近年、日本の葬儀のあり方は大きく変化しており、その中心になっているのが家族葬です。家族葬とは、親しい家族や親族、友人のみで行う小規模で心温まる葬儀スタイルであり、従来の大規模な一般葬に代わって主流になっています。費用の面だけでなく、故人との最期の時間をゆっくりと過ごせる点でも支持を集めています。
今回の記事では、日本全国で展開している主要な大手葬儀会社6社(ベルコ、日本セレモニー、セレマ、公益社、ティア、小さなお葬式)の家族葬プランを比較し、料金プラン、参列者数の目安、サービス内容、式場数・施設展開、料理・返礼品の対応、アフターサポートといった多角的な視点から各社の特徴を詳しくご紹介します。
目次
比較した6社の概要
- ベルコ:全国に広く展開する互助会形式で費用節約が可能。
- 日本セレモニー:地域ブロック型の展開で多彩な家族葬プラン。
- セレマ:関西圏を中心に充実のグリーフケアを提供。
- 公益社:首都圏・関西圏で、オーダーメイド型のきめ細かいサポート。
- ティア:明朗価格とセットプランで初めての方でも安心。
- 小さなお葬式:低価格でシンプルな家族葬を全国均一のサービスで展開。
ベルコの家族葬プラン
ベルコとは?
1969年に設立された株式会社ベルコは、冠婚葬祭互助会として、結婚式や葬儀など人生の重要なセレモニーをサポートする企業です。 本店を大阪府池田市に構え、旧本社は兵庫県西宮市に位置しています。 同社は、北海道から九州まで全国に広がるネットワークを持ち、特に関西地方を中心に事業を展開しています。 事業内容は、冠婚葬祭互助会の運営、一般貨物運送事業、一般貸切旅客自動車運送事業、一般乗用旅客自動車運送事業、第2種旅行業など多岐にわたります。 関連施設として、ホテルベルクラシック2ヵ所、結婚式場ベルクラシック他31ヵ所、ウェディングチャペル6ヵ所、コスチュームサロン6ヵ所、多目的ホール258ヵ所を運営しています。 加入口数は約247万口に達し、多くの会員に支持されています。
ベルコの家族葬プランの内容
-
家族葬プランの有無: ベルコでは一般葬から家族葬、一日葬まで対応しており、小規模な家族葬も可能です。専用の家族葬ホール(1日1組貸切)も各地に展開しており、10~30名規模の家族葬に対応しています。
-
料金プラン: 互助会(会員)プランとして「24万円のBCコース」と「48万円のBDコース」の2種類があり、どちらも祭壇・棺・霊柩車など葬儀に必要な基本サービスを含みます。互助会会員は一般価格より30~50%も費用が割安になり、総額費用の節約につながります。※式場利用料・飲食費・返礼品費などはプランに含まれず別途です。非会員の場合は同等サービスで割引無しとなりますが、公式サイトのシミュレーションで見積りを確認できます。
-
参列者数の目安: 専用ホールでは家族葬~小規模葬儀で約30名程度までを想定しており、実際に1日1組限定の少人数葬儀会館を各地に開設しています。実績としてベルコは全国で年間約4万件の葬儀を扱っており、その中には親族中心の家族葬も多く含まれます。
-
サービス内容: 前述の会員プランには祭壇、棺、寝台車(搬送車)、式進行スタッフなど基本的な葬儀一式が含まれています。対応宗教も仏式・神式・キリスト教式・無宗教など多様で、生花祭壇など故人の好みに合わせた演出も可能です。プランに含まれない項目(式場費、火葬料、飲食接待、返礼品、宗教者謝礼など)は必要に応じて追加手配します。
-
式場数・施設展開: 全国展開です。創業は関西ですが、現在は北海道から九州まで全国に互助会ネットワークと自社式場「シティホール」等を展開しています。全国で200以上の提携式場があり、地域密着の会館から大規模ホールまで幅広い施設を保有しています。
-
料理・返礼品の対応: 飲食(通夜振る舞い・精進落とし)や返礼品もベルコ関連会社による提供で割引が受けられ、必要に応じて手配可能です。家族葬では「身内だけなので料理は省略」という選択もできますが、希望に応じて仕出しや会葬礼状、香典返し等も用意してもらえます。
-
アフターサポート: ベルコでは互助会会員向けに法要の支援や相談窓口を設置しています。実際、互助会サービスには葬儀後の法事(年忌法要)も含めたサポートが謳われており、各地の支社にお客様相談室を用意して葬後の手続きや仏事の相談に対応しています。会員は仏壇・仏具の割引サービス等も受けられ、葬儀後まで継続して支援を受けられます。
日本セレモニーの家族葬プラン
日本セレモニーとは
