「他社の社葬に呼ばれたらどんな服装で臨めばいいのだろう・・・」
「香典はどのような形でいくら包めばいいのだろう?」
「弔辞を頼まれたら、どのような内容を読めばいいのだろう?」
そのように思いがけず、会社の代表として他社の社葬に参加することもあるかもしれません。
初めてのことであったり何も準備していないと、慌ててしまうこともあるかもしれません。
あるいは、
「社葬を欠席したいけれど、どうしたらいいのだろう?」
そのように悩まれている方もいるかもしれません。
そこでこの記事では、社葬に参加する前に知っておきたい基礎知識(弔辞に適した服装の選び方、案内状の返信マナーなど)、弔辞・挨拶の例文などを一通りお伝えしていきます。
では、さっそくみてみましょう。
目次
社葬には大きく3タイプがあります
まずはこの違いをしっかり理解しておきましょう。
社葬には大きく3つの分類があります。
- 社葬(団体葬)
- 合同葬
- お別れ会・偲ぶ会
この3つの形式のうち、どの社葬にあなたが呼ばれているのかを明確にしていきましょう。
参加する社葬がなにかによって流れや具体的な対応が変わってきます。
では、3つの社葬タイプを見ていきましょう。
タイプ①:社葬(団体葬)について
一般に社葬といえば、故人が所属していた企業など団体が主体になって執り行う「団体葬」を言います。
そして、「個人葬」のちに行われる本葬をさします。
図式にすると次のとおりです。
「故人のご逝去」→「個人葬」→「社葬(団体葬)」
ここでの「個人葬」は、その後本葬の社葬を前提としている場合には「密葬」とも言われます。
本葬を「社葬」、または後述の「お別れ会、偲ぶ会」で行う場合は、外部に伝えることなく、うちうちで個人葬を行われます。
社葬は無宗教葬の場合もあります。
多くは、生前故人が信仰していた宗教や宗派・宗旨に基づいて行われるのが一般的です。
タイプ②:合同葬について
では合同葬とはどのような葬儀なのでしょうか?
合同葬は、個人葬と社葬が合わさった葬儀となります。
つまり、合同葬=個人葬+社葬です。
合同葬のメリットは通夜と葬儀をまとめられるため、遺族においても、会社にとっても、個人葬と団体葬としての社葬を行うよりも時間的負担が少なくなることです
タイプ③:お別れ会・偲ぶ会について
最後、「お別れ会・偲ぶ会」についてご説明します。
こちらは2つの意味合いがあります。
ひとつは、上記の「社葬(団体葬)」や「合同葬」のことを「お別れ会(または偲ぶ会)」という呼ぶケースです。
すなわち、中身は社葬や合同葬でありながら、葬儀名(ネーミング)だけがお別れ会となって行われるケースになります。
もうひとつが、会社が主催となって行うフリースタイルの文字通りお別れ会です。
こちらは個人葬の後日、無宗教葬として葬祭場やホテルの宴会場などで式典として行われるものです。
故人のメモリアルコーナーを設置したり、立食形式にするなどの来賓のもてなしを行うものなどがあります。
なお、一般の告別式では故人が遺体の状態でその式場内に安置されています。
それに対し、社葬としてのお別れ会・偲ぶ会はすでに密葬にて荼毘されています。
遺骨の持ち込みができるところでは骨壷などに入った状態で遺骨、またはそうでない場合は位牌や遺影などで行われるといった違いがあります。
以後、この記事で取り上げるのは会社が主催するお別れ会・偲ぶ会になります。
一般のお別れ会・偲ぶ会についてはこちらの記事をご覧ください。
>>>別記事:(参加者向け)お別れ会・偲ぶ会に呼ばれたら?知っておきたい服装、香典、弔辞マナー、欠席の案内状の返し方まで
まとめるとこうなります。
社葬の種類 | 説明 | 費用負担 |
---|---|---|
社葬(団体葬) | 個人葬のちに行われます。葬儀参列者の範囲は、遺族、親戚、来賓、会社の主な役職者に限定されます。 | 会社が全額または一部負担する |
合同葬 | 個人葬(近親者の密葬(家族葬、直送))と社葬を合わせて行う葬儀のことです。 | 費用は企業と遺族の話し合いによって行われます |
お別れ会・偲ぶ会 | 個人葬後、無宗教形式で行われます。主催が個人のケースと会社のケースに分かれます。 | 会社が全額または一部負担する |
以上のように社葬には3つの形式があります。
