀社のほとんどが、価格や仕事の流入先でお客様を差別することはしません。ただ、葬儀社側もコストを最大限節約するための策を考えますので、「葬儀費用の安さ」は、葬儀社側のコスト圧縮に転嫁される可能性がある点も踏まえ、比較検討されることをお薦めします。
ポイント2.希望エリア付近の提携葬儀社を確認する
双方のサービスを比較する際には、それぞれのサイト内にある「葬儀場を探す」ページを確認することをお薦めします。
両サービスとも、全国4,000ヶ所以上の提携斎場があると謳っていますが、実は片方としか提携していない斎場や、寺院なども含まれています。そのため、いざ依頼をしようと思っても、お住まいやお迎え先から遠い場所にある葬儀社を紹介されるケースがあります。その場合、追加搬送料が発生したり、親族が集まりにくいなどのデメリットが生じます。
また、「小さなお葬式」や「よりそうお葬式」からの依頼実績が少ない葬儀社は、それぞれのサービスや仕様に慣れていない・理解に乏しいというリスクもあります。事前に、希望するエリアに提携斎場が存在するかどうかを調べておくようにしましょう。
ポイント3.提携葬儀社の評価を確認する
前述の提携斎場を確認する際、提携葬儀社の評価(口コミ)が記載されていることがあります。その内容にも一通り目を通すことをお薦めします。評判は、ご遺族と担当者の相性によって変わりますので一概に評価・判断はできません。ただ、口コミの中に、ご自身やご遺族との相性が悪そうな点がないかを事前に確認しておくことが大切です。
まとめ
「小さな家族葬」と「よりそう家族葬(二日プラン)」を比較してまいりました。価格やプランに含まれるサービスに大きな差がないことから、最終的な判断は、ご遺族と紹介を受けた葬儀社・担当者との相性の見極めが重要です。
しかし、事前に比較検討する際のポイントとして、価格と品質のバランス・葬儀社が依頼内容に慣れているかどうかという点も考慮いただくと、より現実味のある比較検討ができると思います。詳細な数字は公表されていませんが、「小さなお葬式」の年間葬儀施行件数は、「よりそうお葬式」の約4倍~5倍とも言われています。提携している葬儀社がプラン内容を理解し、品質が安定している可能性を考慮すると、まずは「小さなお葬式」へお問い合わせいただくことをお薦めします。
※その他のプランの比較はこちらをご覧ください。
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