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【悲しみをひとりで抱えないで】大切な人を亡くした悲しみを和らげるグリーフケア入門

アイキャッチ

親や配偶者など身近で大切な人を亡くすことは、人生でもっとも辛い経験の一つです。深い悲しみによって心に大きな穴が空いてしまったように感じ、どう対処していいかわからなくなる方も多いでしょう。それは誰にでも起こり得るごく自然な反応です。本記事では、40~60代でご家族を亡くされた方に向けて、グリーフケア(悲嘆ケア)の基本と心の変化、自分を責めないための心構え、そして全国で利用できる支援窓口や同じ経験を持つ人との交流の場、日常生活でできるセルフケアの方法を温かい視点でお伝えします。辛いお気持ちに寄り添いながら、少しでも心が軽くなるヒントや支えとなる情報を提供できれば幸いです。

グリーフケアとは何か?基本的な考え方と心理的背景

ハート

「グリーフ(grief)」とは「悲嘆」を意味し、大切な人や存在を失ったときに生じる深い心の痛みや様々な反応のことです。身近な人との死別に直面すると、寂しさや悲しさに押しつぶされそうになり、心だけでなく体にも行動にも変化が現れます。こうした喪失に対する人間として自然な反応こそがグリーフであり、その深い悲しみに寄り添い、癒やしていく取り組みが「グリーフケア」です。

グリーフケアの背景には心理学や精神医学の研究もありますが、何より大切なのは「悲しみは人それぞれ」だという基本的な考え方です。喪失体験の種類や状況は様々で、たとえば長年連れ添った配偶者を亡くして伴侶という役割を失うこともあれば、介護の末に親を看取った後に虚しさや自尊心の喪失を感じることもあります。反応の現れ方も人によって大きく異なり、涙が止まらなくなる人もいれば全く涙が出ない人もいます。どちらが良い悪いということは決してありません。涙が出たなら「やっと気持ちを緩めることができた」と自分をいたわり、涙が出ないなら「しっかりしなければと自分を支えている反応かもしれない」と考えてみてください。どのような悲しみ方にも「正解」や「間違い」はなく、そのときその人に必要な反応が起きているだけなのです。

大切な人との別れによる悲しみは、決して否定すべきものではありません。グリーフケアでは、「悲しむ」という行為を「失われた対象(故人)をもう一度抱きしめ直す営み」と捉えます。悲しむことで改めて故人の存在の大きさを心に刻み、思い出をかみしめる。それによって故人との絆は心の中で生き続け、残された人の支えとなっていきます。悲しむことは故人への深い愛情の証でもあり、決して悪いことではありません。どうかご自身のペースで、十分に悲しむことを自分に許してあげてください

遺族が直面する典型的な心の変化(悲しみ・怒り・罪悪感・抑うつなど)

落ち込む男性

死別直後からしばらくの間、心にはさまざまな変化が起こります。その感情の波は行きつ戻りつしながら押し寄せ、時に自分でも制御できないほど激しくなることもあります。ここでは遺族の方が抱きやすい典型的な感情や心身の反応をいくつか挙げてみましょう。

深い悲しみ・絶望感

愛する人を失った直後は、まるで「心の一部がもぎ取られたような」強烈な喪失感に襲われます。涙が止まらない、胸が張り裂けそうな悲痛、世界が灰色に見えるような絶望感…。これはごく自然な初期反応であり、多くの方が経験するものです。感情や思考が麻痺し、自分ではないような感覚になることもあります。

怒り

悲嘆には大小問わず「怒り」の感情がつきまといます。たとえば「なぜ自分だけこんな目に遭うのか」「あのとき医者がもっと手を尽くしてくれていたら…」など、理不尽さへの怒りが湧くことがあります。怒りの矛先は様々で、時に亡くなった本人や周囲の人、あるいは運命そのものを責めたくなるかもしれません。これは誰もが持ち得る不公平感への自然な反応です。また、他人には向けられない怒りが自分自身への苛立ちとなって現れることもあります。怒りは悲しみと表裏一体の感情であり、抱いてしまう自分を責める必要はありません

罪悪感・後悔(自責の念)

「もっとあの時こうしていれば…」「私のせいで亡くなったのでは…」という強い後悔や罪悪感に苛まれる方も少なくありません。愛する人を亡くした遺族の声には、こうした「自分を責める」思いが非常に多く聞かれます。自責の念とは、過去の出来事に対して自分を責めてしまう感情で、喪失による悲しみを経験する人にはごく一般的なものです。特に死別直後から数ヶ月の間は、「自分だけ生き残って申し訳ない」という生存者の罪悪感や「自分のせいで死なせてしまった」という因果的な罪悪感が強く出やすいと報告されています。しかし多くの場合、そうした罪悪感は時間とともに少しずつ和らいでいきます

