「一般葬や家族葬は大げさすぎるし、直葬では簡素すぎる…」そんな風に感じている方も多いのではないでしょうか。一日葬は、まさにその中間に位置する新しいお葬式の形式です。お通夜を省略し、告別式と火葬を1日で行うため、従来より負担を軽くしつつも、しっかりと故人とのお別れができます。
この記事では、一日葬の基本から流れ、メリット・デメリット、費用相場、他の葬儀形式との違い、そして具体的なサービス例として『小さな一日葬』プランの特徴まで、初めての方にもわかりやすく解説します。
目次
一日葬とは何か?一般葬・家族葬・直葬との違い
一日葬(いちにちそう)とは、その名の通り葬儀にかかる儀式を1日で全て執り行う葬式の形態です。一日葬では通常行われるお通夜を省略し、告別式(葬儀)と火葬だけを行います。
一般的な葬儀は1日目の夜に通夜、2日目に葬儀・告別式と火葬を行うため少なくとも2日間かかりますが、一日葬は告別式から火葬までを一日で完結させる点が最大の特徴です。
一般葬
従来型の葬儀で、通夜・告別式を含め2日かけて執り行います。参列者も親族以外に友人知人、仕事関係者など幅広く案内し、規模が大きく費用も高額になりがちです。一般葬の費用総額は平均で100万円以上になることも珍しくなく、ある調査では宗教者へのお礼を除いた平均でも約120万円にのぼるとされています。
家族葬
家族やごく親しい人だけを呼んで見送る小規模な葬儀です。基本的には通夜・告別式の2日間を行います。参列者数を絞ることで落ち着いた雰囲気で故人を送り、一般葬より費用を抑えられる傾向にあります。近年は葬儀の約半数が家族葬というデータもあり、主流になりつつあります。
直葬(火葬式)
通夜や告別式といった儀式を一切行わず、火葬のみを行う葬儀です。ごく近親者だけで火葬場に集まり、最低限の見送りをします。儀式を省く分費用負担は最も少なく、プランによっては数十万円以下で済む場合もあります。ただ、その簡潔さゆえに「お別れの場が無く寂しい」と感じる人もいます。
一日葬
「一般葬ほど大げさにしたくないが、直葬では寂しい」という場合に選ばれる中間的な形式です。通夜式を行わず告別式のみを行うため日程は1日で完了し、費用や準備の負担も軽減できます。一方で告別式という正式な儀式を行うため、直葬よりも故人とのお別れの時間をきちんと持てます。
一日葬は新しいスタイルの葬儀であり、「簡略化された家族葬」とも言えます。参列者は基本的に家族・親族など少人数で、葬儀自体はこぢんまりしていますが、祭壇を飾り読経など必要な儀式は執り行うため、形式にとらわれず親しい人だけで温かな見送りができるのが特徴です。
ただし、菩提寺(先祖代々のお寺)がある場合は一日葬を認めないケースもあります。伝統的な仏教では通夜・葬儀・火葬という流れを重視するため、一日葬を希望する際は事前に菩提寺に相談し許可を得ておくことが大切です。
一日葬の流れ(準備から当日まで)
一日葬の基本的な流れは「通夜が無い」こと以外は一般的な葬儀とほぼ同じです。臨終から当日まで、以下のようなステップで進みます。
病院の霊安室に長く置いておくことはできないため、自宅か葬儀社・斎場の安置施設へ移送し安置します。
役所への死亡届提出や火葬許可証の申請等の手続きは、多くの場合葬儀社が代行してくれます。
親族は後に続いて火葬場へ移動します。一日葬では通夜がない分、告別式の開始時刻は午前11時~正午頃が一般的で、式後すぐ火葬に移る流れになります。
一日葬では火葬中の待ち時間を利用して、控室で簡単な飲食(お茶や軽食)をとったり、初七日法要を繰り上げて済ませたりすることもあります。地域によっては火葬中に精進落とし(火葬後の会食)を行う場合もあります。
