皆さんこんにちは、相続専門税理士の秋山です。
今日は、土地を相続する場合、「共有名義にしたらいいのか」、それとも、「単独名義にしたらいいのか」というお話をさせていただきます。
先日、兄弟のお兄さんがお見えになって次のような相談をされました。
「親が残した土地・家があります。相続後に売りたいんですけども、弟と共有名義にしたらいいのか、単独名義にしたらいいのか、どちらにした方がいいんでしょう」
どうしておいた方が良いか?
これは、不動産の利用状況により判断はコロコロと変わってきます。
まず第一番目に兄弟共有名義にした場合の話をします。
これはメリット、デメリットのどちらでも言えることですが、一方だけの判断で売却はできません。
例えば、兄が売りたいと思っている。でも弟は売りたくない。
このように意見が分かれてしまうと、売るためには双方の同意が必要になってきます。
つまり、結果売れない、ということになりますね。
また、管理責任も双方が持つことになります。
例えば、売るとした場合、双方の立ち会いが必要です。
また、契約書を作る時には、双方の印鑑が必要です。
売れた場合は、確定申告が必要になりますので、双方が譲渡所得の確定申告を行うということになります。
次に、兄弟一方の単独名義にした場合の話です。
先ほどの共有名義の逆バージョンですね。
兄または弟だけの判断で売却ができ、契約も一方だけの印鑑で契約が完了します。
また、譲渡所得の確定申告も一方だけで済みます。
しかし、この場合、兄の名義にして兄が最終的にお金を全て受け取る、ということであればいいのですが、最終的にお金は折半にする、というような話しが出ていると少し問題があります。
登記をしてしまえば、登記者がお金を受け取る権利があります。
つまり、売れたお金を折半するということになりますと、弟に贈与という形になってしまいまして、弟が贈与税の申告をするということになるんですね。
整理しますと、共用にしておけば最終的にお金を折半で受け取っても最終的な贈与の話は、発生しません。
こういう制度になりますね。
注意事項がありまして、この物件にどちらか兄か弟の一方が住んでいた場合ですね。
仮に、兄が住んでいたと仮定します。
兄が単独で相続登記して売却すれば、これは、租税特別措置法というのがありましって、この第35条に「居住用資産を売却した場合の特別控除」というのがありまして、これは3000万の特別控除があるんです。
ですから、兄が単独で相続して売却すれば、兄は3000万の特別控除が受けられることになるんですが、例えば弟と共有で半々で登記をすれば、兄は3000万円の特別控除を受けられますが、弟は住んでいませんので、その特例が受けられなくなります。
兄が住んでいたのに、例えば、弟が単独名義で相続登記して売却すれば、もちろんこの3000万の控除が受けられなくなります。
こういう風にですね、その物件に住んでいたか、いなかったか、というところで譲渡所得税は大きく変わってきますので、その辺も注意事項の一つです。
これは、売る前提で今まで話していましたが、売れたらいいのですが、ずっと売れないということも考えられますよね。
共有名義でしたら、のちのちの固定資産税とか管理費用を考えなければいけません。
草刈りなんかしなければいけないなど手間が発生するんですけど、共有名義でしたら、お互いの責任において、順番に管理をするとか、固定資産税は半々ずつ出すとかそういうこともできるんでしょうけども、単独名義になると、一方に押し付けられる可能性がありますよね。
固定資産税もあんたが払っとけとか、管理はあんたの名義だから俺は知らんとか、そういう可能性もありますので、ずっと売れないような物件でしたら、そういったところまで考えて、登記は誰のものにするか、ということを兄弟二人で協議する必要があります。
また、ずっと売れないような物件であれば、将来自分の子どもたちが、同じような苦労を引き続き行っていくということになりますので、売れそうにない土地だと、自分の名義にしない方が良いですね。
このように、その物件の過去の居住の状態であるとか、売れそうだとか、売れそうにないとか、そういったところで、判断はケースバイケースでコロコロ変わります。
これまで説明してきましたことをよく頭に入れた上で、お互いに話し合っていただいて、後で「しまった!」というようなことになりませんように、十分な注意が必要です。
今日は、親が残した土地を相続する場合、共有名義の方がいいのか、単独名義の方がいいのか、というところをお話ししました。これはケースバイケースでその物件によって、全て判断は変わってくるという話をしました。
以上です、ありがとうございます。
秋山清成
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