株式会社日本セレモニーは、全国に約30ヶ所の結婚式場と220ヶ所以上の斎場を展開する、冠婚葬祭業界のリーディングカンパニーです。 「世界に1つだけの結婚式」や「生きる、お葬式。」をコンセプトに、顧客一人ひとりに寄り添ったサービスを提供しています。 同社は、冠婚葬祭に関する総合的なサービスを提供し、地域社会に密着した事業展開を行っています。
日本セレモニーの家族葬の内容
-
家族葬プランの有無: 日本セレモニーでは複数の家族葬セットプランを用意しています。公式サイト(高知会館の例)では「少人数での家族葬プラン」「感謝を込めた家族葬プラン」「内容充実の家族葬特別プラン」「安心家族葬セットプラン」など4段階のプランが案内されています。いずれも通夜・告別式を含む2日葬形式で、家族・親族中心の葬儀を想定しています
-
料金プラン: プラン料金は地域や会館により若干異なりますが、高知エリアの例では税抜298,000円(税込327,800円)から用意されています。298,000円プランは親族10~15名規模が目安で、上位プランは398,000円(20~50名規模), 498,000円(40~80名規模), 598,000円(より大人数対応)と段階的に設定。各プラン共通で別途16,000円のセット申込金が必要です。※料金はいずれも祭壇や基本サービス込み、税込価格は上記に10%加算した額。
-
参列者数の目安: 上記の通りプランごとに想定参列者数が設定されています(例:「少人数プラン」10~15名程度、「感謝プラン」20~50名程度など)。一般会葬者を呼ばず親族中心に執り行う前提で、最大でも50~80名程度までの親族葬に対応するプラン構成です。実際の参列者数は家族の意向で調整できます。
-
サービス内容: 各プランに含まれるものとして、祭壇一式(白木祭壇または洋風祭壇から選択)、遺影写真、位牌・御霊代、仏衣、寝台車での遺体搬送(お迎え)、ご安置、通夜・告別式の進行、火葬手続き、火葬棺、骨壺、会館使用料(1泊2日)、受付用具、看板類、スタンド生花1対、忌中灯、線香・ローソク等がセットになっています。プランによっては司会・音響や女性アシスタントによる献茶、会館での宿泊布団(最大2組)なども含まれます。また互助会会員特典として弔慰金の給付(例:2万円または3万円)も含まれています。
-
式場数・施設展開: 日本セレモニーは愛グループの中核企業で、山口県下関市に本社を置きつつ全国に186箇所の葬祭式場「典礼会館」等を運営しています。特に中国地方・四国・九州北部を中心に会館網があり、一部東北(秋田平安閣など)や関東にも関連施設があります。全国展開というより地域ブロック展開に近く、公式には首都圏から関西、中国・四国まで拠点を持つとされています。各地域で「○○典礼会館」といった名称の斎場を運営しており、会員はこれらを割引価格で利用可能です。
-
料理・返礼品の対応: 日本セレモニーでは、通夜振舞いの料理や返礼品(香典返し)等も必要に応じて手配可能です。家族葬プランの案内にも「別途費用になるもの」として寝台車・霊柩車、火葬料、宗教者へのお礼、お供え物、安置料等とともに、返礼品・会葬礼状・料理・タクシー・貸衣装・供花等が挙げられており、必要な分だけ追加できます。つまり料理や引き出物はプラン料金に含まれておらずオプション扱いですが、希望すれば人数に合わせて発注できます。
-
アフターサポート: 葬儀後の法要や各種手続き支援もグループとしてサポートがあります。互助会「ミライエール」に加入していれば、葬儀後の法要まで親身にお手伝いする旨が公式に謳われています。具体的には、法要の案内状送付から会場(式場)手配、会食や引き出物の準備、当日の進行までトータルに支援可能との事例もあります。また各会館にアフター相談窓口を設け、仏壇・お墓の紹介、役所手続き、相続相談なども対応しています。会員向け情報誌や相談ホットラインなど、葬儀後も継続して相談できる体制が整っています。
セレマの家族葬プラン
セレマとは
株式会社セレマは、1959年に前身となる「有限会社 京都市冠婚葬祭互助センター」として創業され、京都府京都市中京区に本社を置く冠婚葬祭互助会の運営を主な事業とする企業です。 事業内容は、冠婚葬祭互助会の運営、一般区域貨物自動車運送事業、旅行業など多岐にわたります。 京都府を中心に、滋賀県、大阪府、岡山県、広島県で事業を展開し、結婚式場や葬儀会館、営業所など100ヵ所以上の拠点を持ち、地域に根ざしたサービスを提供しています。