精進落としとは、本来、忌明けまで精進料理で過ごす習わしを「落とす」意味で、火葬後にいただく食事です。現在では、葬儀後に参列者を慰労し、お礼を伝えるための会食という意味合いが強くなっています。時間帯や習慣に応じて、火葬中または火葬後に精進落としの席を設けます。
近年は火葬場から戻ったタイミングでそのまま初七日法要を済ませることも増えていますが、一日葬では参列者の負担を減らすため、火葬中に繰り上げて初七日を行う場合もあります。
いずれのタイミングでも、当日に初七日の読経まで行って区切りとするケースが多いようです。
一日葬の当日は以上のように慌ただしく進みますが、前夜に通夜式が無い分、家族は静かに故人と過ごす時間を持つことができます。葬儀前夜に自宅や安置所で家族だけで故人を見守ったり、思い出を語り合ったりする時間は、通夜に代わる大切なひとときとなるでしょう。
また、最近では夕方から開始する一日葬プランも登場しています。これは平日昼間では参列できない方のために、夕刻に告別式を行い翌朝火葬する形式で、仕事帰りでも参列しやすくする工夫です。地域や葬儀社によって対応が異なるため、希望があれば相談してみましょう。
一日葬のメリット
一日葬は「負担の少ないお別れ」を実現できるお葬式です。通夜を省くことで生まれる利点がいくつもあります。
費用負担を抑えられる
一日葬最大のメリットは葬儀費用が少なくて済むことです。通夜を行わないため、夜の通夜振る舞い(通夜後に出す食事)にかかる費用が不要になります。また、通夜に来ていただいた方への会葬御礼の品も準備不要なので、その分の支出も減らせます。告別式後の精進落としの料理も省略すれば、さらに費用を抑えられるでしょう。
こうした費用のカットにより、一般的な葬儀に比べ総額を大幅に減らせる傾向があります。一日葬の葬儀社への支払い費用はだいたい30万~50万円程度が相場で、全国平均費用は約45万円とされています。これは一般葬に比べかなり低い水準です。参考までに、従来型の葬儀は飲食代や会場費込みで平均120万円前後ともいわれます。
金銭的な負担を減らしつつ「きちんとお見送りしたい」という方には、大きなメリットと言えるでしょう。
遺族・参列者の身体的・精神的負担が軽い
一日葬はたった1日で全日程が終わるため、喪主や遺族の疲労が格段に軽減されます。高齢の家族がいる場合、通夜・葬儀の2日間を乗り切るのは肉体的に大変ですが、一日葬なら長時間の拘束や夜通しの対応が不要なので体力的負担を減らせます。また、小規模で短期間で完結する一日葬なら、2日間にわたり大勢の弔問客に気を配る精神的な負担もぐっと小さくなります。
喪主にとっても、準備から当日対応までを一般葬より簡素に進められるため、心理的なプレッシャーは少ないでしょう。「葬儀を滞りなく行わなければ」という緊張感や、通夜で夜遅くまで対応する疲労がない分、心身ともに余裕を持って故人を送り出すことができます。
故人との最期の時間をゆっくり取れる
通夜を行わないぶん、前夜は家族だけで故人と過ごす時間が持てます。通夜があると弔問客への対応で慌ただしくなりますが、一日葬では亡くなった夜を静かに故人と向き合うことができます。
例えば、葬儀前夜に故人の安置場所で親しい家族だけで集まり、思い出話をしたり、お線香を絶やさず見守ったりすることが可能です。「忙しさで悲しみをごまかすより、静かにお別れしたかった」という遺族には、この穏やかな時間は大きな慰めになるでしょう。
実際、「通夜の晩を家族水入らずで過ごせて良かった」という声も聞かれます。また遠方から来る親戚にとっても、日帰り可能な日程なので宿泊の手配が不要で助かったという意見が多いです。
準備や段取りが比較的シンプル
一日葬は儀式が1回(告別式のみ)なので、準備すべき事項が通常の半分程度で済みます。通夜のための司会進行や料理・飲み物の手配、夜通しの設備準備などが不要です。そのため打ち合わせ項目も減り、葬儀社任せにできる部分も増えます。「何から手を付けていいか分からない…」と戸惑う初めての喪主でも、比較的スムーズに準備を整えられるでしょう。