抑うつ(落ち込み)

深い悲嘆は心のエネルギーを奪います。何もやる気が起きない、日常生活に支障が出るほどの無気力や絶望感に陥ることもあります。食欲がなくなったり眠れなくなったりといった身体症状も現れ、まるで心身ともにうつ病のような状態になることも珍しくありません。悲しみが強い間は誰でも一時的に抑うつ的になりますが、これは正常なグリーフ反応の一部です。周囲から見ると元気がなく心配かもしれませんが、焦らず見守ることが大切です。

混乱・不安・孤独感

愛する人が突然いなくなった現実を受け入れられず、現実感がない混乱状態になったり、将来への不安や強い孤独に襲われることもあります。たとえば「まだどこかに生きている気がする」「この先ひとりで生きていけるのか」など、心が乱れて落ち着かない状態になるでしょう。記憶力や判断力が一時的に低下し、日常の些細なことが手につかなくなる場合もあります。こうした精神的ショック状態も、死別後には誰にでも起こり得る反応です。

以上は典型的な例ですが、実際には複数の感情が同時に、あるいは次々と押し寄せたり、波が引いたと思ったらまたぶり返したりします。たとえば最初は実感が湧かず茫然としていた方が、しばらくして怒りや後悔に苦しむようになり、さらに数カ月後にまた深い悲しみに沈む…といった具合です。こうした感情の揺れ戻しは自然なことであり、決して「弱いから」起こるのではありません。悲しみの波は寄せては返すものだと理解し、長い目でご自身の心と付き合ってください。

「自分を責めない」ための心構えとアドバイス

クローバーと青空

愛する人を失ったとき、多くの方が「自分のせいではないか」「もっとできることがあったはずだ」と自分を責める気持ちを抱えがちです。しかし繰り返しお伝えしてきたように、死別は決してあなたのせいではありません。ここでは「自分を責めない」ための心構えについて、いくつかアドバイスを差し上げます。

まず知っておいていただきたいのは、取り乱したり後悔に苛まれたりするのは深い悲しみがもたらす一時的な反応であり、「本来の自分とは違う状態」だということです。取り乱してしまう自分、弱って何もできない自分に直面すると、「しっかりしなきゃ」「情けない」と責めたくなるかもしれません。しかし、そんな自分をどうか責めないでください。「人生の一大事なのだから、うまくできなくて当たり前」と開き直って、悲しみに身を任せるくらいの気持ちでいいのです。あなたが感じている混乱や無力感は、計り知れない喪失の大きさに対する自然な反応です。自分を責める必要はまったくありません

また、罪悪感や後悔の念については「それだけ故人を大切に思っていた証拠」だとも言えます。深い愛情があったからこそ、「もっと〇〇してあげればよかった」と悔やむのです。裏を返せば、あなたは精一杯のことをしてきたからこそ今その後悔が浮かぶとも言えます。過去を振り返れば誰しも完璧ではありませんが、ぜひ「あの時の自分も今の自分も、その時々で最善を尽くしていたはずだ」と認めてあげてください。過去の選択を否定せず、今ここに自分がいることに感謝する――そうした自己肯定の姿勢が、心の健康を守り前向きに生きる力を育んでくれます。

時間の経過とともに、当初の荒波のような感情は少しずつ和らいでいきます。しかし、人によっては悲しみが薄れてきたころに「故人を忘れてしまうようで申し訳ない」と、新たな罪悪感に襲われることもあります。これも遺族の方にはよくあることです。そんなときはどうか思い出してください。グリーフケアにおける「回復」とは、悲しみが完全になくなることではなく、悲しみと共存しながら新しい生活の意味や役割を見出していけるようになることです。悲しみが癒えていくことに後ろめたさを感じる必要はありません。むしろ、日常生活を取り戻し、喜びや楽しみを感じることを自分に許すことが、故人から託された人生を生きる上で大切なのです。どうかご自身に笑顔や幸福を受け入れることを許可してあげてください。

最後に、自責の念や落ち込みがあまりに強く、日常生活が立ちゆかなくなるほど辛いときは、ぜひ周囲の助けを借りてください。自分ひとりで抱え込む必要は全くありません。「助けて」と言うのは弱さではなく、生きようとする勇気です。次章以降で、公的機関や専門家、民間団体など頼れる支援先を紹介しますので、必要に応じて遠慮なく手を伸ばしてください。

