皆さんこんにちは、税理士の秋山です。
今日は、子供に車や家をプレゼントしても贈与税がかからない、お得な方法!というお話をします。
まず、今回の話の結論から申しますと、子供に車や家を買ってあげても、子供に贈与税が課税されない方法というのは、車や家を購入した際に名義を親のものにする、というのもです。
どういうことか説明していきますね。
先日、相続税の相続相談のなかで、お客さんから
「子供に車を買って欲しいとせがまれているんですけど、私が子供の車を買ってあげたら子供に贈与税がかかりますよね?」
という相談をうけました。
そこで私が、いくらくらいする車ですか?と聞くと、国産で300万円程の車だそうです。
もちろん、親御さんに車を買ってあげられる余裕があるなら、親のお金で子供にプレゼントしてはいけない、ということはないんですが、この場合、みなさんご存知のように、車を買ってもらった人に対して年間110万円の基礎控除を超える部分に、ばっちりと贈与税がかかってしまいますよね。
ではもし、親が子供に300万円の車を買ってあげたら、車をプレゼントされた子供さんは、どれ位の贈与税を払わなければいけないのか、計算してみましょう。
まず、贈与税の税率には、一般贈与の税率と特例贈与の税率がありまして、下の画像のように直系尊属からもらう贈与は若干低いんです。
今回もらう贈与は、親から子。
つまり、直系尊属からもらう贈与になりますから、特例贈与の税率にあてはめますと、300万円から贈与税の基礎控除である110万円を引いて、そこに10%の贈与税率を掛けますと、子供が払う贈与税は19万円になります。
ですので、この相談者の方の子供さんの場合、車を買ってもらった翌年の確定申告の時期に、贈与税の申告をして19万円を収める必要があります。
税金で19万円と言えば結構な額ですよね。
車を買ってもらった子供さんが、19万円を自分で払えたらいいんですが、19万円なんてお金はない。
ということで、贈与税のお金も親に出してもらったら、今度は19万円の贈与を受けてしまったことになるんです。
子供さんからすれば、車は欲しいけどお金がない、親が車を買ってあげると言っているけれど、贈与税を払うお金もない。
このような場合、みなさんならどうしたら良いと思われますか?
答えは簡単です。
親名義の車を子供が乗り回せばいいんです。
親が自分の名義で300万円の車を買って、それを子供が使えば、この車は子供が親から買ってもらったものではなくて、親のものを単に子供が使わせてもらっているだけですから、贈与税はかかりません。
税務署が、親名義の300万円の車を子供が乗り回しているという情報を掴んだとしても、これは贈与には当たりませんから、税金がかけられることはありません。
さらにもうひとつ。
子供が住む家の購入資金を、親が出してあげる場合なんですが、子供や孫が家を建てる場合の贈与については、住宅取得資金の贈与、という特例があります。
この特例を簡単に説明しますと、自分が住むために用いる家屋の取得、改築又は増改築の対価に充てるための金銭を、祖父母や両親から贈与を受けた場合、贈与を受けた金額の2500万円までが非課税となる制度です。
下の図のように、贈与を受けた年度や住宅の種類によって非課税枠が異なりますので、この特例の利用を考えている方は注意をしてください。
しかしですね。
これも前半で説明した車の話と同じことが言えるんです。
住宅取得等資金の贈与という制度を活用して、親が子供の住宅資金を出してあげるのも良いんですが、先ほどの車の時と同様、お金を出してくれる親名義で家を建ててから、そこに子供が住めばいいんです。
こうすれば住宅取得資金贈与の手続きや、贈与税の申告等を行う必要がないんです。
家の表札に子供の名前を掲げたとしても、そもそも家は親のものなんですから、贈与の対象にはなりません。
さらに親名義で家を買った場合には、将来親が亡くなった時の相続税を減らすこともできるんです。
なぜ親名義で家を買う事が、将来の相続税の節税になるのか、というところなんですが、車や家は、買った時から年数が経つごとに、どんどん価値が下がっていきますよね。
相続税は、亡くなった方が持っていた財産額が多いほど高くなりますから、財産の価値が下がれば、それに伴って相続税が減ることになるんです。
ではここからは、子供が住む家を親名義で建てた場合、将来親が亡くなった時に相続税がどれくらい節税できるのか、について具体的な数字を出して解説していきますね。