参列者も家族・親戚中心になるケースが多く、招待や案内の手間も少なくて済みます。葬儀当日も小人数で進行しやすいため、滞りなく終えやすい点は遺族にとって安心材料です。
このように、一日葬には経済面・身体面・精神面で多くのメリットがあります。「費用も時間もできるだけ抑えたい、でもきちんとお別れはしたい」という希望に応えられる形式と言えるでしょう。
一日葬のデメリット
もちろん、一日葬には注意すべきデメリットや制約もあります。事前に理解しておき、状況によっては他の形式も検討しましょう。
参列の機会が限られる
一日葬では通夜を行わないため、「通夜だけでも参列したい」という方がお別れできない恐れがあります。告別式は平日の日中に行われることが多いため、仕事や学校がある人は参列が難しいケースも少なくありません。例えばご近所や故人の友人などは、本来であれば通夜に弔問に来られますが、一日葬だとその機会が無いのです。
「後日お線香だけでもあげたい」と希望する方への対応(自宅にお招きする等)が必要になることもあるでしょう。そのため、参列してほしい大切な人が平日日中に都合をつけられるか、事前によく確認しておく必要があります。もし難しそうであれば、無理に一日葬に固執せず家族葬(二日葬)にする判断も重要です。
儀式が簡略化されることへの抵抗感
一日葬は近年増えてきたとはいえ、まだ新しい葬儀スタイルです。ご親族や年配の方の中には「通夜もせずに済ますなんて…」と抵抗を感じる方もいるかもしれません。
とくに故人が信仰していた宗派の菩提寺がある場合は注意が必要です。伝統を重んじるお寺では「通夜抜きの葬儀は認められない」と許可してもらえないケースも考えられます。実際、「菩提寺に相談したら難色を示された」という事例もあります。
一日葬を検討する際は、事前に親族やお寺と十分話し合い、理解を得ておくことが大切です。
日程変更や延長が利きにくい
通夜を省くことで日程に余裕が無いため、スケジュールがタイトになります。例えば、遠方の親族が駆けつけるのに時間がかかる場合、本来なら通夜から翌日の葬儀までに合流できる余地がありますが、一日葬だと当日の朝までに集まれないと間に合わないことになります。
また、儀式が当日一度きりなので、悪天候や交通事情による遅れにも弱い側面があります。開始時間を遅らせると火葬場の予約時間に影響するため、時間厳守で進行する必要があり、柔軟性に欠ける点には注意しましょう。
会場費用が想定より高くなる場合がある
一日葬は1日で終わるからといって、必ずしも会場使用料が半額になるわけではありません。前日から遺体を安置する場合、通夜はしなくても式場や安置室を使用するため、2日分の会場費が発生することがあります。
葬儀社や式場の規定によりますが、「前夜からホールに遺体搬入したら通常の葬儀と同じ利用日数扱いになった」というケースもあります。その結果、通夜付きの葬儀と同額の会場費を請求される可能性もゼロではありません。
費用を抑える目的で一日葬にする場合は、式場の利用条件を事前に確認し、「一日だけの利用で済むのか」「安置のため前日から料金がかかるのか」を葬儀社にしっかり質問しておきましょう。
香典収入が減る
デメリットとは少し趣が異なりますが、一日葬は参列者数が少なく規模も小さいため、香典(参列者からの金銭のお悔やみ)の総額が少なくなる傾向があります。
一般葬では数十人~百人以上から香典をいただくこともあり、その一部を葬儀費用に充てられる場合もあります。しかし一日葬では香典を辞退することも多く、頂いたとしても人数が限られるので経済的援助はあまり期待できません。葬儀費用を香典で賄おうと考えていると想定より費用負担が大きくなることもありえますので、計画時には留意しましょう。