セレマの家族葬の内容
-
家族葬プランの有無: セレマでは、互助会会員向けに複数の葬儀コースが設定されており、家族葬も含めた小規模葬儀に対応しています。代表的なプランに「コース10(火葬式向け)」「コース30(一般的な家族葬向け)」「コース50(こだわりの家族葬向け)」があり、通夜+告別式を行う家族葬には主にコース30・50が該当します。また京都・滋賀を中心に1日1組貸切のシティホールを自社運営しており、「少しだけこだわりの家族葬」から社葬規模まで幅広くプラン提案が可能です。
-
料金プラン: 互助会「セレマあんしん祭典」会員価格と一般価格がそれぞれ設定されています。例えばコース30では会員価格330,000円~、一般価格692,340円~と公表されています。同様にコース50では会員価格550,000円~、一般価格994,840円~、コース10(火葬式)では会員価格110,000円~、一般価格261,965円~となっており、会員になることで費用が約半額に抑えられる体系です。※「コース30」「コース50」はそれぞれ月3,000円×100回、月5,000円×100回の積立に対応する互助会プラン(30万円・50万円コース)が元になっています。
-
参列者数の目安: セレマの家族葬プランは親族や親しい知人のみの小規模葬を想定しています。公式サイトの利用者声では「滋賀のホールで主人らしい小規模な葬儀ができた」という例(参列者数記載なし)がありますが、一般的に5~30名程度の家族・親族葬が主流です。例えば外部調査では京都市で10名規模の家族葬に約200万円かかったケースもありますが、これはオプションを豪華にした例であり、通常は会員プラン利用でもっと低価格で10~20名規模の葬儀が可能です。セレマは会館数も多いため、規模に応じて適切な広さの式場を案内してもらえます。
-
サービス内容: 会員プランに含まれる内容はコースによって異なりますが、基本は祭壇一式、棺、骨壺、寝台車搬送、式場控室、受付設備、後飾りセット、儀式運営スタッフなど葬儀施行に必要なもの一式です。コース50では白木4段祭壇や飾り輿付きといったグレードの高い祭壇が含まれ、コース30では白木3段祭壇になるなど、プランによって祭壇規模や装飾が異なります。ただし式場使用料、火葬料、遺影写真、ドライアイス、返礼品、サービス料などはプラン外で別途となっており、必要に応じ追加手配します。セレマでは自社ホールを会員割引で利用でき、会員は葬儀品質認定制度の五つ星認定を受けた高品質なサービスを受けられます。
-
式場数・施設展開: 京都府・滋賀県で自社葬儀会館数No.1を誇り、他に大阪府北部、福井県一部、岡山・広島県などに展開しています。創業65年以上の地域密着企業で、直営ホール数は関西中心に約50館以上、自社調べで2023年時点で京都・滋賀でシェアトップとのことです。エリアは限定的ですが、各エリア内ではシティホール(冠婚葬祭総合会館)や家族葬専用ホールを複数運営しており、遠方の親族にもアクセスしやすい立地を選べます。※提携葬儀社ネットワークにより関東など他地域での手配も可能な場合があります。
-
料理・返礼品の対応: セレマでは通夜・葬儀での飲食接待(料理)や返礼品もトータルにサポートします。プラン料金に飲食や引き出物費用は含まれませんが、自社関連会社や提携店を通じて用意可能です。必要な場合、参列者人数に応じて仕出し料理や会葬御礼品を手配し、精進落としの場の設営・配膳もスタッフが対応します。また法要膳や引き出物についてもセレマで継続して承ることができ、会館によっては併設のレストランで仕上げ料理を提供するケースもあります。料理・返礼品を利用しない選択肢も柔軟に認められますので、希望に沿って見積りから調整されます。
-
アフターサポート: セレマあんしん祭典では、葬儀後のグリーフケア(悲嘆ケア)にも注力しています。資格を持つ「上級グリーフケア士」が社内に在籍しており、葬儀後の遺族の心のケアに対応しています。また四十九日や一周忌など法要の準備・運営もサポートしており、会館を法要会場として提供するほか、お斎(会食)や引き物等の手配も引き続き承っています。さらに事前相談からアフターフォローまで専任スタッフが対応する「トータルアフタープラン」も用意しており、生前見積りから忌明け法要まで継続してお世話する体制があります。必要に応じて仏壇・仏具の紹介や遺品整理サービスの案内、相続相談窓口(提携先紹介含む)なども利用できます。