まずはどの葬儀や会に招待されているのかを明確にしたうえで、以下の手順にしたがって社葬に呼ばれてからの流れをみていきましょう。
社葬や合同葬、お別れ会・偲ぶ会に呼ばれたら
葬儀や会に呼ばれたのでしたら、まずはその社葬に誰が参列するのかを決めていきます。
指名されていない場合、社の中で1人か2人となりますが、参列者を選ぶ際には故人よりも下の役職から人員を選出するのは失礼になります。
必ず故人よりも上の役職から選ぶようにしましょう。
万が一都合がつかない場合は代理を立て、名刺は参列する本人のもとの代理される側の名刺を用意しましょう。
参列できない場合は弔電や電報にて、出席できない旨を詫びる文章を書いて送ります。
香典辞退の案内状でなければ香典を送ることも可能です。
弔電の詳しい送り方はこの記事のマナーの中でご説明していきますのでどうぞご参照ください。
>>弔電の送り方マナー(下にジャンプします)
また郵送で香典を送る場合は現金書留封筒を使いましょう。
では、ここからは社葬、合同葬、お別れ会・偲ぶ会に共通する持ち物やマナーをみていくことにしましょう。
社葬や合同葬、お別れ会・偲ぶ会の持ち物
参加者の持ち物にはどのようなものがありますか?
社葬の場では、香典の他に名刺を持参しましょう。
香典受付にて受付に渡すこともあります(その場合は、案内状に記載されています)。
式典中は名刺のやりとりは原則慎むべきですが、話のなかで誰かに名刺を渡す必要がでてくるかもしれません。
代理人として参列する場合は、代理となる自身の名刺と参列できない代表者の名刺の2枚を用意しましょう。
その際、社葬に本来参列予定だった上席者の名刺には事前に右上に「弔」と書いておきます。
自分の名刺には「代」と書いておくことで間違いを減らせると共にそれがマナーとなります。または、書く代わりに左下を折りましょう。
社葬が仏式であり、焼香台が設置されている社葬の場合は焼香の際、数珠を使うとよいでしょう。
会社で準備があればそちらを持参し使いましょう。
社の代表として参加する場合は、社章をつけることができます。
また服装などのマナーについては次をご覧ください。
社葬での身だしなみと服装の注意点
社葬での服装は案内状に記載がなければ喪服が無難となります。
一般参列者の服装や身だしなみはどうすればいいですか?
基本は、案内状に従います。
何も記載がない場合は、喪服を原則とし、必要に応じて電話で確認しましょう。
平服でご参加くださいとあれば平服(略喪服、略礼服)で臨みます。
ですが、社葬の場合は一般のお別れ会とは違います。
社交儀礼の場でもありあす。
平服と言われてもカジュアルな普段着は避け、取引先に赴いてもはずかしくない服装を心がけましょう。
社葬や合同葬の場合は、一般葬儀と同じ服装を想定しておきます。
ただし平服でお越しくださいとあれば、男性は黒やグレーのスーツで白いワイシャツ、女性は黒のスーツやワンピース、アンサンブルなどで臨みましょう。
女性はメイクが濃くならないように気をつけます。
靴やネクタイは黒に統一していきましょう。
お子さん(子ども)は、制服があれば制服を着用します。
制服がない場合は、無地の黒や紺などの地味な色合いの服を選んでいきましょう。
急で喪服がない場合は葬祭業者に依頼することで貸衣装をレンタルしてくれるので依頼されると良いでしょう。
社葬や合同葬のマナー
それでは、ここで社葬や合同葬、また社葬としてのお別れ会や偲ぶ会のマナーをみていくことにしましょう。
今回ここで取り扱うマナーは以下の通りです。
- 受付での記帳マナー
- 挨拶、弔辞のマナー
- 弔電のマナー
- 香典の表書きと包み方のマナー
- 供花の送り方マナー
- 献花のマナー
- 焼香のマナー
- 玉串奉奠のマナー
- 社交の場で気をつけるマナー
では、順にみていくことにしましょう。
受付での記帳マナー
受付についたらまずはご遺族にお悔やみの言葉を述べましょう。
ただし、混雑することがあるため弔意の言葉は短く済ませましょう。あるいは黙礼で済ませます。
香典辞退でなければ香典を渡します。
受付簿に記帳し、名刺を渡します。
代理の場合は受付簿には参列できなかった代理人の名前、会社の住所などを記載の上、代理の「代」を名前の下に書いておきましょう。
挨拶、弔辞のマナー
挨拶や弔辞やメッセージはどのようにすればよいでしょうか?