一日葬には「人によってはデメリットとなる点」もあります。ただ、これらは事前の準備や話し合いである程度カバー可能です。例えば「会社関係の弔問は後日お宅訪問する」「菩提寺とは充分相談して理解をもらう」など工夫次第で対応できます。
大切なのは、故人や遺族の状況に本当に合った形式かどうかを見極めることです。一日葬がベストでない場合は無理に選ばず、他の形式も検討する柔軟さを持ちましょう。
一日葬にかかる費用の目安と相場
一日葬の費用は一般葬に比べてかなり抑えられる傾向にありますが、具体的にどのくらいかかるのでしょうか。大まかな相場と内訳を解説します。
葬儀社への基本費用
葬儀一式を依頼する費用は約30万~50万円台が相場です。これは祭壇や棺、遺影写真、霊柩車、運営スタッフ、人件費など葬儀施行に必要な基本サービスを含んだ金額です(参列者規模やプラン内容によって増減します)。近年の全国平均では一日葬の総費用は約45万円とのデータもあります。地域差もありますが、目安として30~50万円前後を見込んでおくと良いでしょう。
式場使用料
葬儀を行う式場・斎場のレンタル費用です。一日葬の場合は1日分の式場費で済むケースが多いですが、前日安置などで2日分請求される可能性もあります。
式場費用は公営斎場か民間斎場か、自宅葬かによっても変わり、無料~数万円と幅があります。葬儀社の一日葬プランには「○万円までの式場費込み」と設定されていることもあります(例:「小さなお葬式」の『小さな一日葬』では式場利用料5万円までプラン料金に含む)。
飲食接待費
通夜振る舞いや精進落としの料理・飲み物代です。一日葬では通夜の席が無いため通夜振る舞いの費用はゼロになります。精進落としも省略すれば完全になくせますが、実際には火葬中にお茶菓子程度を出したり、火葬後に家族だけで食事をする場合もあります。その場合でも人数が少ないため、一般葬のように多額の飲食費はかかりません。目安として数万円程度、もしくはまったく発生しないこともあります。
返礼品代
会葬礼状や香典返しなど参列者への返礼品の費用です。一日葬では参列者数が少ないため、この費用も最低限で済みます。通夜に来た人への返礼は不要ですし、告別式の参列者に対しても品物は用意せず挨拶状のみにするケースもあります。仮に香典返しを用意しても人数分だけなので、数万円規模でしょう。
なお、「小さなお葬式」のプランでは会葬礼状30枚がプラン内に含まれているなど、返礼品も簡易な範囲で済ませることが想定されています。
宗教者へのお礼(お布施など)
お寺や宗教者に依頼する場合、その謝礼(お布施)が必要です。これは葬儀費用には含まれない別枠の支出になります。一日葬だから特別安くなるものではなく、読経してもらえば相応のお布施を包みます。
相場は宗派や戒名の有無によりますが10万~30万円程度が一般的です。ただし最近は無宗教葬や簡易な式も増えており、「お布施はかからなかった(宗教者を呼ばなかった)」という例もあります。宗教儀礼をどうするかで費用は変動します。
火葬料
火葬場に支払う火葬料金です。これは自治体が運営する公営斎場の場合、自分の住民登録地であれば無料~数万円と安価なことが多いです(市民料金)。
一方、民間火葬場や他地域の公営を利用する場合は5万~10万円前後の費用がかかることもあります。葬儀社のプラン料金に火葬料が含まれていないケースもありますので、事前に確認しましょう。
以上を合計したのが一日葬の総額費用となります。概算ではトータルで50万~80万円前後に収まることが多いようです。宗教者を呼ばない場合はさらに安く、30~50万円台も十分可能です。家族葬(通夜あり)では総額100万円超になる例も多い中、一日葬は全体として半額程度の負担で済むケースが目立ちます。
