故人が亡くなって初めて迎えるお盆——初盆(はつぼん)は、通常のお盆よりも丁寧に供養を行う大切な行事です。「何を準備すればいいのかわからない」「費用はどれくらいかかるのか」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、初盆の意味から準備の段取り、費用の全体像、お布施・服装・香典のマナーまで、初めて初盆を迎える方が知っておくべき情報をわかりやすくまとめました。
📖 この記事でわかること
- ✓初盆と通常のお盆の違い・2026年の初盆日程
- ✓2ヶ月前から当日までの準備スケジュール
- ✓初盆にかかる費用の全体像(トータル5〜20万円の内訳)
- ✓お布施・香典の相場と渡し方のマナー
- ✓家族だけで初盆を行う場合のポイント
目次
初盆(新盆)とは?通常のお盆との違い
初盆(はつぼん)とは、故人が亡くなって四十九日の忌明けを過ぎた後に初めて迎えるお盆のことです。「新盆(にいぼん・しんぼん・あらぼん)」とも呼ばれ、地域によって呼び方が異なります。
通常のお盆は毎年行う先祖供養ですが、初盆は故人の霊が初めて自宅に戻ってくるとされるため、特に丁寧な供養を行います。具体的には、以下のような違いがあります。
| 項目 | 初盆(新盆) | 通常のお盆 |
|---|---|---|
| 頻度 | 故人ごとに一度だけ | 毎年 |
| 僧侶の読経 | 法要として行うのが一般的 | 家庭での供養が中心 |
| 提灯 | 白提灯(白紋天)を飾る | 絵柄入りの盆提灯 |
| 参列者 | 親族・知人を招くことが多い | 家族中心 |
| 会食 | 法要後にお斎(とき)を設ける | 特に設けないことが多い |
初盆で特徴的なのが「白提灯(しろちょうちん)」です。故人の霊が迷わず帰ってこられるよう、玄関先や仏壇の近くに白い無地の提灯を飾ります。白提灯は初盆のときだけ使い、お盆が終わったらお焚き上げするのが一般的です。
初盆の時期はいつ?2026年の日程
初盆の時期は地域によって異なります。大きく分けると「7月盆」と「8月盆」の2つがあります。
| 区分 | 時期 | 主な地域 |
|---|---|---|
| 新暦盆(7月盆) | 7月13日〜16日 | 東京都心部、横浜、静岡の一部、石川の一部 |
| 旧盆(8月盆) | 8月13日〜16日 | 上記以外の全国大部分 |
| 旧暦盆 | 旧暦7月15日前後(年により変動) | 沖縄、奄美地方 |
全国的に最も多いのは8月盆です。2026年の8月盆であれば、8月13日(木)〜16日(日)が初盆の期間となります。
四十九日と初盆の関係に注意
初盆は「四十九日の忌明け後に初めて迎えるお盆」です。そのため、お盆の時期までに四十九日を迎えていない場合は、翌年のお盆が初盆になります。
たとえば8月盆の地域では、以下のようになります。
- 2026年6月20日に亡くなった場合:四十九日は8月7日→忌明けがお盆前なので2026年が初盆
- 2026年7月10日に亡くなった場合:四十九日は8月27日→お盆時点では忌中なので2027年が初盆
「亡くなったのが6月下旬で、初盆を今年やるべきか来年にすべきか」と迷うケースは少なくありません。判断に迷う場合は、菩提寺に相談されるのが確実です。
初盆の準備|2ヶ月前からのスケジュール
初盆は通常のお盆よりも準備することが多く、早めの段取りが大切です。以下のスケジュール表を参考に、余裕をもって準備を進めましょう。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 2ヶ月前 | 菩提寺に連絡して法要の日程を相談する(お盆時期はお寺が最も忙しいため、早めの予約が必須) |
| 1ヶ月前 | 案内状の作成・送付/会食の会場予約(自宅の場合は仕出し弁当の手配)/返礼品の選定 |
| 2〜3週間前 | 盆棚(精霊棚)・白提灯・盆提灯の購入/お供え物の準備 |
| 1週間前 | お墓の掃除/仏壇の清掃/出欠の最終確認/お布施の準備 |
| 前日(12日) | 盆棚の設置・飾り付け/お供え物を並べる |
| 初日(13日) | お墓参り/迎え火を焚く(夕方)/白提灯に灯りを点ける |
| 中日(14〜15日) | 初盆法要(僧侶による読経)/お斎(会食)/来客への対応 |
| 最終日(16日) | 送り火を焚く(夕方)/盆棚の片付け/白提灯のお焚き上げ |
準備を始める時期が遅れると、希望日にお寺の予約が取れないケースもあるため、少なくとも2ヶ月前には菩提寺への連絡を済ませておくことをおすすめします。
盆棚(精霊棚)の飾り方
盆棚は故人の霊をお迎えするための祭壇です。仏壇の前や横に小さなテーブルを置き、以下のものを飾ります。
- 位牌:仏壇から出して盆棚の中央に置く
- お供え物:果物、お菓子、故人が好きだったもの
- 精霊馬(しょうりょううま):きゅうりの馬(早く帰ってきてほしい)となすの牛(ゆっくり帰ってほしい)