全国で利用できる支援窓口(自治体の相談窓口、NPO、医療機関など)

相談窓口

深い悲しみを乗り越えるには時間がかかりますが、一人で抱え込まないことが何より大切です。身近に相談できる家族や友人がいれば理想的ですが、それが難しい場合でも全国には様々な公的・民間の支援窓口があります。ここでは代表的な相談先の例を挙げます。

自治体の相談窓口(公的機関)

お住まいの自治体には、心の健康に関する専門機関があります。例えば各都道府県・政令市の精神保健福祉センターや、各市区町村の保健所・保健センターでは、臨床心理士や保健師による相談を受け付けています。気持ちの落ち込みや不眠などが続いて日常生活に支障が出てきたと感じたら、遠慮なくこうした窓口を利用してください。相談は無料・秘密厳守で、本人からでも家族からでも可能です。どこに相談すればよいかわからないときは、まずは自治体の窓口に問い合わせてみるとよいでしょう。例えば名古屋市では精神保健福祉センターが窓口となり、適切な相談先を一緒に考えて案内してくれるといいます。お住まいの地域の役所や保健所に問い合わせれば、きっと力になってくれるはずです。

民間の相談ダイヤル・ホットライン

民間団体による電話相談も心強い存在です。代表的なものの一つが、一般社団法人社会的包摂サポートセンターが運営する「よりそいホットライン」です。よりそいホットライン(フリーダイヤル:0120-279-338)は24時間365日、どんな困りごとでも受け止めてくれる全国共通の電話相談です。死別の悲しみについて話すことももちろん可能で、専門の相談員があなたの声に耳を傾け、必要に応じて適切な支援先を紹介してくれます。また、特定のテーマに特化した相談窓口もあります。例えばNPO法人全国自死遺族総合支援センター(グリーフサポートリンク)では、自死(自殺)で大切な人を亡くした遺族のための電話相談を実施しています。訓練を受けた相談員が対応し、毎週決まった日時に専門ダイヤル(☎03-3261-4350)でじっくり話を聞いてくれます。このように、あなたの状況に合った相談先がきっと見つかるはずです。

参考 よりそいホットライン一般社団法人社会的包摂サポートセンター

参考 NPO法人全国自死遺族総合支援センター(グリーフサポートリンク)NPO法人全国自死遺族総合支援センター

医療機関・専門家によるカウンセリング

精神科や心療内科、臨床心理士のカウンセリングも検討してください。悲しみが長引いてうつ病や体調不良につながっている場合、医師による治療やカウンセリングが有効なこともあります。近年では「グリーフケア外来」を設置する病院も出てきました例えば名古屋市立大学病院のグリーフケア外来では、公認心理師・臨床心理士による個別のグリーフ・カウンセリングを受けられます。医療機関によっては同じ境遇の人同士が集まるサポートグループ(後述)を開催している場合もあります。身近に専門の外来がなくても、かかりつけ医や地域の心療内科に相談すれば、必要に応じて専門カウンセリングや服薬などの対応を取ってもらえます。心や体の不調が深刻な場合は、我慢せず専門家の力を借りることも自分を守る大事な方法です。

その他のNPO・支援団体

上記以外にも、全国にはさまざまなNPOや民間団体がグリーフケアの支援活動を行っています。例えば「グリーフケア・サポートプラザ」(東京都)や「グリーフケアふくい」(福井県)など、地域で遺族の集いを主催したり相談を受け付けたりしている団体があります。また、子どもを亡くした親御さんや若くして配偶者を亡くした方など、境遇ごとに特化した支援団体も存在します。たとえば病気や事故、自死で親を亡くした子どもを支える「あしなが育英会」のように、対象者に応じた支援を提供する団体もあります。お住まいの地域名と「グリーフケア」「遺族支援」等のキーワードで検索すると、適切な団体が見つかることも多いです。公的機関だけでなく、こうした民間の力もぜひ活用してみてください。

このように、全国規模で利用できる支援先は数多くあります。相談することにためらいを感じるかもしれませんが、「あなたはひとりではありません」。困ったときには手を差し伸べてくれる人や組織が必ずいます。電話やメールで話すのが難しければ、対面で話を聞いてくれる場もあります。次の章では、同じような経験を持つ人と直接つながり、支え合う場について見てみましょう。

参考 自死(自殺)遺族支援のためのNPO法人グリーフケア・サポートプラザNPO法人グリーフケア・サポートプラザ公式ホームページ

参考 グリーフケア福井 - griefcarefukui ページ!グリーフケア福井

同じ境遇の人とつながれる場(グループセラピー・分かち合いの会など)