いざ弔辞を依頼されても戸惑われてしまうことと思います。
依頼された場合は、できるだけ断らずに引き受けることが求められます。
一例ではありますが、弔辞では、以下の文例を参考になさってみてください。
■上司から社員への弔辞
謹んで●●君の御霊前に告別の辞を申し上げます。
●●君、運命とは何と残酷なものであろうか。●年前、君の結婚式の仲人を務めさせて頂いた私が、今日こうして告別式で永訣(えいけつ)の挨拶をしなければならないとは未だに信じられません。
君の訃報はあまりに突然で、いまだ事実として受け入れられない気持ちでいっぱいです。
その後の経過は順調と伺っていたのに、容体が急変し、永眠されたと知らされ、ただあ然とするばかりでした。
●●部に配属されて以来、情熱をもって仕事に取り組まれていた君は、後輩諸君の目標であり、会社にとっては希望の星でありました。
奥様、お子様の悲しみは、察するにあまりあります。けれどもいつまでも悲しみに打ちひしがれていては、●●君も安心して瞑目することが出来ないでしょう。お子様のためにも、奥様にはどうか、一日も早く悲しみから立ち上がって頂きたいと存じます。
私どもも出来るだけお手伝いをさせて頂きます。
●●君、どうか安らかにお眠りください。●●社●●部長 ●●●●
帝都典礼株式会社株式会社より引用
弔辞はどのように書けば良いですか?
弔辞は奉書紙か巻紙に薄墨で書きます。式典中3分から4分で読み終わるように原稿用紙2枚分を目安の分量にしましょう。
奉書紙は一折約8cmの幅で左から包み込むように畳みます。最後は右端が上にくるようにたたみます。
その弔辞が書かれた奉書紙を別の奉書紙で包み、表面に弔辞という表書きを書いて持参しましょう。
弔電のマナー
弔電はNTTや郵便局、またはインターネットで民間企業が提供している電報サービスです。
お悔やみごとだけでなく、お祝い事にも使われる電報です。
今回は亡くなられた故人にいち早くお悔やみの言葉を伝える電報を弔電として取り扱っていきます。
弔電はどのように送ればよいでしょうか?
弔電を送る際は文面の内容や長さよりも、とにかく早く送り届けることを優先しましょう。
必要があれば事前に文面を考えて用意しておくこともときに大事になります。
とくに合同葬の場合は送るタイミングを迷いますが、開催日まで待つのではなく、訃報の知らせを聞いたらすぐに送るようにしていきます。
弔電のメリットは以下の通りです。
- ご遺族に電話やメールのような負担を与えずに、お悔やみの言葉を送ることができる
- 都合がつかずに駆けつけて出席できない場合の代わりとすることができる
- 参列した上で供花を送った際に合わせて送ることで企業の広報的役割を持たせられる
- 読み上げられることで企業アピールと関係強化につながる
送り先の宛先は、面識があるないに関わらず喪主とします。
式場に社葬前日までに届くように送ります。
差出人は社長名または担当役員名としましょう。
故人と親しい間柄であったり密葬に参列する場合の送るタイミングは、訃報で故人の逝去を知ったらすぐにです。
ご自宅に送ることもできます。
そうでなければ、社葬前日に届くようにお届け日時の確認をしていきましょう。
弔電の申し込みの流れ
以下、弔電の申し込みの流れになります。
受取人が誰から届いたかわかるように企業名や代表者名を忘れずにそえ、電報内容を伝えていきましょう。
・弔電サービスに申し込みます
以下の3つのサービスを参考に申し込みましょう。
NTT | 局番なし「115」に電話、またはインターネットサービスD-MAILから申し込みをします。 >>NTT東日本はこちら >>NTT西日本はこちら |
---|---|
郵便局 | Webレタックスにて弔電を依頼します。 >>Webレタックスはこちら |
インターネット弔電サービス | インターネットで「弔電、インターネットサービス」と検索し希望にあったサイトから申し込みます。 一例: >>佐川急便の子会社 VeryCard >>KDDIグループのでんぽっぽ |
・台紙を選びます。
すでに用意されている台紙から故人にあったものを選びましょう。
・お届け先情報を入力
故人と喪主の氏名、連絡先(住所、電話番号)など
また送り先の会場名、または葬儀委員長が所属する企業に送ります。
・電報メッセージを入力
故人に送るメッセージでありつつも、式典で読まれても不快に思われない内容にしましょう。
