知っておきたい葬儀費用の相場。平均費用や内訳、賢い備え方まで徹底ガイド！

葬儀を前にして多くの人が直面するのが、「費用」の問題です。どのくらいの費用がかかるのか、どうすればコストを抑えられるのか、不安や疑問をお持ちの方も多いでしょう。この記事では、葬儀費用に関する具体的な情報を紹介します。

葬儀費用は実際どれくらいかかるの？

「葬儀って、実際どれぐらいの費用がかかるの？」そんな疑問をお持ちではありませんか？ほとんどの人にとって、葬儀を手配するのはそう何度もあることではありません。ですから、多くの人が具体的な費用については、よく分かっていないものです。この記事では、葬儀に関する費用について、できるだけわかりやすく、そして詳しく解説していきます。

さて、葬儀の費用について話をする前に、葬儀の費用に関する一般的な認識について触れておきましょう。「葬儀には莫大な費用がかかる」と耳にしたことがあるかもしれません。しかし、実際のところはどうなのでしょうか？

全国平均でみる葬儀の費用

2021年2月〜2022年5月に「小さなお葬式」を運営する株式会社ユニクエストが行ったアンケート調査によると、過去1年以内にもっとも行われた葬儀の様式は家族葬でした。（全体の65.5%）そして、家族葬の費用の全国平均は約110万円ということが分かりました。興味深いことに、葬儀の費用は近年、徐々に下降傾向にあります。その背景には、「コストを抑えた新しい葬儀の形式が増えてきている」、「葬儀社に一任するのではなく、自分たちでしっかりと検討を重ねる人が増えた」という事情があります。もちろん、110万円というのはあくまでも全国の家族葬の平均値であり、葬儀の規模や形式、地域によって費用は大きく変わります。

地域による葬儀費用の違い

地域によっても、葬儀費用の相場は大きく異なります。例えば、株式会社ユニクエストの調査によると、北海道・東北では平均113万円、関東地方では約121万円、中部地方で約116万円、近畿地方では約101万円、中国・四国地方では約107万円、九州地方では約91万円でした。一番費用が高かった関東地方と九州地方では約30万円の差があり、同じ日本国内でも地域によって費用に大きな差があることが分かります。

費用の差が出る要因としては、葬儀の形式や選択するオプション、地域ごとの物価などが関係しています。そのため、葬儀を行う際には、事前に複数の葬儀社から見積もりを取ることが大切です。

葬儀費用を把握する意味

葬儀の費用を知ることは、悲しい時期に追加のストレスを避けるためにも重要です。突然の出来事に直面した際、費用のことで慌てることなく、故人を送り出すための準備を進められるように、この記事をお役立ててください。

あなたにぴったりの葬儀スタイルとは？費用相場をご紹介

葬儀を前にして、「どのような形式を選べばいいのか？」「費用はどれくらい見積もればいいのか？」と悩むことは珍しくありません。葬儀の形式は多岐にわたり、それぞれの費用も異なります。このセクションでは、主要な葬儀形式とそれに伴う費用の概要を紹介します。

一般葬: 伝統的なお別れ

「一般葬」は、多くの方が選ばれる伝統的な形式です。一日目にはお通夜があり、翌日に告別式と葬儀が行われます。親族だけでなく、友人や職場の方々、近隣の人たちも参列することが一般的です。全国平均で約191万円とされており、このタイプの葬儀は社会的なつながりを重んじる方に適しています。

家族葬: 親しい人だけで行う

最近では「家族葬」を選ぶ人が増えています。故人と親しかった家族や友人だけで行う小規模な葬儀です。全国平均で約110万円と、一般葬に比べて費用は抑えられます。参列者が少ない分、それぞれとじっくりと故人を偲ぶ時間を持つことができるでしょう。

直葬（火葬式）: シンプルに送る

最もシンプルな「直葬」は、お通夜や告別式を省略し、火葬だけを行う方法です。全国平均で約36万円と、費用を最も抑えることができる葬儀形式です。身近な人々だけで静かに故人を偲びたい方に選ばれています。

どの形式を選ぶべき？

葬儀は、故人への最後のお別れの場であり、生きてきた証を偲ぶ大切な時間です。だからこそ、「どの形式を選ぶか」は、故人の生き方や家族の願いを反映したものであるべきです。費用も大切な考慮点ですが、最も心に響くお別れの方法を選んでください。