- 水の子:なすやきゅうりを細かく刻んで洗米と混ぜたもの
- ほおずき:提灯に見立てた飾り
- 盆花:蓮の花やミソハギなど
飾り方は宗派や地域によって異なります。浄土真宗ではお盆に特別な飾りをしない場合もあるため、不明な点は菩提寺に確認するのが確実です。
初盆にかかる費用の全体像
初盆では、お布施だけでなく会食や返礼品など複数の費用が発生します。「結局トータルでいくらかかるのか」がわかりにくいため、一般的な費用の全体像を表にまとめました。
| 費用項目 | 相場 | 備考 |
|---|---|---|
| お布施 | 30,000〜50,000円 | 初盆は通常のお盆法要より高め |
| お車代 | 5,000〜10,000円 | 僧侶が自宅に来る場合 |
| 御膳料 | 5,000〜10,000円 | 僧侶が会食を辞退した場合 |
| 会食費(お斎) | 3,000〜10,000円×人数 | 仕出し弁当なら3,000〜5,000円/人 |
| 返礼品 | 1,500〜5,000円×人数 | 香典の1/3〜半額が目安 |
| 白提灯 | 3,000〜15,000円 | 初盆のみ使用。親族から贈られることも |
| 盆棚・お供え物 | 5,000〜20,000円 | 飾りの規模による |
| 合計目安 | 家族のみ:5〜10万円/親族・知人を招く:10〜20万円以上 | |
参列者から香典をいただくため、実質的な施主の負担は上記の合計額よりも少なくなります。ただし、参列者が多いほど会食費と返礼品の費用も増えるため、招待する人数とのバランスを考えることが大切です。
初盆のお布施の相場と渡し方
初盆法要のお布施(おふせ)は、僧侶に読経していただくことへのお礼です。一般的な相場と渡し方のマナーを確認しておきましょう。
お布施の金額相場
初盆のお布施は30,000〜50,000円が一般的な相場です。通常のお盆法要(5,000〜10,000円程度)と比べると高めになります。
お布施の金額は宗派や地域、お寺との関係によって異なるため、あくまで目安として参考にしてください。金額に迷う場合は、お寺に直接「お気持ちで」と言われた場合でも、「皆さんどれくらい包まれていますか」と率直に聞いて問題ありません。
お布施の包み方・渡し方
- 封筒:白無地の封筒または奉書紙。表書きは「お布施」「御布施」
- 墨の色:薄墨ではなく、濃い墨(通常の黒)で書く
- 渡し方:袱紗(ふくさ)に包んで持参し、切手盆(小さなお盆)か袱紗の上に乗せて渡す
- タイミング:法要の開始前にお渡しするのが一般的
お車代と御膳料は、お布施とは別の封筒に包みます。表書きはそれぞれ「お車代」「御膳料」とし、3つの封筒をまとめてお渡しします。
お布施の詳しいマナーについては「お布施の金額相場一覧|宗派別の目安と渡し方」でも解説しています。
初盆の服装マナー|施主側・参列者側
初盆の服装は、法要を行うかどうかや、施主側か参列者側かによって異なります。
| 立場 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 施主側(法要あり) | 黒のスーツ(略喪服)、白シャツ、黒ネクタイ | 黒のワンピースまたはアンサンブル、パールのアクセサリー程度 |
| 参列者(法要あり) | ダークスーツ、白シャツ、地味なネクタイ | 黒・紺・グレーのワンピースやスーツ |
| 法要なし(お参りのみ) | 地味な平服(派手な色・柄は避ける) | |
初盆は真夏の行事のため、「暑さ対策をどうするか」が悩みどころです。男性は上着なしでもマナー違反にはなりませんが、法要中は上着を羽織るのが無難です。女性は半袖でも問題ありませんが、露出が多いデザインは避けましょう。
施主から「平服でお越しください」と案内があった場合でも、ジーンズやサンダルなどのカジュアルすぎる服装は控えます。「平服」は「略礼装」程度の意味と捉えるのが適切です。
初盆の香典相場と表書き
初盆に招かれた際は、香典(御仏前)を持参するのがマナーです。故人との関係や立場によって金額の目安が異なります。
関係別の香典相場
| 故人との関係 | 会食あり | 会食なし |
|---|---|---|
| 祖父母 | 10,000〜30,000円 | 5,000〜10,000円 |
| 親・兄弟姉妹 | 10,000〜50,000円 | 10,000〜30,000円 |
| おじ・おば | 10,000〜20,000円 | 5,000〜10,000円 |
| 友人・知人 | 5,000〜10,000円 | 3,000〜5,000円 |
| 仕事関係 | 5,000〜10,000円 | 3,000〜5,000円 |
会食がある場合は食事代を考慮して多めに包むのが一般的です。また、4や9は「死」「苦」を連想させるため、4,000円や9,000円は避けましょう。
表書きと香典袋の選び方