公益社の家族葬プラン
公益社とは
昭和7年(1932年)に創業された公益社は、90年を超える歴史を持つ葬儀社で、東証プライム上場企業である燦ホールディングス株式会社の中核企業です。 本社は大阪府と東京都に構え、年間1万件を超える葬儀実績を誇ります。 プライバシーマークの認証を取得するなど、信頼性と透明性の高い組織づくりに努めています。 また、社葬をはじめ、団体葬、学園葬、球団葬、各界の有名人・著名人のご葬儀やお別れの会の実績も豊富で、年間約900社の企業からの相談を受け、年間200件を超える大規模葬を手掛けています。
公益社の家族葬の内容
-
家族葬プランの有無: 公益社では定型プランを設けず、ご遺族の希望や予算に合わせて個別見積もりする方針です。公式サイトにも「あいまいなプランはご用意せず、過不足のない提案をする」と明記されています。とはいえ目安として首都圏・近畿圏での家族葬費用事例が公開されており、それが実質的にプラン例となっています。例えば「家族中心でしめやかな家族葬」(東京都杉並区、無宗教、20名)や「故人の遺志を尊重したこぢんまり家族葬」(大阪市、無宗教、5名)といったケースが紹介されています。
-
料金プラン: 上記の費用事例によれば、東京23区で20名規模の家族葬を行ったケースは約57.2万円(税込)、大阪市で5名規模の家族葬では約50.1万円(税込)となっています。この費用には式場使用料や基本サービス、搬送などすべて含まれた総額です(宗教者謝礼を除く無宗教葬のため布施は0円)。公益社では事前に明確な見積りを提示し、総額費用を明瞭化することに努めており、「ご予算に合わせて明確に費用提示」を約束しています。なお、実際の費用は参列者数や地域・斎場、宗教形式によって増減するため、公式サイトでは地域ごとの具体例も確認できるようになっています。
-
参列者数の目安: 公益社の家族葬はご家族・ご親族中心を想定しており、事例では5名や20名といった少人数が紹介されています。一般的な家族葬では10~30名程度が多いですが、公益社の場合は会葬者を呼ぶ「一般葬」と区別し、基本的に30名以下の私的なお葬式を家族葬として位置付けています。例えば「首都圏20名」「近畿5名」のケースから分かるように、数名から数十名規模まで柔軟に対応可能です。式場の大小は参列予定人数に合わせて提案され、同社運営のホール「公益社会館」では家族葬~一般葬まで幅広い人数に対応できる設備があります。
-
サービス内容: 公益社の家族葬では必要な内容だけを過不足なく組み立てるのが特徴です。具体的な内容は個々の見積もりで決まりますが、基本的には寝台車でのお迎え、ご安置、祭壇設営、進行スタッフ、火葬場手配、役所手続き代行などフルサービスを提供します。あらかじめ品目ごとに細かく料金を提示し「当然含まれると思っていた項目がオプションだった」ということが無いよう配慮されています。たとえば他社では別料金になりがちな搬送費や人件費もセットに含めて提示する透明性の高い価格体系です。結果として本当に必要なものだけを盛り込んだプランとなるため、無駄な出費を抑えつつも安心のサービスが受けられます。宗教形式も仏式はもちろん無宗教葬や音楽葬など多様な形に対応可能です。
-
式場数・施設展開: 公益社は燦ホールディングス傘下で、東京・神奈川・千葉など関東圏、および大阪・兵庫・奈良など関西圏に直営斎場「エンディングホール」「公益社会館」等を多数運営しています。例えば東京23区・首都圏だけでも50以上の式場と提携(自社含む)し、関西にも同規模のネットワークがあります。さらに札幌や新潟、香川などにも「公益社」の名を冠した関連葬儀社がありますが、これらは燦HDグループとは別企業の場合もあります。燦HD系の公益社としては首都圏・近畿圏がサービスエリアであり、各地域に24時間対応の相談窓口を設置しています。上場企業グループの信頼感から、地域を問わず依頼されるケースも多く、その際は適切な現地提携社を紹介するなど全国対応も可能とされています。
-
料理・返礼品の対応: 公益社では家族葬でも必要に応じて飲食接待や返礼品を手配できます。費用事例の説明にも「参列者人数によって飲食接待費・返礼品費が変動する」とあり、人数に合わせて通夜ぶるまいや会葬返礼品を準備できることを示唆しています。実際、公益社の式場では仕出し料理の手配から配膳スタッフの手配まで行え、家族葬であってもご希望があれば通夜後の会食や精進落としの席を設けることが可能です。また香典返しの品物選定や発送代行サービスも用意されており、葬儀当日にお渡しする返礼品から忌明け後の挨拶状発送までトータルにサポートしています。公式サイトでも「葬儀の後で」の項目にて返礼品や法要膳の案内がなされています。家族葬では「身内だけなので簡略に」というケースが多い一方、公益社は希望に応じて丁寧なおもてなしも提供できる柔軟さが特徴です。