葬儀費用の詳細

このセクションでは、葬儀で発生する費用の内訳に焦点を当てて説明します。
以下に挙げるものは、葬儀に関わる主要な3つの費用カテゴリです。

全体の葬儀費用

全体の葬儀費用とは、通夜や葬儀、告別式を行うのに必要な総費用を指します。
具体的な費用は、さらに詳細に分類できます。

全体の葬儀費用は、葬儀全体の支出の約60%から65%を占めます。

一般的な葬儀の費用を165万円と仮定した場合、全体の葬儀費用は100万円以上になることが見込まれます。

以下で、全体の葬儀費用の各項目について詳しく説明します。

祭壇の設置費

祭壇の設置費用には、レンタル料や関連する人件費が含まれます。
この費用は、全体の葬儀費用の中でも大きな割合を占めることがあります。
相場は30万円から120万円とされ、費用の幅が広いことが特徴です。
祭壇には、種類によって費用が大きく変動します。
例えば、白木祭壇、花祭壇、神式祭壇、キリスト教式祭壇などがあります。
特別なデザインを希望する場合、費用はさらに高額になる可能性があります。

施設の使用料

施設の使用料とは、葬儀や火葬を行う場所の利用料を指します。
葬儀場は葬儀を行う施設で、火葬場は遺体を火葬する施設です。
葬儀場には、セレモニーホールや寺院、教会などがあります。
葬儀場の費用は、運営形態や地域、規模によって異なります。
公共運営の施設は、民間運営に比べて費用が抑えられる傾向にあります。

人員の手配費

葬儀を行うには、専門スタッフの協力が不可欠で、そのための人件費が発生します。
スタッフは、様々な業務を担当します。
例えば、諸手続きの代行、進行役、看板設置、片付けなどです。
親族からスタッフを選択することも可能です。

運搬車両の料金

葬儀には、遺体運搬用の霊柩車や移動用のマイクロバスが必要です。
霊柩車の料金は、距離に応じて変動します。
マイクロバスは、葬儀場から火葬場までの移動に用いられます。

その他の必要費用

葬儀一式には、上記の費用以外にも様々な諸費用が発生します。
例えば、遺体安置、棺、位牌、遺影、骨壺、仏衣、枕飾りなどがあります。
葬儀社が提供するプランにこれらが含まれているかどうかを確認することも重要です。