- 表書き:「御仏前」が最も一般的。「御供物料」でも可
- 注意:「御霊前」は四十九日までの表書き。初盆は忌明け後のため使わない
- 水引:黒白または双銀の結び切り(関西では黄白も)
- 墨:薄墨ではなく、濃い墨で書く(四十九日以降は濃い墨)
家族だけで初盆を行う場合
近年は「家族だけで静かに初盆を過ごしたい」と考える方が増えています。「初盆 家族だけ」で調べる方も増えているようです。
家族だけで初盆を行うこと自体は、マナー違反ではありません。以下のポイントを押さえておけば、家族だけでも丁寧な供養ができます。
家族だけの初盆の進め方
- 菩提寺への相談:家族のみで行いたい旨を事前に伝える。僧侶に読経を依頼する場合はお布施の相場は変わらない
- 親族への連絡:家族だけで行う旨を事前にお伝えする。手紙やはがきで「家族のみで営む」ことを丁寧にお知らせすると、相手も安心する
- 飾りの規模:簡素でも白提灯と盆棚は用意するのが望ましい。お供え物は故人が好きだったものを中心に
- 服装:家族だけであっても法要を行う場合は略喪服が無難
法要を行わず、お墓参りとお仏壇へのお供えだけで済ませるご家庭もあります。大切なのは故人を偲ぶ気持ちであり、形式にとらわれすぎる必要はありません。
お知らせの文例
親族に家族だけで初盆を行うことを伝える場合の文例です。
拝啓 盛夏の候、皆様におかれましてはご健勝のこととお慶び申し上げます。
さて、亡〇〇の初盆を迎えるにあたり、本年は家族のみにて供養を営むことといたしました。
ご厚志をいただきながら恐縮ではございますが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
略儀ながら書中にてご挨拶申し上げます。
敬具
初盆の施主挨拶|場面別の例文
初盆法要では、施主として参列者に挨拶をする場面があります。ここでは場面別の挨拶例文を紹介します。
法要開始前の挨拶
「本日はお忙しい中、〇〇の初盆法要にお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。故人もさぞ喜んでいることと思います。それでは、ご住職よろしくお願いいたします。」
会食前の挨拶
「本日は〇〇の初盆法要にお越しいただき、ありがとうございました。おかげさまで無事に法要を終えることができました。ささやかではございますが、お食事を用意いたしました。〇〇の思い出話などをしながら、どうぞごゆっくりお過ごしください。」
閉会の挨拶
「本日は長い時間お付き合いいただきまして、ありがとうございました。皆様にお集まりいただき、〇〇も安心していることと思います。これからも変わらぬお付き合いをよろしくお願いいたします。本日は誠にありがとうございました。」
よくある質問
Q. 初盆にお供え物を送る場合、何がよいですか?
A. お菓子(焼き菓子やゼリーなど日持ちするもの)、果物、線香、ろうそくなどが定番です。のしの表書きは「御供」とし、黒白または黄白の結び切りの水引を選びます。金額は3,000〜5,000円程度が一般的で、送る時期はお盆の1週間前〜前日が目安です。
Q. 初盆と一周忌が近い場合、同時に行ってもよいですか?
A. 初盆と一周忌の時期が近い場合、同日にまとめて行うことは可能です。その場合は一周忌法要を先に行い、続いて初盆の供養をするのが一般的な流れです。お布施は法要2つ分を包むか、お寺に相談して適切な金額を確認しましょう。
Q. 浄土真宗でも初盆は行いますか?
A. 浄土真宗では「故人の霊が帰ってくる」という考え方をしないため、迎え火・送り火・精霊馬などの風習は行わないのが一般的です。ただし、故人を偲ぶ機会として「歓喜会(かんぎえ)」と呼ばれる法要を行うことがあります。お寺によって対応が異なるため、菩提寺に確認されることをおすすめします。
Q. 初盆に招かれたが参列できない場合、どうすればよいですか?
A. 早めに欠席の連絡をした上で、御仏前(香典)やお供え物を送るのがマナーです。現金書留で御仏前を送る際は、お悔やみの手紙を同封すると丁寧です。金額は参列する場合と同程度か、やや控えめ(3,000〜10,000円)が目安です。
まとめ
初盆(新盆)は故人を迎える大切な行事です。要点を振り返りましょう。
- 初盆は四十九日の忌明け後に初めて迎えるお盆。通常のお盆より丁寧に供養を行う
- 準備は2ヶ月前から。菩提寺への連絡を最優先で行う
- 費用の目安は家族のみで5〜10万円、親族を招く場合は10〜20万円
- お布施は30,000〜50,000円が一般的。お車代・御膳料は別途
- 家族だけの初盆も増えている。形式よりも故人を偲ぶ気持ちが大切
お盆の一般的な過ごし方については「お盆の意味と過ごし方」で、年忌法要の全体像については「年忌法要の時期と種類一覧」で詳しく解説しています。
葬儀や法要の費用が心配な方は、事前に情報を集めておくと安心です。