注意点として、葬儀社の提示する一日葬プラン料金はあくまで基本サービス部分であり、オプション費用が後から加算される可能性があります。例えば遺影写真の額をグレードアップしたり、祭壇の花を追加したり、遺体安置を長く延長したりすると追加料金が発生します。また前述のように式場費・火葬料・お布施などはプラン外の場合もあるので、見積もり時に「何が含まれているか」「別途いくら必要か」を細かくチェックしましょう。信頼できる葬儀社であれば、費用内訳を明確に説明してくれるはずです。
一日葬を選ぶべき人・選ばないほうがよい人
一日葬はすべてのケースで万能ではありません。故人やご家族の状況によって、向き不向きがあります。ここでは一日葬が適しているケースと、避けた方がよいケースを整理します。
一日葬を選ぶべき人・向いているケース
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費用や時間の負担を抑えたい人
経済的・時間的にあまり余裕がなく、葬儀にかける負担を減らしたいご遺族に一日葬は向いています。例えば「高額な一般葬は難しいが、直葬では忍びない」と考える場合、一日葬なら費用も時間も節約しつつ式を行えるため理想的です。
実際、「費用を抑えたいが何も無いのは寂しい」という理由で一日葬を選ぶ方は多くなっています。 -
ご遺族・親族に高齢者が多い
喪主や主要な親族が高齢だったり、体が不自由な場合、2日間にわたる葬儀は大きな負担です。一日葬であれば宿泊や深夜の対応が不要で1日で終われるため、体力的な心配が少なくて済みます。
遠方から来る親族にとっても宿の手配なしで日帰り参加できるので、「高齢の親戚にも優しい形式」と言えます。 -
遠方からの参列者が多い
親族や親しい友人が地方や海外に散らばっている場合、一日葬は移動日程の負担を減らすメリットがあります。通夜・葬儀の二日間が必要だとホテル宿泊や長期の休みが必要になりますが、一日葬なら日帰りや一泊で済むため招かれる側の負担も軽減できます。
「遠くから来てもらうのが申し訳ないから簡潔に終えたい」と考える場合にも適しています。 -
故人が高齢で会葬者が少ない
故人がご高齢で友人知人も既に少なかったり、近親者だけで静かに見送りたい場合、一日葬はぴったりです。実際、参列予定者がごく限られる場合に一日葬が最適とされています。通夜をしても翌日の葬儀と同じ顔ぶれであれば、わざわざ二日かける必要はないでしょう。
都会では近所付き合いも希薄なため、「家族・親戚のみ10名程度で十分」というケースでは、一日葬でコンパクトに行う方が合理的です。 -
形式にとらわれず身内中心で送りたい人
「儀式は最低限で構わない、親しい人だけで和やかに送り出したい」というご希望にも一日葬はマッチします。葬儀の自由度が高く、形式張った弔辞や参列者対応に追われることも少ないため、家族それぞれが故人との別れに集中できるからです。
例えば無宗教形式で好きな音楽を流すなど、自由な演出も比較的取り入れやすいでしょう。 -
無宗教・菩提寺がない人
特定の宗教色にこだわらない場合や、付き合いのある寺院がない場合も、一日葬は選びやすい形式です。通夜を省くことへの宗教的ハードルが低く、無宗教葬としてシンプルに行うこともできます。
実際、「菩提寺が無いので形式に縛られず行いたい」と一日葬を選ぶ方も増えています。 -
直葬では心残りな人
直葬(火葬式)では祭壇もなくお別れの儀もほとんどありません。「さすがに儀式なしでは忍びない」という方にとって、一日葬は直葬よりもう少し丁寧に送れる折衷案になります。お通夜をしないだけで告別式はきちんと行いますから、「最期に手を合わせる場を作りたい」という思いに応えられます。
上記に当てはまる場合、一日葬はコストパフォーマンスが良く、満足度の高いお葬式となるでしょう。