葬儀における飲食接待の詳細

葬儀に際して、飲食接待にも相当な費用が発生します。

葬儀での飲食接待には、通夜ふるまいや精進落とし、返礼品や香典返し等が含まれます。

これらの費用は、全体の支出の15%から25%を占めるとされ、参列者の人数や提供する食事の内容によって変動します。

通夜ふるまい

通夜ふるまいとは、通夜後に参列者へ提供する食事のことです。

一般的に提供されるのは、サンドイッチやオードブルのような軽食ですが、日本酒やビールといったアルコール類も供されることがあります。

費用は、一人当たり2000円から3000円程度が目安です。

精進落とし

精進落としは、火葬後に火葬場から葬儀場へ戻った際に提供される食事で、故人への供養や参列者への感謝の意を込めたものです。

提供される食事は、懐石料理や寿司などが一般的で、こちらもアルコール類が供されます。

費用は、一人当たり4000円から5000円程度です。

返礼品・香典返し

葬儀に参列された方へは、返礼品を贈るのが一般的です。

よく選ばれる返礼品には、タオルやお茶などがあります。

また、香典を受け取った場合、その30%から50%の範囲で香典返しを行います。

香典返しに適した品としては、お菓子やお茶、紅茶、コーヒー、ハンカチ、タオル、商品券、カタログギフトがあります。

一方で、生ものやお酒、鰹節・昆布などは避けた方が良いとされています。

香典返しについては、下記の記事で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。

2021年3月12日香典返しの全て　金額や相場、時期、辞退のされた時の対応など

僧侶への寺院費用

葬儀の際には、一般的に宗教者が呼ばれ、その礼儀としてお布施を贈ります。

特に仏教の場合、僧侶に対するお布施が、葬儀での宗教者への費用となります。

宗教によってお布施の相場は異なりますが、ここでは仏教の葬儀での寺院費用に焦点を当てます。

読経のお布施

葬儀での読経をしてくれた僧侶へのお礼が読経のお布施です。
読経の回数や宗派により、読経のお布施は変動しますが、一般的に15万円から30万円程度が相場です。

戒名のお布施

故人に戒名を授ける際のお礼として僧侶に贈るのが戒名のお布施です。
このお布施の相場は15万円から30万円程度とされており、宗派や戒名の等級によって変わります。

交通費のお布施

葬儀の場所へ向かう僧侶の交通費としてお布施を贈るのが、お車代です。
この交通費のお布施は、5千円から1万円程度が相場とされています。

食事のお布施

通夜振る舞いや精進落としを辞退した僧侶に対して贈るのが御膳代のお布施です。
この御膳代の相場は5千円から1万円程度で、場合によっては必要ないこともあります。

葬儀費用を賢く抑える方法

葬儀の費用は、準備不足だと思わぬ負担になることも。しかし、事前に適切な準備をすることで、心にも財布にもやさしい葬儀を実現できます。以下では、葬儀費用を抑えるための具体的なアプローチをご紹介します。

自治体の補助を活用する

多くの自治体では、葬祭費の補助制度を設けています。この制度を利用すれば、葬儀にかかる一部の費用を補助してもらえる場合があります。条件や補助額は自治体によって異なるため、事前に確認しておきましょう。また、生活保護を受けている場合、葬祭扶助制度を利用できることもあります。

葬儀の形式を見直す

家族葬や一日葬など、小規模でシンプルな葬儀形式を選択することで、費用を大幅に削減できます。しかし、「節約のため」だけに形式を選ぶと、後になって後悔することも。大切なのは、故人と遺族の意向を尊重しつつ、無理のない範囲で計画を立てることです。

公営斎場や火葬場を選択する

公営の斎場や火葬場は、民間の施設に比べて利用料が低価格です。ただし、その分予約が取りづらいこともあるため、利用を考えている場合は早めの手続きが必要です。また、斎場と火葬場が一体型になっている場所を選べば、移動の手間や費用を省くことができます。

複数の葬儀社からの見積もり取得

故人が亡くなった後、葬儀までの期間は限られており、心の整理がつかないうちに迎えることが多いです。そんな時でも、故人との最後のお別れを適切に行うためには、葬儀の規模や予算を事前に検討し、複数の葬儀社から見積もりを取得することが重要です。
複数の見積もりを比較することで、サービス内容や費用を比較しやすくなり、納得のいく葬儀計画を立てることができます。

相続税控除の活用

葬儀費用を相続税の計算時に申告することで、控除を受けることが可能です。ただし、控除できる費用とそうでないものがありますので、その区分を理解しておくことが必要です。

相続税の控除対象となる葬儀費用

相続税の計算時に控除できる葬儀費用には以下のものが含まれます。

相続税の控除対象外となる費用

一方で、以下の費用は相続税の計算時に控除対象外となります。

葬儀費用の相続税控除を適切に利用することで、実際の負担を少しでも軽減することができます。控除対象となる費用については、事前に税理士などの専門家に相談することをお勧めします。

葬儀の費用は誰が負担する？

次に、葬儀の費用は誰が負担するのかということについて解説していきます。

負担する人に決まりはない

葬儀の費用を誰が負担するのかといった決まりはありません。

葬儀の費用は相続財産とは別であるため、相続財産から支出しなければならないというわけではなく、喪主や相続人が負担しなければならないとも限りません。

喪主が費用負担する場合が多い

葬儀の費用を負担する人は明確に決まってはいませんが、喪主が負担するケースが一般的です。

共同相続人全員の同意があれば相続財産から葬儀費用を捻出することもできます。
また、喪主以外の家族や親戚に対して協力を求め、費用を分担することも可能です。

葬儀費用を誰が負担するのかと同様に喪主を務める人についても明確な決まりはありません。
喪主を務める人は故人の配偶者であることが多いですが、故人が遺言で喪主を選定していた場合は、その本人の遺志に準じます。

また、配偶者が喪主を務めることができない状況である場合、続柄を考慮した上で喪主が選ばれることがあります。

一般的には、喪主として選定される優先度は以下のように示されます。
以下のリストは、番号が若いほど優先度が高いことを表しています。

また、故人が配偶者や親族がいない場合、故人の友人や知人などの身内以外の人物が喪主を務めるということも考えられます。

故人の遺産による立替・払い戻しは可能？

葬儀費用は故人の遺産によって賄うことが可能です。

故人の銀行口座は、銀行が口座名義人である故人がご逝去したことを知った際に凍結されてしまうため、故人の遺産を葬儀の費用に充てるという場合は、生前の準備が重要となってきます。