とくに忌み言葉を避けることが大切です。
また弔電には故人やご遺族に対する敬称があります。そちらを使いましょう。
・差出人の情報を入力
弔電の差出人は、弔電拝読を想定して代表取締役など会社を代表する人を氏名に書きます。
ふりがなをふり、連名で送るのは避けましょう。
その他電話番号やメールアドレスなどの連絡先も記載します。
・お支払い
クレジットカード払い、または現金など対応しているサービスで支払います。
・受付完了
インターネット申し込みの場合、受付完了メールが届きます。
大切に保管しましょう。
申し込みの際は、氏名、住所、電話番号、会場名を事前に確認しておきましょう。
料金は申し込みプランや文字数によって変更となります。
またオプションに以下のものがあります。
線香 | 日本香堂製で高品質なお線香をつけることができます。 |
---|---|
プリザーブドプラワー | 基本は線香とセットで送られます。生花を加工してあり、長期保存に向いています。 |
その他 | うるし盆、七宝焼き、刺繍などがあります。 |
社葬や合同葬、お別れ会・偲ぶ会での弔電の文例と書き方
文例は、NTTでも用意しています。
一例を抜粋して紹介しましょう。
御社●●様のご訃報に接し衷心より哀悼の意を表します。ご生前のご厚情に深く感謝いたしますとともに、心ばかりのお線香でございますが、どうぞご仏前にお供えいただければと存じます。在りし日のお姿を偲びつつ、心よりご冥福をお祈り申しあげます。
NTT東日本 DMAILより引用
このようにあらかじめ用意された文例を使うことで大きな間違いを減らせます。
書き方については、弔電は故人ではなく喪主に送りますが、喪主が誰なのかがわからない場合には、「(故人のフルネーム)家 ご遺族」とし、社葬として送る場合は葬儀責任者または主催者宛に送りましょう。
また弔辞のなかでは忌み言葉を避けましょう。
香典の表書きと包み方のマナー
香典辞退の申し出が案内状にない場合は、故人の霊前に備える香典(不祝儀)を持参します。
香典袋(不祝儀袋)に関係性にあった金額の香典を入れ、袱紗(ふくさ)に包んで持参しましょう。
香典袋の表書きの書き方は故人の宗派に合わせます。
香典の不祝儀袋にはどのように書けばよいでしょうか?
不祝儀袋の種類に注意しましょう。
香典袋(不祝儀袋)は、仏教・仏式では葬儀と同様、黒白または白銀の結び切りの水引がついたもの、または無地の白封筒を使用します。
あるいは蓮の花が印刷されているものもありますが、神道・神式では双白または双銀の水引の香典袋を、キリスト教では無地か、ユリの花や十字架が右上にあしらわれた香典袋を用います。
宗教の違いによって相手に不快な思いをさせることのないよう、ご遺族の家族が厳格なる宗教者の場合はとくに注意しましょう。
表書きは、相手の宗教がわからなければキリスト教のプロテスタントと浄土真宗を除く各宗派に通用する「御霊前」と使うことが無難です。(四十九日後は仏式では「御仏前」)
あるいは、どの宗派でも使える「御香料」や「御香奠」を使うと良いでしょう。
神式・神道であれば「御霊前」や「御榊(さかき:実際は木偏に神)料」「玉串料」、キリスト教であればカトリックは、「御花料」「御ミサ料」、プロテスタントは「御花料」「忌慰料」、などがあります。
それぞれ相手先の宗派を確認して書くようにしましょう。
そして表書きに書く際は、薄墨を使って書きます。
薄墨は市販では弔事用のサインペンや筆ペンでも代用できます。
なお、香典袋の中にある中袋(中包み)は薄墨でなくても黒いボールペンで書くこともできます。
受け取った相手が読みやすいように行書(くずした字)ではなく、楷書(字画を崩さぬ書き方)で書きましょう。
また弔事用の判子スタンプも売っていますが、受け止め方は人それぞれですので手書きにしておく方が無難と言えます。
そして、香典に包むお金のことを金子(きんす)と言います。
金子のお札は肖像がある面が表側にこないように(裏側にくるように)上包み(金子を包む紙)で包んで中袋(中包みの白い封筒)に入れましょう。
この際、上包みの折り返しは下の折り返しが上の折り返しの下に重なるように重ねます。
また中袋のおもて面にはアラビア数字(1,2,3…)でも一般的な漢数字(一、二、三…)でもなく漢数字の大字(だいじ:壱、弐、参…)で金額を書きましょう。
これはあとからの書き換えを防ぐためです。
たとえば、三千円を金子として入れる場合は「金参阡円(圓)也」と縦書きで書きます。