-
アフターサポート: 公益社のアフターサポートは非常に充実しています。同社の「トータルサービス」では葬儀後の仏事から各種手続き、生活支援まで全てお任せいただけると謳っており、具体的には役所手続きや相続手続きのサポート、墓地・供養・法事のお手伝い、返礼品の手配、心のケア(グリーフケア)まで網羅しています。葬儀後について困ることがあればワンストップで相談でき、専門部署が対応します。例えば遺族の集い「ひだまりの会」というグリーフケアの場を運営し、長年にわたり遺族ケア活動を続けています。さらに仏壇・位牌の購入支援や、香典返し専門サイトの運営、納骨先の紹介、遺品整理の案内など、ユニークなアフターサービスもグループで展開しています。葬儀後の法要も会館で引き続き執り行うことができ、案内状作成から当日の進行までスタッフがフォローします。総じて、公益社は「葬儀後も安心」の姿勢で遺族に寄り添ってくれる葬儀社と言えます。
ティアの家族葬プラン
ティアとは
1997年に創業された株式会社ティアは、「日本で一番『ありがとう』と言われる葬儀社」を目指し、愛知県名古屋市北区黒川本通に本社を構えています。 資本金は18億9,200万円(2023年9月末現在)で、従業員数は646人(2023年9月末現在)です。 売上高は140億6,839万円(2023年9月実績)を計上しています。 事業所は、愛知・岐阜・三重・静岡・富山・埼玉・東京・茨城・大阪・和歌山に153店舗以上展開(直営・フランチャイズ含む)しており、明朗な価格設定と顧客本位のサービスで、年間2万件を超える葬儀を手掛けています。
ティアの家族葬の内容
-
家族葬プランの有無: ティア(TEAR)ではわかりやすいセットプランを複数用意しており、家族葬から一般葬まで対応しています。代表的なプラン名に「家族葬◯◯セットプラン」(◯◯は数字)という形でコースを分けており、例えば家族葬33・55・77セットプランなどがあります。この数字は基本プラン料金を示しており、たとえば「家族葬33」はプラン料金33万円が基準です。ティアは創業時から明瞭価格体系と生前見積もりを掲げており、公式サイトでもすべての品目・サービスを一目でわかる形で公開しています。そのため初めてでもプラン内容が理解しやすく、必要に応じて1日葬プランや直葬プランも選択可能です。
-
料金プラン: ティアでは会員制度「ティアの会」により会員価格と一般価格が設定されています。例えば家族葬33プランの場合、一般価格396,000円(税込)で、ティアの会ブロンズ会員価格は363,000円(税込)(約3万円割引)との情報があります。さらに上位のゴールド会員だと約66,000円割引となり330,000円(税込)で利用できるケースもあります。同様に家族葬55プランは一般価格約55万円、会員価格約50万円程度、家族葬77プランは一般価格約92.4万円に対し会員価格77万円(税込)とされています。プラン名の数字は会員価格の税抜目安(33=30万円台、77=70万円台)で、非会員はその1~2割増し程度です。セットプランには必要な物品・サービスがひととおり含まれており、追加オプションも自由に選べます。価格には祭壇、棺、遺影写真、会葬はがき等が含まれていますが、一部斎場では別途サービス料16,500円が必要だったり、宗教者へのお礼や料理・返礼品は含まれない旨の注記があります。全プラン共通で無料資料請求をすると5万円割引になるキャンペーンも実施中です。
-
参列者数の目安: ティアの家族葬プランは基本的にご親族・近親者のみ(〜数十名まで)を想定しています。明確な人数上限は示されていませんが、セットプラン名からして「家族葬◯◯」は少人数葬向け、「一般葬◯◯」は会葬者を呼ぶ中~大規模葬向けとして区別されています。社内の別ブランド「ティアシンプル」では“少人数の家族葬”を強調しており、地域によっては1組10名程度での貸切ホールを提供しています。実際、家族葬を検討する方には「10人程度の参列」を想定した5つのプランが提示され、その中から希望に合うものを選ぶ形です。したがっておおむね10~20名以下の規模が目安となりますが、ティアは会館を多数持つため、もし30名以上になっても適切な広さのホールへプラン変更する柔軟性があります。基本プラン内では通夜も告別式もごく身近な方のみ参列する前提です。