お茶会

「自分と同じように大切な人を亡くした人」と出会い、語り合える場は、悲しみを抱える人にとって大きな心の支えになります。同じ体験をした人同士だからこそ、言葉にしなくても通じ合える思いや、共感し合える気持ちがあるものです。そうした場として代表的なのが、自助グループやサポートグループと呼ばれる集まりです。日本ではしばしば「分かち合いの会」とも表現されます。

自助グループ・分かち合いの会とは、共通のつらい経験をした人たちがお互いを支え合うために集う場のことです。遺族の自助グループでは、参加者全員が死別の悲しみを知っています。そのため、初対面でも自分の気持ちを安心して話しやすい雰囲気が生まれやすく、お互いに「わかってもらいたい・支えたい」という前提で成り立つ一種の心のシェルターのような場になります。他の参加者の話を聞くことで「自分だけじゃないんだ」「自分は異常ではないんだ」「自分は一人ぼっちじゃない」と感じられるようになり、孤独感が和らぐという大きな効果もあります。多くの参加者が「最初は勇気がいったけれど、参加して本当によかった」と口を揃えるほど、語り・聴き合う場の力は大きいのです。

分かち合いの会にはいくつか種類があります。自由に出入りできるオープン形式の会(例えば月に一度、誰でも予約不要で参加できる集い)もあれば、事前予約やメンバー固定で継続的に顔ぶれが同じクローズド形式のグループもあります。主催も様々で、NPOや宗教団体、病院、葬儀社などが提供している場合があります。グループによっては対象を配偶者を亡くした人限定子どもを亡くした親の会自死遺族の会などに特化していることもあります。自分の境遇に近い人たちの集まりを選ぶと、より共通の話題で共有しやすいかもしれません。

参加方法は各グループで異なりますが、最近ではインターネットで情報を発信している団体も増えています。NPO法人全国自死遺族総合支援センターのサイトでは、全国各地で開催されている遺族の集い(分かち合いの会)の情報を一覧で紹介しています。お住まいの近くで定期的に開催されている会や、オンラインで参加できる会も見つかるかもしれません。心の準備が整えば、ぜひ一度扉を叩いてみてください。「行ってみよう」と思えたときが、参加のちょうど良い時期です。無理に急ぐ必要はありませんが、タイミングが来たら恐れず参加してみましょう。

実際に参加してみると、思いのほか涙があふれて話せなかったり、他の参加者と自分を比べて落ち込んでしまったりすることもあるかもしれません。合わないと感じれば無理に続ける必要はありません。一方で、「話さなくても、ただ居るだけでも大丈夫」としている会も多くあります。最初は聞いているだけでも、同じ痛みを持つ人々の存在に触れることで心が軽くなることがあります。ぜひあなたに合った形で、ピアサポート(仲間による支え合い)を活用してみてください。

具体的な分かち合いの会の例として、いくつか紹介します。前述の名古屋市立大学病院グリーフケア外来では亡くなった方々の交流の場『サポートグループ』を定期開催しています。また、名古屋市の「ゆきあかりの会」は、大切な人を亡くした方が出会い、悲しみを分かち合い語り合う場として活動しています。その他、各地に「〇〇の会」と名付けられた遺族の集いがありますので、自治体の広報やインターネットで調べてみるのも良いでしょう。お一人で悩まず、「あなたの声を聴かせてください」というメッセージを受け取ってくれる場が必ずあります。

参考 グリーフケア外来 | ご利用案内名古屋市立大学病院

参考 ゆきあかりの会ゆきあかりの会

心の癒やし方と日常生活でできる具体的なセルフケア

セルフケア

グリーフケアは専門家や支援者から受けるものだけではありません。日常生活の中で自分自身をいたわるセルフケアもまた、心の癒やしにとても大切です。ここでは今日からでも実践できる具体的なセルフケアの方法をご紹介します。

1. 自分の感情と向き合う時間を持つ

忙しい日々の中でも、意識的に心の声に耳を傾ける時間を作りましょう。毎日でなくても構いません。朝の静かなひとときや寝る前など数分でもいいので、深呼吸をして今の自分の感情を見つめてみてください。感じていることをノートに書き出すのもお勧めです。不安や後悔、悲しみといったネガティブな感情も書いてみると、自分で客観視し受け入れやすくなる効果があります。言葉にすることで心の中が整理され、もやもやした気持ちに少し区切りをつけることができるでしょう。