「小さなお葬式」の案内でも、一日葬は「費用も時間も抑えつつ式を行いたい」「形式にとらわれず親しい人と見送りたい」といった方に選ばれていると紹介されています。まさに「一般葬は大げさすぎるが直葬では簡素すぎる」と感じる層にフィットした形式と言えるでしょう。
一日葬を避けた方がよい人・不向きなケース
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会葬者が多く見込まれる
故人が地域や職場で多くの付き合いを持っていた場合、一日葬では参列の機会が十分に提供できない恐れがあります。平日日中の告別式だけでは参列できない人も出てしまい、「最後に顔を見ることもできなかった」と後悔を残させるかもしれません。
会社関係者やご近所など幅広くお別れしてもらいたい場合は、時間にゆとりのある一般葬や家族葬(二日葬)の方が無難です。 -
伝統的な弔いを重んじたい
ご親族の中に伝統志向の強い方がいたり、「代々通夜・葬儀はきちんとやってきたから今回も…」という意向がある場合は、一日葬に反対意見が出る可能性があります。葬儀は故人だけでなく遺された人の心の区切りでもあります。形式を簡略化しすぎることで気持ちに整理がつかない方がいるなら、無理に一日葬にせず従来通りの形を踏んだ方が良いでしょう。
「お通夜をやらなかったせいで親戚に怒られた」では本末転倒ですので、周囲の理解が得られない場合は避けるべきです。 -
菩提寺の許可が下りない
仏式で葬儀をする際、菩提寺(お世話になっているお寺)が「通夜省略は不可」とする場合があります。この場合、一日葬を強行すると後々の法要などで支障が出かねません。菩提寺がある方は、お寺とよく相談して了承が得られない限り一日葬は選ばない方が安全です。
宗派によって作法も違いますので、「どうしても通夜をしてください」と言われたらそれに従うのが無難でしょう。 -
急逝で訃報連絡が間に合わない
訃報を知った親族友人が駆けつけるまでに時間を要する場合、日程に余裕のない一日葬だと間に合わない人が出る可能性があります。例えば海外在住の肉親がいるケースなどでは、帰国に数日かかることもあります。そのような場合は火葬を待つために通夜〜葬儀まで数日あける必要もあり、一日葬の日程では不向きです。
急な不幸で関係者への連絡期間が確保しづらい時も、無理に翌日に葬儀を詰めず、2日以上かける方がよいでしょう。 -
ゆっくり弔問を受けたい
故人が亡くなった悲しみの中、通夜の場で昔の友人や縁のある人々が駆けつけてくれて語り合う時間は、遺族にとって心の支えになる場合もあります。一日葬だとどうしても儀式中心で慌ただしくなり、そうした交流の時間がありません。
「いろんな人に思い出を語ってもらいながら見送りたい」という希望があるなら、一日葬では物足りなく感じるでしょう。
上記のようなケースでは、一日葬は十分にお別れの機会を提供できなかったり、周囲の理解を得にくかったりするため、避けた方が無難です。無理に流行の形式に合わせる必要はありません。葬儀はあくまで故人と遺族のためのものですから、状況に応じて最適なスタイルを選ぶことが大切です。
「小さなお葬式」の『小さな一日葬』サービス紹介と特徴
近年、一日葬を取り入れる葬儀社も増えてきました。その中でも大手葬儀サービス「「小さなお葬式」」が提供する『小さな一日葬』プランは、一日葬を検討する多くの方に選ばれています。その内容と特徴を具体的に見てみましょう。
プラン概要
『小さな一日葬』は通夜式を行わず、告別式から出棺までを1日で行う葬儀プランです。セットプラン料金は通常440,000円※ですが、事前に資料請求をすると5万円割引が適用され、385,000円※になります。火葬料金は含まれておらず別途負担ですが、基本的に葬儀に必要な一通りのサービスがパッケージ化されており、「安心・明瞭のセットプラン」として追加料金の心配が少ないことを売りにしています。