-
サービス内容: ティアのセットプランには葬儀に必要な物品・役務が一括セットになっています。例として「家族葬33プラン」には祭壇(造花)、棺、骨壺、遺影写真、位牌、受付用品、会葬礼状(必要枚数)、寝台車搬送(所定距離まで)、式進行スタッフ、火葬場案内等が含まれます。上位プランでは祭壇を生花に変更したり、供花や安置料を含めたりとグレードアップしていきます。特徴的なのは価格に何が含まれ何が含まれないかを明示している点で、「当然プラン内と思っていたらオプションだった」という心配が少ないです。ただし料理・返礼品・宗教者謝礼などは他社同様プラン外で、必要に応じ別料金となります。一部の公営斎場等を利用する場合は式場費が別途かかるケースもあります。オプションサービスも多彩で、例えば棺にお花を敷き詰める演出や想い出ムービー上映、納棺の際のエンバーミング処置など、遺族の希望に沿って追加できます。ティアは創業地の名古屋を中心に「適正価格で高品質な葬儀を提供する」ことで信頼を得ており、セットプラン制による分かりやすさと安心感が強みです。
-
式場数・施設展開: ティアは東海地方(愛知県)を中心に、東京・大阪など全国主要都市に進出しています。直営とフランチャイズを合わせ、愛知・岐阜・三重・静岡から関東(東京・埼玉)・関西(大阪・兵庫)・九州(福岡)まで約95拠点の葬儀会館を運営(2025年時点)しています。特に名古屋市および周辺では会館数が多く、駅近立地の小規模ホールから郊外型の大型斎場まで揃っています。会館「ティア」以外にも提携ホールで施行可能で、例えば生協(コープあいち)との提携プランもあります。遠方への出店はフランチャイズ展開を活かし、地域ごとにきめ細かなサービス提供を行っています。ティア会員に入会すれば全国どこのティア会館でも会員価格が適用されるため、東京在住でも実家のある名古屋で家族葬を行う、といったケースでも統一サービスが受けられます。また24時間コールセンター(90名体制)で全国からの問い合わせに対応しており、急な場合も近隣のティア拠点からスタッフが駆け付けます。
-
料理・返礼品の対応: ティアでは葬儀中だけでなく法要などでの会食や返礼品手配にも対応しています。公式サイトに「法要のご案内」として「会場提供はじめお食事、引物等の手配も承ります」と明記されており、葬儀当日の通夜振る舞いや精進落とし料理も同様に手配可能です。家族葬の場合、会食を省略するご遺族もいますが、希望があれば仕出し料理や軽食を人数に合わせて準備し、ティア会館内の会食室で召し上がっていただけます。また香典返し(返礼品)については、ティアが品物カタログを用意し、会葬礼品から忌明けの挨拶状付きギフト発送まで請け負います。小規模葬儀では返礼品も最小限になりますが、必要な場合は会葬者ひとりひとりに合わせた品物選定(例:お持ち帰りしやすいお菓子セット等)もアドバイスしてもらえます。ティアは自社会館での法要利用を提案しており、案内状作成・会食・引き出物・供花まで全て対応できる点を強みとしています。
-
アフターサポート: 葬儀後のフォロー体制も充実しています。まず、会員向けサービスとして「香典返し」「法事・法要」「仏壇・位牌」「納骨先紹介」「遺品整理」等の各種専門窓口をグループ内に持ち、ワンストップで相談できます。ティア自身の事業内容にも「法要の請負、葬儀施行後のアフターフォロー」が含まれており、実際に忌明け法要から仏壇手配、相続相談まで幅広いサポートが受けられます。たとえばティアでは独自に相続相談サービスを展開しており、年間2000件の相談実績を持つ専門スタッフが在籍しています。また「おひとりさま終身サポート」として生前から身元保証・見守りを行うサービスも手掛け、葬儀前後の不安をトータルに支える体制があります。さらにティア会館での法要利用時には、案内状送付や当日の進行・返礼もスタッフが担当し、寺院とのやり取りも代行可能です。遺品整理業者の紹介や、定期的なアフターイベント(終活セミナー等)の開催、「喪主が必ず読む本」進呈など、葬儀後も遺族とのつながりを大切にしています。ティアを利用した方の口コミでも「葬儀後のフォローも充実していて安心」と評価されており、最後まで手厚いサポートが受けられる点が高く評価されています。