一万円であれば「壱萬円(圓)也」と書きます。
裏面には、住所氏名を書きましょう。
書き方が分からない場合などは、購入した不祝儀袋に付属する説明書きをご参照されると良いでしょう。
最後に、中袋を香典袋(不祝儀袋)に入れて、悲しみを示す意味で裏からみて上を下に被せるように重ね、お金が折り曲がらないようにお盆がわりの塗り板台の上に置きます。
下に敷いた袱紗(ふくさ)を右から折り、下から折り、上から折り、最後に左から右へ包むように包みましょう。
会場に着いて渡すときは、香典袋を袱紗から出し、お盆または塗り板台の上にのせ、先方に正面を向けて両手で差し出します。
会費や香典はどのように渡せばいいの?相場は?
香典を渡す場合は、その開催時期によっては「御愁傷様です」といった言葉を遺族に伝えてもよいでしょう。
お別れ会としての社葬は葬式ではないので一般には不要ですが、合同葬の場合は伝えることもあります。周りに合わせて、それに従うのも一つの手です。
香典の金額の相場は、相手先との関係によって変わってきます。
相手が社長である場合は、最大で10万円程度ですが、上司である場合は最大で3万円程度になります。
香典の表書きは、前述の通りです。
香典のマナーとしてタブーなのは、香典の額が少なかったと気づき、あとから追加で香典を渡すことです。
これは不幸が重なるということを連想させるためやってはいけません。
社葬では、一般には香典で渡すことになりますが、会社代表として参列の場合は、1万円・3万円・5万円を包むのが一般的です。
それとは別にパーティ形式の場合には会費制となることがあります。その際の会費は一人当たり8千円程度が妥当でしょう。
なお、会費制の場合消費税は、案内状に税込、税抜きの記載のあればその通りに従えば問題ありません。
飲食物などに関しては持ち帰り(テイクアウト)でなくその場で食べるイートインを前提としているため、軽減税率の対象とならず税率10%が適応されます(2021年3月現在)。
詳しくは、お別れ会、偲ぶ会の記事に詳しく書いてありますのでご参照ください。
参考
お別れ会・偲ぶ会での香典マナーサルでもわかる葬儀の新常識
供花の送り方のマナー
どんな花を供花として送ればよいですか?
供花(くげ・きょうか)は故人へ弔意を示すものとして、香典、供物、弔電と合わせて送られるものの一つです。
ですが、「香典、供花、供物は辞退いたします」との旨が案内状に記載されている場合はご遺族の意向を汲んで送らないように気をつけましょう。
花輪や供花スタンドを手配するときは一基なのか、それとも一対(=二基)なのかによって料金が倍変わりますので手配の際は注意しましょう。
なお、花代は一基あたり15000円程度になりますが、花の種類などによって変わります。
供花の花の種類は、白菊が基本です。他に百合やカーネーション、胡蝶蘭などがあります。
ただし宗教によってその種類は変わり、キリスト教で白菊は一般的でないので注意しましょう。
また、生花を送るのではなくプリザーブドフラワーのような生花をもとに加工された造花を用いることもできます。
なお供花の注意点は送るタイミングです。通夜の場合は当日の午前中、社葬のように開催日がわかっている場合は前日までに届くように手配しましょう。
献花のマナー
献花は一般にはキリスト教式通夜で一般に行われるものです。
社葬では無宗教葬として行われることもあるため、焼香の代わりに献花されることがあります。
献花の仕方にはルールがあります。
献花では、列に順番に並び待っているとスタッフが一人ひとりに花を渡してくれます。
順番がきたら、緊張するかもしれませんが、前に案内にしたがって進み、両手でスタッフから花を受け取りましょう。
その際、茎は左側、花は右手側になるように横にしてもちます。
ご遺族に丁寧に一礼し、祭壇に移動します。前まできたら、遺影に向かって一礼し、花の根元が祭壇に向かうように想いをこめて捧げます。
そして、最後遺影に一礼して黙祷を捧げ、黙祷が終わったら再び遺族に一礼、案内にしたがって進みましょう。
厳格な場所であるため、慣れていないと戸惑われたりやり方を失念してしまうかもしれません。
ですが、すでに前に献花された花に献花の向きを合わせられれば問題ありません。
落ち着いておこなっていきましょう。わからないときはスタッフに聞いてみましょう。
焼香のマナー
焼香はどのように行えばいいですか?