(※いずれもシンプルプランの場合)
料金に含まれる主な項目
『小さな一日葬』プランには、葬儀施行に必要な基本備品・サービスがほぼ網羅されています。例えば以下のような内容です。
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遺体の搬送(寝台車)料金
ご逝去場所(病院など)から安置場所までの搬送料金(20kmまで)が含まれています。さらに安置場所から式場、式場から火葬場への搬送も20km以内ならプラン内に含まれ、計3回分の搬送費がカバーされています。 -
遺体安置
自宅安置が難しい場合、葬儀まで最長3日間、葬儀社の安置施設で預かってもらえます。ドライアイスも3日分提供され、遺体保全に必要な処置もセットです。 -
枕飾り一式
ご遺体安置中にお供えする簡易祭壇(枕飾り)や線香・ろうそく等もプランに含まれています。自宅安置する際も最低限のお飾りを整えられる配慮がされています。 -
葬儀備品一式
棺(布団付き)や仏衣(旅支度の着物)、白木位牌(仮の位牌)など、葬儀に必要な道具類も一通りセットになっています。故人を納棺する際の着せ替えや、副葬品の用意もスタッフがサポートしてくれます。 -
式場関連費用
生花祭壇(季節の生花を使った祭壇装飾)を施し、式場利用料も5万円までプラン内で負担されます。式場に併設の親族控室や安置室も使用可能で、告別式前に故人と静かに過ごすこともできます。 -
運営スタッフ・司会
葬儀当日の進行を担当するスタッフや司会者の手配も料金内です。受付用の机や記帳用品、焼香セットなども用意してもらえるため、遺族が細かな準備をする必要はありません。 -
遺影写真セット
事前に預けた写真をもとに、四つ切サイズと手元用サイズのカラー遺影写真(額付き2枚組)を作成してもらえます。プロがきれいに補正・引き伸ばしを行い、祭壇用に立派な額で用意してくれます。 -
会葬礼状
参列者へのお礼状が30枚までプランに含まれます。少人数の葬儀であれば充分足りる枚数で、文面も用意してもらえるので安心です。 -
火葬手続き代行
葬儀社側で死亡診断書を役所に提出し、火葬許可証の申請を代行してくれます。これにより、ご遺族は面倒な役所手続きをせずに済み、故人との時間に専念できます。 -
骨壺・骨箱
火葬後の遺骨を納める骨壺一式もプランに含まれています。白木の箱に収め、自宅に持ち帰るところまでサポートされます。 -
自宅飾りセット
葬儀後、四十九日法要まで遺骨と位牌を安置しておくための簡易祭壇(後飾り壇)一式も提供されます。これがあれば自宅での安置もスムーズです。
このように、『小さな一日葬』では葬儀に必要なものがワンセットになっており、追加費用の心配を極力減らしているのが特徴です。
例えば式場費も5万円まで込みなので、大抵の公営斎場なら追加料金なしで利用できます。上限を超えた場合でも、その差額分の実費を支払うだけで済みます。
また、支払い総額が明確なので初めてでも計画を立てやすく、「本当にこの値段で葬式ができるの?」という不安感を和らげています。
サービスの特徴やメリット
『小さな一日葬』が支持される理由として、以下の点が挙げられます。
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明朗会計で安心
上述の通りパッケージ内容が充実しており、見積もり時に総額がはっきりしています。「追加料金不要※」とうたっており、利用者の満足度も高いとのこと。(※火葬料等一部除く) -
搬送や安置もお任せ
遺体搬送や安置もプラン内で対応してくれるため、遠隔地で亡くなった場合や自宅に安置できない場合でも柔軟に対応できます。ドライアイスや安置施設利用も含まれるので、急な逝去時にも安心です。 -