まず亡くなった方の相続税がどれぐらいになるかというのは、亡くなった方の財産や財産を相続できる権利がある法定相続人の人数によって全く違ってきますので、今回は親の財産は1億円で、親が亡くなった場合の法定相続人は子供二人だったと仮定して話を進めていきますね。
ちなみに、相続税の計算式は複雑なので計算過程は省いて、結果だけお伝えするようにします。
さて、ではもし、親が子供のために家を建てることなく亡くなった場合の相続税ですが、親の財産は子供のために、家も何も購入しておらず1億円のままですから、残された相続人が支払う相続税は770万円となります。
次に、親が自分名義の家を3000万円で建てて、そこに子供を住まわせた場合なんですが、まずこの時点で親の持っている財産は、子供が住んでいる3000万円の家を含めて、1億円ですね。
この場合、将来の相続税がいくらになるかなんですが、親が亡くなった時点で子供が住んでいる、親名義の家の価値が1800万円下がって、1200万円になっていましたら、親の財産は、1億円から8800万円まで減ったことになります。
この場合、親の財産8800万円にかかる相続税は590万円になるんです。
つまり今回お話したケースの場合、親が建てた親名義の家に子供が住むことで将来的な相続税を180万円減らすことができたんです。
どうでしょう、親が3000万円で建てた家に、親名義のまま子供が住むのなら、贈与税を支払う必要は全くありません。
そして将来、親が亡くなった時に家を相続すれば、家の価値は3000万円よりもグッと下がっているでしょうから、親が3000万円を預金のまま持って亡くなった場合よりも、支払う相続税が安くなります。
この話は、別に親から子供への場合に限ったことじゃありません。
祖母の名義で家を購入してもらい、孫がそこに住むことで、孫は贈与税を払うことなく新しい家に住むことができるんです。
車も家も、購入した時点から年数が経てば経つほど価値が下がりますので、おじいちゃんおばあちゃん、お父さんお母さんが元気なうちに購入して、それを子供や孫に使わせてあげるというのは、将来の相続税の節税にもつながり、経済の活性化にもつながります。
まさに一石二鳥なんです。
ちなみにですが、学費や結婚資金を、おじいちゃんやおばあちゃんまたは、お父さんやお母さんから銀行などの金融機関を通して、一括で子供に援助をする、教育資金の一括贈与、結婚・子育て資金の一括贈与、という特例もあるんですが、贈与をする人がまだまだお元気なようでしたら、わざわざ特例を使って事前にごっそりお金を贈与してあげなくても、学費が必要になった時や、結婚をする時にその都度お金をあげれば贈与税もかかりませんし、銀行への申請も必要ありません。
あなたがまだ小さい頃、学費や食費、洋服代なんかを、お父さんお母さんまたは、おじいちゃんおばあちゃんから出してもらっていたと思いますが、税務署からあなたのもとに贈与税を払ってください、って連絡は来ませんでしたよね。
税務署は、父母・祖父母が扶養の義務の範囲内で出したお金には、お金や物を受け取った人が未成年とか成年とかに関係なく、もともと贈与税をかけていないです。
最後に今回の動画の内容をまとめますと、もし親から子供、祖父母から孫に対して、車や家を援助してあげる場合には、祖父母や父母が自分名義で購入したものを、名義変更をせずに子供が使えば、子供に贈与税は一切かかりませんし、購入者である祖父母や親の将来の相続税を減らすこともできるんです。
車や家を買った時の名義が祖父母・父母でも、子供が使う時に子供名義にしてしまうと贈与税がかかりますので、あくまでもおじいちゃんおばあちゃん、あるいはお父さんお母さん名義のままで子供が使う、ということを覚えておいてください。
ただ、子供や孫が複数いる場合は、兄貴だけ家を建ててもらったとか、他の子供から苦情が出ないように、他の子供にも同じように家を建ててあげる、などの配慮は必ずするようにしてください。
一人だけ、えこひいきをすれば将来相続争いになる可能性もありますからね。
また、今回のテーマについてや、それ以外の相続や贈与のことについての疑問や質問がありましたら、この動画のコメント欄にコメントをいただければ、出来る限り返信をさせていただきたいと思います。
今日は、子供に車をプレゼントしても贈与税がかからないお得な方法というお話をしました。
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以上です、ありがとうございました。
秋山清成
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