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故人の相続財産・債務をスムーズに把握する手順まとめ

相続財産・債務を把握

私が執筆しました

小林義崇

1981年、福岡県生まれ。2004年に東京国税局の国税専門官として採用され、相続税の調査や所得税の確定申告対応、不服審査業務等に従事。17年7月、フリーライターに転身。書籍や雑誌、ウェブメディアを中心とする精力的な執筆活動に加え、自身のYouTubeチャンネルでお金に関する発信を行っている。
【著書】
すみません、金利ってなんですか?
「元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者」

 

予期せず両親などが亡くなった場合、相続財産や債務を把握するのは難しいものです。しかし、相続財産の把握が遅くなると、その後に続く、遺産分割協議や相続税の申告なども遅れるといった問題が起きてしまいます。そこで今回は、できるだけスムーズに相続財産や債務を把握するための方法をお伝えします。

まずは貴重品が保管されている場所を特定する

預金通帳や不動産の権利書など、相続財産や債務と関連する貴重品はひとつの場所で管理されているのが一般的です。そうした場所は、できれば故人から生前に教えてもらっておきたいところですが、予期せぬ相続で保管場所が不明な場合、故人の部屋などを片付けながら探すことになります。

考えられるケースとしては、故人の使っていた書斎の引き出しや、自宅の金庫、押入れの中などが挙げられます。また、なかには銀行の貸金庫を利用していて、貴重品は自宅に置いていないというケースもあるでしょう。この場合、貸金庫の申込書類などは自宅で保管しているはずですから、そこから把握した銀行に問い合わせをして、貸金庫の中身を確認しましょう。

相続財産1:預貯金

預貯金は、相続財産のうち代表的なものであり、どこの家庭にもあるはずです。しかし、なかには複数の預金口座を利用している場合もあるため、すべての通帳や、対応する届出印を見つけ出すのは一苦労です。

まずは、上記で把握した貴重品の保管場所で、通帳を探すところから始め、そこで通帳を発見できれば、銀行のATMで通帳記帳をして、故人が死亡した日現在にどれだけの残高が残っていたか把握します。銀行によっては、戸籍謄本など、相続人であることを示すための書類の提示を求められる場合もあるため、あらかじめ電話で問い合わせておいた方が無難です。

なお、故人が通帳記帳をせずに長年放置していた場合は、銀行再編前の預金通帳しか残っていない場合もありえます。たとえば、かつて存在した「さくら銀行」は、現在は「三井住友銀行」ですので、このような場合、インターネットなどで現在の銀行名を調べなくてはなりません。

相続財産2:医療保険・生命保険

故人が加入していた各保険の申込書類の控えから、契約内容を把握することができます。もし控えが見つからない場合でも、毎年11月前後に、保険会社から、確定申告用に保険料の支払金額を示す証明書が送られてきますから、ここから把握することもできます。

注意が必要なのは、「故人が契約していない保険でも、相続の対象になる」という点です。たとえば、「妻が死亡した場合に、夫に保険金が支払われる」という保険を、妻が契約していた場合で、もし夫が先に亡くなったら、まだ妻は存命のため保険金は支払われません。しかし、「保険金を受け取る権利」を持っていた父が死亡したため、相続の対象になるのです。

そのため、相続があった場合は、故人が契約していたものだけでなく。家族全員の保険契約の内容を見直した方が良いでしょう。

相続財産3:不動産

自宅が持ち家の場合、その土地や建物は相続財産だということは明確です。問題は、「自宅以外に不動産を持っていないか」という点でしょう。なかには、住所とはまったく関連のない場所であっても、先祖から相続していた土地が遠方にあるケースもあります。

そんなときは、故人の自宅に送付される「固定資産税の納税通知書」を確認してください。固定資産税は、土地や建物の所在する市区町村の役所や都税事務所から所有者に対して毎年送付されますので、この通知書を見ると、故人が所有する不動産の所在地を把握することができます。

さらに、不動産の権利の共有者を確認したり、名義を変更したりする場合は、法務局が窓口となります。固定資産税の納税通知書で把握した不動産の所在地の情報を控えて、問い合わせましょう。

相続財産4:株式や投資信託などの金融商品

株式や投資信託などの金融商品も相続財産です。こういった投資商品は、かつては「証券」という紙が発行されていたのですが、近年は電子化が進み、証券を発行される機会は少なくなっています。

たとえば、上場会社の株式は平成21年以降に電子化されているので、電子化以降に株式を購入した場合、証券は発行されず、取引のある証券会社などに、「株を所有している」という情報が登録されているだけです。

そのため、故人がどういった金融商品を所有していたのかを把握するには、取引のあった証券会社等に問い合わせるしかありません。どこと取引していたのかは、毎年1月頃に証券会社から郵送される「年間取引報告書」で知ることができます。あとは、取引のあった証券会社等に問い合わせ、故人が亡くなった日時点の残高を調べましょう。

相続財産5:貸付金

故人が貸していた金銭などがあれば、その債権を相続人が引き継ぐことができます。しかし、預金などと比較し、正確に把握するのは難しい場合が多いでしょう。もし貸借契約書など、貸付があることを示す書類があれば、借主に問い合わせるなどし、確認をしましょう。

また、故人が自身で会社を経営していた場合、会社への貸付金があるかもしれません。この場合、会社の顧問税理士に聞くなどし、決算書類などを確認することで貸付金の有無を把握することができます。

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財産よりも難しい、故人の債務の調べ方

相続が発生すると、プラスの財産だけでなく、借金などの債務も引き継ぐことになります。これまで説明した相続財産に比べ、債務は家族に隠されている場合もあるため、把握はより難しくなるでしょう。しかし、相続財産と同じく、債務も、誰が引き継ぐのかを決める必要があるため、やはり把握しなくてはなりません。

債務を発見するには、故人の通帳を確認することが有効です。毎月の特定の日など、定期的に通帳から振込があれば、その支払先に確認してみましょう。また、故人の債務が銀行などからのものであれば、以下の照会機関に問い合わせる方法もあります。

  • 銀行からの借入:一般社団法人全国銀行協会
  • クレジット会社からの借入:CIC
  • 消費者金融からの借入:JICC

以上、相続財産や債務を把握する方法を紹介しましたが、故人が亡くなった後に調べるのは、時間や手間がかかります。できる限り、生前から家族で相続財産や債務の情報を共有しておくのがベストでしょう。

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