小さなお葬式(ユニクエスト)の家族葬プラン
小さなお葬式とは
「小さなお葬式」は、株式会社ユニクエストが運営する葬儀ブランドで、2009年10月からサービスを開始しました。 低価格でシンプルな葬儀サービスを提供し、全国一律のサービスを展開しています。 累計利用者数は約52万件以上で、多くの方々に選ばれています。 同ブランドは、価格を抑えつつも、プランに含まれる物品・サービスの品質を維持し、「価格だけでない価値」を提供することを重視しています。 その結果、2024年度の葬儀受注件数No.1を達成し、葬儀実績累計52万件を突破するなどの実績を残しています。
小さなお葬式の家族葬の内容
-
家族葬プランの有無: 小さなお葬式(ユニクエスト)は低価格葬儀のパイオニアで、5つの葬儀プランを提供しています。その中に「小さな家族葬」プランがあり、通夜・告別式を少人数で執り行う2日葬プランとして位置付けられています。他にも「小さな火葬式(式を行わず火葬のみ)」「小さな一日葬(告別式のみ1日)」「小さな一般葬(一般会葬者ありの低価格プラン)」などがラインナップされており、家族葬に該当するのは主に小さな家族葬プランです。公式サイトでも全国平均費用108万円を徹底的に見直したと謳っており、必要最小限の内容でシンプルなお葬式を希望する方に選ばれています。全プランの累計利用者は2024年時点で52万件を超えており、十分な実績があります。
-
料金プラン: 小さな家族葬プランの料金は税込493,900円(※火葬料別)となっています。これが基本プラン料金です。なお小さなお葬式では無料資料請求で全プラン50,000円割引になる特典があるため、事前に資料請求すれば実質約438,900万円(税込)から利用可能です。さらに祭壇規模やサービス内容に応じて「基本プラン」「シンプルプラン」など数種類の家族葬プランが存在し、例えば祭壇を少し豪華にしたプランは税込493,900円 (※資料請求割価格)になります。ただし火葬場料金は含まれないため地域により数万円の火葬料が別途かかります。また会員制度はなく、誰でも同一料金で利用できます。支払い方法も明確で、後払いに対応しているため急な出費でも安心です。外部の口コミサイトによれば小さなお葬式の料金体系は「火葬式17.49万円~、一日葬32.89万円~、家族葬43.89万円~、一般葬65.89万円~(税込)」と案内されており、大手葬儀社と比べると格段に低価格な水準です。なおプラン料金には基本的な式進行費用が全て含まれているため、オプションさえ付けなければ追加請求はありません。
-
参列者数の目安: 小さなお葬式のプランは想定参列者10名程度を基準に設計されています。実際、神戸新聞による利用体験記事では「10人程度の参列を想定した家族葬プランが5つ用意されている」と紹介されています。もちろん人数が増えても利用はできますが、祭壇や会場規模は小規模向けのため、参列者が30名を超えるような場合には別途オプション手配(式場追加手配等)が必要になる可能性があります。多くの場合、親族・親しい友人のみ10名以内で行うケースが大半で、香典を辞退することも多いため返礼品も簡略化されています。なお公式サイトでは各プランの対象人数について明示はありませんが、プラン利用者の平均参列数は10名程度と公表されています。
-
サービス内容: 小さな家族葬プランに含まれる内容は必要最低限ながら一通り揃っています。具体的には寝台車(搬送往復)、安置室利用、ドライアイス(一定回数)、祭壇(造花飾り)、お棺、骨壺、遺影写真、司会進行スタッフ、火葬場案内、役所手続き代行などです。通夜1日+告別式当日の2日間、担当スタッフが付き添い進行してくれます。自宅安置が難しい場合は提携安置施設を手配し、式場も小さなお葬式側で近隣の会場を確保します(全国4,000箇所以上の提携式場あり)。料金に含まれないものとしては火葬料金(火葬場に直接支払い)、式場使用料の差分(規定の式場使用料を超える葬儀場を希望する場合)が挙げられます。また宗教者手配料(お布施)は含まず、希望者には定額で僧侶手配サービスを案内しています。標準プランでは飾り棺、白木位牌、仏衣、骨壺(六寸)などもセットになっているため、基本的に追加購入は不要です。オプションで生花祭壇への変更やお別れ花、想い出ムービー上映、納棺時のメイク(エンゼルケア)などを付けることもできます。小さなお葬式は「低価格でも品質は担保する」としており、実際にスタッフ対応や式の質についても概ね好評な口コミが多く見られます。ただし大手互助会のような重厚な設備や大人数対応力はないため、本当に家族だけで質素に送るのに向いたサービスと言えます