最近では、遺言代用信託という金融機関のサービスも人気となりつつあります。

その中でも、一時金型の遺言代用信託は、故人のご逝去後にまとまったお金が引き出せるので、葬儀の費用に充てることも可能です。

喪主だけで払えない場合は必ず親族に相談を

故人との最期のお別れを悔いが残らないようにするためにも、葬儀の費用については事前に余裕を持ってしっかりと兄弟や親族と相談しておきましょう。

葬儀の費用を喪主だけで支払えない・工面できない・お金がないという場合にも、家族と話し合うことは必須です。

葬儀費用の備え方: 知っておきたいポイント

葬儀費用は、事前に計画しておくことで、心の準備と財政的な負担を軽減できます。この部分では、葬儀費用に賢く備えるための2つの主要な方法を紐解いていきます。

葬儀保険: あなたの安心パートナー

葬儀保険は、葬儀費用をカバーするために特化した保険です。この保険は、比較的低い費用で加入でき、相続税対策や預金口座の凍結対策としても役立ちます。保険の種類には、保険料が固定のものや保険金額が定められたものがありますが、どちらも葬儀の費用を効果的に管理する強い味方となります。

互助会: 共に支え合う仕組み

互助会は、冠婚葬祭の費用に対応するために設けられた共済制度です。毎月の掛け金を積み立てることで、突然の出費にも柔軟に対応できるようになります。また、互助会を利用することで、斎場や火葬場の利用料を割引価格で利用できるなど、さまざまなメリットがあります。

互助会のメリットや利用する際の注意点についての詳細は下記記事をご覧ください。
2022年4月2日「互助会」のメリットと、葬儀費用や解約金のトラブル

葬儀費用を抑えるときのポイント

葬儀費用を計画する際には、ただ単に費用を抑えるだけでなく、故人に相応しいお別れを計画することが重要です。ここでは、費用を抑えつつも適切な葬儀を行うための重要なポイントをいくつか紹介します。

必要なサービスが含まれているかの確認

葬儀のプランを選ぶ際には、必要なサービスが全て含まれているかを確認することが大切です。例えば、遺体の保存に必要なドライアイスや火葬費用がプランに含まれていない場合、追加で費用がかかることがあります。プランの価格が非常に低い場合には、特に注意が必要です。

葬儀社とのしっかりとしたコミュニケーション

葬儀社とのコミュニケーションは、トラブルを避けるために非常に重要です。プランの内容や費用に不明瞭な点があれば、遠慮なく質問し、納得がいくまで話し合いましょう。葬儀は故人を偲び、遺族が新たな一歩を踏み出すための大切な儀式です。そのためにも、葬儀社とはしっかりとした信頼関係を築くことが大切です。

葬儀費用の支払い: スムーズな手続きのために知っておきたいこと

葬儀を終えた後、心を落ち着ける時間もなく直面するのが、葬儀費用の支払いです。一般的に、葬儀社への支払いは葬儀の終了後、一週間以内に行うことが多いですが、葬儀社や状況によっては前払いや分割払いのオプションもあります。また、生命保険の給付金を待っての支払いや、葬儀ローンの利用も可能です。

支払い方法の多様化

支払い方法も、現金だけでなく銀行振込やクレジットカードを使用できる葬儀社も増えています。これにより、支払いの柔軟性が増し、利便性が高まりました。

葬儀費用についてのまとめ

葬儀費用について学ぶことは、多くの人にとって馴染みのないテーマかもしれません。しかし、いざという時のために、事前に知識を持っておくことは大切です。今回の記事で触れた重要ポイントは以下の通りです。

一般葬の費用相場は約191万円ですが、葬儀の形式によって大きく変わることがあります。
葬儀の費用は、葬儀一式の費用、飲食接待費、宗教者への費用が主な内訳です。
葬儀費用は通常、喪主が負担することが多いですが、家族や親族で分担することもあります。
葬儀費用を抑える方法には、公営の葬儀場や火葬場を利用する、必要最小限のサービスを選択する、などがあります。
事前に葬儀費用を備える方法として、葬儀保険や互助会の利用が挙げられます。
最後に
大切な人とのお別れの時間を、後悔のないものにするためにも、葬儀に関する知識を深め、事前に準備しておくことが重要です。この記事が、そんな準備の一助となれば幸いです。不確かな時代だからこそ、大切な人との最後の時間を大切にする心構えが、私たちには必要です。読んでくださり、ありがとうございました。