ホテル葬では焼香は匂いがつくため断られるケースが大半です。
専用式場や葬祭場などを利用すれば焼香を行うことができます。
焼香には立礼・抹香焼香と座礼・線香焼香があります。
社葬では立礼・抹香焼香になります。
その流れは以下の通りです。
- 焼香台の少し前に進みます。
- 葬儀委員長、僧侶、遺族に一礼します。
- 両手に数珠をかけ祭壇の遺影に向かって合掌します
- 祭壇前まで進みます。
- 右手の親指、人差し指、中指で抹香をつまみます。
- 浄土真宗以外では、目の高さまでおしいただきます
- 香炉の中に抹香をしずかにくべます(回数は宗派や会葬者の人数によります)
- 合掌して一礼のち、一歩下がって葬儀委員長、僧侶、遺族に一礼をします。
- 自席に戻ります
以上のような流れで読経のあと焼香に移ります。
列席者が多い場合などには読経の最中に焼香が始まることもあるでしょう。
いずれも導師(僧侶)が焼香を進めてくれます。
葬儀委員長が焼香のち、遺族・親族焼香、来賓・会葬者焼香と進んでいきます。
玉串奉奠のマナー
では、神道・神式の社葬が行われた場合に行われる玉串奉奠(たまぐしほうてん)についてみていきましょう。
玉串奉奠はどのように行えばいいですか?
玉串奉奠は慣れていない方もいらっしゃることでしょう。
玉串とは紙垂(しで)、木綿(ゆう)、麻などを榊(さかき:正確には木偏に神)の小枝に結びつけたものをいいます。
その玉串を神に捧げる儀式が玉串奉奠です。
作法や礼儀は以下の通りです。
- 葬儀委員長、遺族に一礼します。
- 神官(またはスタッフ)から玉串を受け取ります。
- 葉先を左側にむけ、右手は枝を親指と人差し指の間で支え持つように上から受け取り、左手は葉先の枝を親指と人差し指の間で挟むように下から支え持ちます。
- 神前で一礼します
- 目の高さまで玉串を持ち上げ、根元が自分側にくるように時計回りで90度回転させます
- 、左手で根元(茎)をもち、右手で葉の中ほどを下から支えて、右に180度回転させます
- 根元を祭壇に向けてお供えし、二礼二拍手一礼します
- 下がって、葬儀委員長、神官、遺族に一礼します。
ただし二拍手は音を立てないよう、しのび手でおこないましょう。
なお、玉串奉奠の際に着用する服装としては仏式と同じで構いません。
社葬の場で気をつけるビジネスマナー
マナー以外にタブーになることがあるので注意しておきましょう。
・重ね言葉や、繰り返し言葉、不幸を連想させることばを使わないようにしましょう。
「たびたび」「重ね重ね」「いろいろ」「つぎつぎ」「引き続き」「重々」など不幸が重なることを連想させる重ね言葉は避けます。
また「追って」「次に」「続いて」「繰り返し」「再び」「重ねて」といった不幸の繰り返しを連想させる繰り返し言葉も同様です。
「死」「苦」「終わり」「消える」あるいは弔電の文章であれば終わりを連想させる句読点(。や、)など不幸を連想させる言葉は使わないようにしましょう。
・香典では新札を使わないようにしましょう。
現代では古いお札ではなく新札でも問題ないとされていますが、新札を渡すと準備をして待っていましたという印象を与えてしまいます。そのため新札の場合は、一度追って折り目をつけて入れます。
・香典袋に入れる際は、開いたときにお札の顔(肖像)が見えないようにお札を裏にして入れましょう。
・スマホ・携帯電話の電源はOFFにしておきます。
・式場内では私語を慎みましょう
・式場内ではコートを脱ぎクロークに預けるかコート掛けにかけましょう。
社葬、合同葬、お別れ会・偲ぶ会のQ&A
では、ここからは社葬(以下、合同葬、お別れ会・偲ぶ会も同じ)の疑問質問に答えていきます。
ぜひ参考になさってください。
社葬に参加する側のよくある質問Q&A
Q:欠席する場合はどうすればいいですか?