オプションで希望に応じられる
基本プランに加え、祭壇のグレードアップ(花の量を増やす等)や、湯灌・納棺の儀、宿泊付き添い安置(夜間に家族が付き添える安置プラン)など、希望に応じてオプションを追加することができます。
例えば「告別式前夜も故人と過ごしたい」という方向けに、斎場で一晩付き添える安置プラン(+5万円)が用意されているなど、柔軟に対応してくれます。 -
全国対応・式場多数
「小さなお葬式は」全国対応の葬儀ネットワークを持ち、提携式場も豊富です。自宅近くの有名斎場で安く葬儀が行える点も強みとされています。地方でも対応できるので、どの地域でも一日葬プランを利用しやすい環境です。
利用者の声・事例
公開されている情報によれば、『小さな一日葬』を利用した家族からは「必要なものが全て揃っていて準備が楽だった」「追加料金がほとんど発生せず見積もり通りで助かった」「こぢんまりした式だったがお花もちゃんとしていて満足できるお別れになった」などの声があるようです。
また、「式は簡素でもスタッフが丁寧に進行してくれて温かい葬儀になった」という感想も見られます。大手ならではの安定したサービス品質と、利用者目線の低価格設定が評価されているようです。
一方で『小さな一日葬』の注意点として、火葬料金が含まれないことや、式場によっては追加費用が生じる場合があることが挙げられます。しかしその点も事前にきちんと説明されるとのことで、総じて安心して任せられるプランと言えるでしょう。
一日葬の位置づけと選び方のヒント
一日葬は、一般葬・家族葬・直葬に続く第四の選択肢として定着しつつあります。従来は「葬儀=通夜と告別式2日間」が常識でしたが、核家族化や高齢化が進む中で、より簡素で負担の少ない葬儀を求める声が高まり、一日葬のような新しい形式が生まれました。
実際、新型コロナ禍を経て葬儀の小規模化は一気に進み、家族葬が主流化するとともに一日葬を選ぶ人も増加しています。ある調査では、2020年代前半には葬儀全体の1割以上が一日葬で占められるとのデータもあり、今後さらに認知と利用が広がっていくでしょう。
一日葬は「費用を抑えたい」「高齢者主体」「少人数で十分」といったニーズにマッチした合理的な形式です。一般葬(丁寧だが負担大)と直葬(負担小だが簡素)の中間を埋める存在であり、「ちょうどいいお葬式」と感じる方が増えています。
特にご高齢で亡くなった場合などは「通夜なしでも誰も不思議に思わなかった」「身内だけで静かに送れて良かった」という声が多く聞かれます。
葬儀は本来、故人と遺族が納得できる形であれば規模の大小は問題ではありません。一日葬は必要十分なお別れを実現しつつ、無理のない範囲で執り行える点で、現代のライフスタイルに合った選択肢と言えるでしょう。
ただし、一日葬が万能な理想形というわけではありません。前述のように、故人の社会的立場や遺族の意向によっては不向きな場合もあります。大切なのは、他の形式(一般葬・家族葬・直葬)の特徴も踏まえた上で比較検討することです。
例えば「できるだけ簡素にしたいが直葬では寂しい」という方には一日葬が適し、逆に「参列者が多いので二日間かけてきちんと送りたい」という場合は従来通りの二日葬が良いでしょう。
また宗教的な制約がある場合は慣例に従うほうが安心です。
一日葬は費用負担と心の充実感のバランスに優れた新しい葬儀形態です。親族中心のこぢんまりした葬儀を希望する方にとって、通夜なしでも充分に温かな式ができることを、多くの実例が示しています。
とはいえ葬儀に正解はなく、故人が望む送り方や遺族が納得できる形が一番です。この記事の情報や事例が、これから葬儀を考える方にとって判断材料となり、最良のお見送りの形を選ぶ助けになれば幸いです。