-
式場数・施設展開: 自社の常設式場は持たず、全国の提携葬儀社・斎場ネットワークを活用する形です。ユニクエスト社の本社は大阪ですが、対応エリアは日本全国(離島など一部除く)に及びます。全国に約4,000社の提携先があり、その中から利用者の地域・希望に合う式場を手配します。例えば東京23区でも多数の提携斎場があり、火葬場併設式場から民営ホールまで幅広く選択可能です。自社で運営する拠点としては遺体安置施設「お預かり安置室」や相談サロンを主要都市に構えています。式当日は提携先の葬祭ディレクターが施行を担当し、「小さなお葬式」標準のサービス進行マニュアルに則って執り行います。そのためどの地域でも一律の品質・料金で提供できる仕組みです。式場によってはプラン料金外の使用料が必要になる点には注意が必要ですが(事前に案内あり)、それでも総額費用は他社より低く抑えられるケースがほとんどです。要は「全国規模の定額制プラン」として展開されているのが小さなお葬式の特色です。
-
料理・返礼品の対応: 小さなお葬式では基本プランに通夜振る舞いや精進落としの料理は含まれていません。家族葬の場合は飲食を省略されることも多いためですが、希望すれば別途手配可能です。提携斎場によっては館内に仕出しを発注でき、10名程度の簡易なお食事(お弁当や寿司盛り合わせなど)を準備できます。また香典返しについても、ユニクエスト社が専門オンラインショップ(※「香典の後返しONLINE STORE」等)を運営しており、葬儀後にそこから品物選択・発送を行うことができます。小さなお葬式利用者には割引クーポンが提供されるため、自分で百貨店に発注するより手軽で安価です。法要料理や引き出物も同様にオプション対応で、葬儀プラン申し込み時に合わせて相談できます。公式サイトには「法事・法要」専用ページがあり、料理や引物の手配も承るとうたっています。つまり葬儀当日の料理・返礼品は必要に応じて追加、不要ならゼロにできる柔軟性が特徴です。費用を最小限にしたい場合は完全に省略する選択肢もありますし、身内だけでもしっかりおもてなししたい場合は有料オプションで追加もできます。小さなお葬式のスタッフに依頼すれば、具体的なメニュー提案から手配まで代行してもらえるので安心です。
-
アフターサポート: ユニクエスト(小さなお葬式)グループは葬儀後のサポート体制も包括的です。サイト上のメニューにもある通り、「仏壇・本位牌」「法事・法要」「香典返し」「納骨」「遺品整理」といった各サービスをワンストップ提供しています。具体的には、提携仏壇店「堂葬」や、自社運営のオンライン位牌ショップ、海洋散骨やお墓紹介サービス「おはこ」、遺品整理マッチングサービスなど、多岐にわたります。法要手配に関しても、小さなお葬式経由で寺院手配を申し込めば主要宗派のお坊さんを手配してもらえます。また、葬儀後に疑問があれば24時間サポートダイヤルで相談でき、経験豊富なオペレーターが対応してくれます。さらに、希望者には相続手続き代行や遺産整理についても専門会社を紹介し、保険金請求や年金手続きのガイドブックを提供するなどアドバイスしています。ユーザーの評判でも「生前準備から葬後の対応まで全てサポートしてもらえた」という声が多く、パンフレット請求者には「喪主が必ず読む本」という小冊子を無料進呈するなど啓発にも熱心です。総じて、小さなお葬式は低価格でありながら葬儀後までケアが手厚い点で高い評価を得ています。


まとめ:各社の特徴と選び方
今回取り上げた葬儀会社6社は、それぞれ明確な個性と特徴を持っています。
- 費用を抑えつつシンプルに行いたい方は「小さなお葬式」や「ティア」がおすすめです。全国一律のサービスと明瞭な料金設定で安心感があります。
- 地域に密着し、互助会のメリットを享受したい方には「ベルコ」「日本セレモニー」「セレマ」が向いています。これらは会員になることで葬儀費用を大幅に節約でき、葬儀後のサポートも充実しています。
- きめ細かいサービスや葬儀後のアフターサポートを重視する方には「公益社」が最適です。遺族の心のケアや、各種手続きサポートまでトータルに対応しており、首都圏・関西圏では特に評価が高いです。
家族葬は、故人や家族の意向を反映した柔軟な葬儀形式です。この記事が、あなたの大切な家族の葬儀をより心温まるものにするための一助となれば幸いです。