社葬は故人を追悼するだけでなく相手先の企業と関係強化の役割もあります。
そのためできるだけ出席をしたいところです。
会社宛て、または個人宛てにメールなどで案内状が届いたら故人を悼むことばを添えてすぐに返信するようにしましょう。
やむにやまれぬ事情で都合が合わない場合は、返信ハガキに欠席理由とお詫びの言葉を添えましょう。
また、故人や会社との関係によっては現金書留にて手紙の一筆をいれて香典を郵送するか、または連絡をしたうえで弔問をして香典を供えるとよいでしょう。
あるいは、代理出席してもらうことも検討してもよいかもしれません。
その際は名刺を用意しましょう。
代理出席を依頼する際には自分の名刺には「弔」の字を名刺の右上に、代理出席者の名刺には右上に「代」の文字を記入し、受付に名刺2枚を渡すようにしましょう。
Q:夏や雨の日はどんな格好で行けばよいですか?
暑い夏はクールビズのため半袖と言いたいところですが、式場内では半袖よりも長袖が望ましくなります。
半袖でお越しくださいという記載がない限りは、暑くても長袖と上着を持参し、式場内周辺では着用するようにしましょう。
また雨の日は式典にふさわしい服装に合わせ、黒の傘を持参するとよいでしょう。
急に降り出したなど手元になければビニール傘を購入してさしましょう。
Q:社葬の全体像が掴める資料などはありますか?
はい、あります。
写真付き、イラストつきで社葬の運営の流れと参加する側のマナーを学ぶことができる以下の書籍をご紹介します。
■書籍:最新保存版「社葬のすべて」
第1章では、社葬、合同葬、お別れ会・偲ぶ会それぞれの式典の流れやマナーを紹介しています。会葬前に読まれることで参考になることでしょう。
第2章では、こちらの記事でもご紹介した社葬に関する様々なマナーがイラスト付きで詳しく載っています。どうぞご参照ください。
また、社葬について流れがわかる映画をご紹介します。
■映画:社葬
概要とあらすじ:
こちらは1989年の東映の映画になります。昭和の雰囲気が漂う作品であり、時代を感じさせる内容です。
おおよその社葬の流れ(たとえば葬儀委員長や実行委員長の選定、服装、僧侶による儀式の様子など)を見ることができます。
内容としてネタバレしない程度で説明すると、芸者の上で心筋梗塞によって亡くなった大新聞社の社長と、その後継者争いを描いた社葬までの人間ドラマを描いたブラックコメディー映画です。
主演は緒形拳、いま現に社内で派閥争いがあるのであれば必見の映画といえるそうです。
また社葬を今後行う場合や事前にイメージを掴みたい方は必見です。
こちらは、ツタヤレンタルか、ユーチューブ、またはDMM.comなどで配信されています。
まとめ
いかがでしたか?
社葬に参加するにあたっての基本的なところから専門的なところまでを一通りお話していきました。
挨拶、弔辞、香典、供花に供物、服装のマナーまでお分かりいただけたかと思います。
慣れていないと難しいと思われるかもしれません。
大変と思われるかもしれません。
ですが、それ以上に大変なのは故人を亡くされたご遺族です。社葬を開催するにあたって昼夜問わず努力されている会社関係者のみなさんです。
そういったことを忘れないことが社葬に参加する上での大切な心配りと気遣いといえるもの。
そして、そのように大変な社葬の運営に関して大変だとか困っている声が聞こえたのであれば、業者に依頼することをその方に進めてみてはいかがでしょう。
当サイトに限ったことではありませんが、信頼をおける業者がお別れ会プロデュース専門のStoryです。
社葬の負担を減らすことで担当者となる方の負担も限りなく減らせることでしょう。
それでは、この記事であなたとあなたの会社が会葬される社葬や合同葬、またはお別れ会・偲ぶ会が慎ましくかつ思い出に残る形で行われるお役に立てたのでしたら嬉しく思います。
分からないことがありましたらこの記事を何度も読んでみてくださいね。