葬儀の帰りに渡される小袋の塩は何のためにかけるのか——お清め塩の由来は神道の「穢れ」の考え方にあり、実は浄土真宗では使用しないのが正式です。正しいかけ方の順番から、宗派ごとの考え方の違い、余った塩の処分方法まで詳しく見ていきましょう。
目次
お清め塩とは?意味と由来
お清め塩とは、葬儀から帰宅した際に体にかける塩のことです。葬儀に参列した後の「穢れ(けがれ)」を祓い清めるために使われます。
ここでいう「穢れ」とは、故人や葬儀が不浄であるという意味ではありません。人の死に触れたことで生じる「気枯れ(けがれ)」、つまり生命力が衰えた状態を元に戻すという意味合いです。
お清め塩の風習は神道に由来します。神道では死を「穢れ」と捉え、塩には穢れを祓い清める力があると考えられてきました。古事記に登場する伊邪那岐命(イザナギノミコト)が黄泉の国から帰った後に海水で身を清めた故事が起源とされています。
日本の葬儀には仏教と神道の風習が混在していることが多く、仏教式の葬儀でもお清め塩が配られるのはこのためです。
お清め塩の正しいかけ方
お清め塩には正しいかけ方の順番があります。玄関に入る前に行うのが基本です。
かけ方の手順
| 順番 | かける場所 | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 胸元 | まず胸のあたりに塩を振りかける |
| 2 | 背中 | 手を後ろに回して背中にかける |
| 3 | 足元 | 最後に足元(膝から下)にかける |
「胸→背中→足元」の順番で行います。これは上から下へ穢れを落としていくという考え方に基づいています。
具体的な手順
1. 自宅の玄関の前に立つ(玄関に入る前に行う)
2. 塩を少量手に取り、胸元に振りかける
3. 次に背中に振りかける(自分でかけにくい場合は家族に手伝ってもらう)
4. 最後に足元に振りかける
5. 服についた塩を手で軽く払い落とす
6. 玄関に入り、手を洗う
塩の量は一つまみ程度で十分です。大量にかける必要はありません。また、一人暮らしで背中にかけにくい場合は、自分の手が届く範囲でかまいません。
なぜ塩を使うのか
塩に清めの力があるとされる理由は、日本古来の信仰に根ざしています。
神道における塩の役割
神道では塩は神聖なものとされ、穢れを祓う力があると信じられてきました。神社のお祓いでも塩が使われますし、大相撲で力士が土俵に塩を撒くのも同じ考え方に基づいています。また、飲食店の入口に盛り塩を置く風習も、塩の清めの力に由来しています。
塩には防腐作用や殺菌作用があることから、古くから「清浄なもの」として扱われてきた歴史があります。食べ物を腐敗から守る塩の力が、霊的な穢れを祓う力と結びつけられたと考えられています。
仏教では本来不要
実は、お清め塩の風習は神道由来であり、仏教の教えには含まれていません。仏教では死を穢れとは考えないため、本来であればお清め塩は不要です。しかし、日本では仏教と神道の風習が混じり合っているため、仏教式の葬儀でもお清め塩が配られることが多くなっています。
浄土真宗ではお清め塩を使わない
仏教の中でも、特に浄土真宗(本願寺派・大谷派)ではお清め塩を使わないことを明確にしています。
・浄土真宗では、死は穢れではなく、阿弥陀如来の浄土に往生することと考える
・故人は亡くなると同時に仏になる(即身成仏)という教えがある
・死を穢れとして塩で清めるのは、故人を不浄なものとして扱うことになり、教えに反する
・お清め塩は神道の風習であり、仏教本来の教えとは異なる
浄土真宗の葬儀ではお清め塩が配られないことが多く、配られた場合でも使う必要はありません。浄土真宗以外の宗派(真言宗、天台宗、曹洞宗、臨済宗など)でも、仏教の教義上はお清め塩は必要ないとする見解が主流ですが、習慣として配っている葬儀社が多いのが実情です。
お清め塩をもらえなかった場合
最近では、お清め塩を配らない葬儀社も増えています。お清め塩をもらえなかった場合の対処法を解説します。
家庭にある塩で代用できる
葬儀でお清め塩が配られなかった場合は、家庭にある食塩で代用して問題ありません。できれば天然の粗塩が望ましいとされていますが、精製塩でも構いません。使い方は葬儀でもらうお清め塩と同じです。
使わなくても問題ない
前述のとおり、お清め塩は神道の風習であり、必ず使わなければならないものではありません。特に仏教式の葬儀では本来不要とされています。お清め塩を使わなかったからといって不幸が起こるということはありませんので、気にしすぎる必要はないでしょう。
お清め塩を使う際の注意点
お清め塩を使う際には、いくつかの注意点があります。
| 注意点 | 詳細 |
|---|---|
| 玄関に入る前に行う | 穢れを家の中に持ち込まないために、必ず玄関の外で行う |
| 服の上からかける | 直接肌にかけるのではなく、着ている服の上からかける |
| 食べ物に使わない | お清め塩は食用ではないため、料理には使わない |
| 他の人のお清めに使わない | お清め塩は個人ごとに使うもの。他の人に使い回さない |
余ったお清め塩の処分方法
葬儀でもらったお清め塩が余った場合、処分方法に迷う方も多いでしょう。
・そのまま処分してよい:通常のごみとして処分して問題ありません
・水に流す:気になる場合は、キッチンやトイレの水で流しても構いません
・庭に撒く:庭がある場合は、土の上に撒くことも可能です
・保管の必要はない:お守りのように保管しておく必要はありません
お清め塩は宗教的なお札やお守りとは異なるため、特別な処分方法は必要ありません。気持ちの問題として丁寧に扱いたい場合は、白い紙に包んでからごみとして処分するとよいでしょう。
よくある質問
Q. お清め塩は葬儀の当日でないと効果がない?
お清め塩は葬儀から帰宅した際にすぐ使うのが基本です。帰宅してからしばらく時間が経ってしまった場合でも、気になるようであれば使って構いません。ただし、お清め塩の効果は宗教的・精神的なものであり、時間の経過で効果が薄れるという教えはありません。
Q. ペットの葬儀の後もお清め塩は必要?
ペットの葬儀の後にお清め塩を使うかどうかは個人の判断です。お清め塩は人間の葬儀に関する風習であり、ペットの葬儀について明確な決まりはありません。気になる場合は使っても問題ありません。
Q. 塩以外にお清めの方法はある?
塩以外にもお清めの方法はあります。手を洗うこともお清めの一つとされており、帰宅後に手を洗うだけでも浄化の意味があります。また、神社でお参りする際の手水舎(ちょうずや)での手洗いも同じ考え方です。塩が手元にない場合は、しっかりと手を洗うことでお清めの代わりとすることができます。
まとめ
- お清め塩は神道に由来する風習で、葬儀参列後の穢れを祓い清めるために使う
- 正しいかけ方は「胸→背中→足元」の順で、玄関に入る前に行う
- 穢れとは「不浄」ではなく「気枯れ(生命力の衰え)」を意味する
- 浄土真宗では死を穢れと考えないため、お清め塩は使わない
- 仏教の教義上はお清め塩は不要だが、日本の葬儀では神仏混合の習慣として広く行われている
- 余ったお清め塩は通常のごみとして処分して問題なく、特別な扱いは不要
マナーに「絶対の正解」はありませんが、基本を押さえておくだけで気持ちに余裕を持って臨めます。
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