2. 自分に優しく、いたわりの心を持つ

他人には優しくできても、自分自身にはつい厳しく当たってしまう人は多いものです。グリーフケアではまず「自分の心に優しく接する」ことを心がけてみてください。例えば落ち込んだときに「どうして私はこんなに弱いんだろう…」と自問するのではなく、「今の自分がこう感じるのにはちゃんと理由があるんだ」と受け止めてあげます。自分自身に理解と共感を向けることで、心は少しずつ軽くなり、自己受容の力が育まれていきます。辛いときは「これだけ悲しめるほど大切に思っていたんだ」と、自分の心の痛みを肯定してあげましょう。

3. 小さな楽しみや喜びを大切にする

深い悲しみの中にいると、大きな喜びを感じるのは難しいかもしれません。だからこそ、日常の些細な「ちょっとした楽しみ」を意識的に味わってみてください。例えばお気に入りの音楽を静かに聴く、庭やベランダの草花に水をやりながら眺めてみる、ゆっくりとお茶を飲んでみる、季節の空気を深呼吸して感じてみる…。そういった一瞬の中にも「ああ、少しホッとする」「きれいだな」と思える小さな幸せがあります。その小さな幸せが重なることで、心に大きな安らぎがもたらされ、気力が少しずつ湧いてくることがあります。笑顔になることに罪悪感を覚える必要はありません。故人もきっと、あなたが日常の中でほっと笑顔になる瞬間を望んでいるはずです。

4. 自分を肯定し、過去の自分を責めない

グリーフの過程ではどうしても「あのとき〇〇すべきだった」と自分を責めがちですが、セルフケアの一環として自己肯定の習慣をつけましょう。「あの時の自分も、今の自分も、その場その場で最善を尽くしてきた」と信じてあげることです。過去の選択を悔やみ続けるのではなく、「あの経験があったから今の自分がある」と受け止めなおしてみましょう。これは決して簡単なことではありませんが、過去の自分を否定しないことで心の健康は守られ、前に進む力が生まれてきます。少しずつでも自己肯定感を取り戻すことで、悲しみと付き合う心の筋力がついていくはずです。

5. 自然に触れてリフレッシュする

自然がもたらす癒しの力も活用しましょう。外に出る気力がないときもあるかもしれませんが、近所の公園で木々の緑を眺める、朝日を浴びる、夜空を見上げるだけでも構いません。風の音や鳥の声、土や草花の匂いに意識を向けてみると、不思議と心が落ち着いてきます。自然の中で深呼吸すると、日常の喧騒や心の重荷から一時的に解放される感覚を味わえるでしょう。可能であれば定期的に散歩をしたり、季節の移ろいを感じたりする習慣を取り入れてみてください。自然との触れ合いは心身のリフレッシュに大きな効果があります

これらは一例ですが、要は「自分を大切に扱う時間と習慣」を持つことがセルフケアの核心です。悲しみの渦中にいるとつい自分自身を後回しにしがちですが、だからこそ意識して自分の心と体を労わることが大切です。ゆっくりお風呂に浸かる、十分な睡眠をとる、誰かに遠慮せず泣ける時間を確保する、といった基本的なセルフケアも忘れないでください。また、「これは自分にとって心地よい」「癒される」と思えることは遠慮なく取り入れてください。趣味に没頭するのも良いでしょうし、亡くなった方との思い出の場所を訪ねてみるのも心の整理になるかもしれません。あなたの心が少しでも安らぐことなら、何でも立派なグリーフケアです。

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まとめ

笑顔の家族

最後に、グリーフケア全般に言えることですが、決して焦らないでください。周囲から「もう元気になった?」「いつまでも泣いていてはだめよ」などと言われ、プレッシャーに感じるかもしれません。しかし悲しみを癒すペースは人それぞれです。無理に「前を向かなきゃ」と自分を急かす必要はありません。悲しいときは思い切り泣いていいのですし、笑えるときは笑っていいのです。グリーフケアはあなたがあなたの歩幅で少しずつ進んでいくプロセスです。そしてその途中には、今回ご紹介したような様々な支えがあります。どうか一人で背負わず、周囲の支えや専門家の知恵を借りながら、ゆっくりと「悲しみと共に生きる道」を歩んでいってください。故人との絆はいつもあなたの心の中に生き続けています。あなた自身が心穏やかに日々を過ごすことこそ、何よりの供養であり、故人もそれを望んでいることでしょう。

あなたの悲しみはあなただけのものですが、あなたは決してひとりではありません。つらいときはいつでも手を伸ばしてみてください。その先には、必ず誰かの温かな手が待っています。

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