訃報を受けたものの、事情があって葬儀に参列できない場合や、後日訃報を知った場合に送るのが「お悔やみの手紙」です。直接弔問できない代わりに、故人への哀悼と遺族への慰めの気持ちを伝える大切な手段です。
この記事では、お悔やみの手紙の書き方を構成・マナー・文例集とともに解説します。便箋や封筒の選び方、香典を同封する方法、後日訃報を知った場合の対応まで網羅しています。
目次
お悔やみの手紙の基本マナー
お悔やみの手紙は、一般的な手紙とは異なるマナーがあります。以下の点を押さえておきましょう。
| 項目 | お悔やみの手紙のマナー |
|---|---|
| 頭語・結語 | 不要。「拝啓」「敬具」は書かない |
| 時候の挨拶 | 不要。季節の挨拶は省く |
| 忌み言葉 | 「重ね重ね」「たびたび」「また」など繰り返し言葉は使わない |
| 長さ | 簡潔に。便箋1枚に収める |
| 筆記具 | 黒のボールペンまたは万年筆。薄墨は不要 |
| 死因への言及 | 触れない。詮索しない |
お悔やみの手紙では、不幸が繰り返されることを連想させる「重ね言葉」を避けます。「重ね重ね」「くれぐれも」「たびたび」「ますます」「再び」「追って」などは使わないようにしましょう。また、直接的な死の表現(「死亡」「死ぬ」)は「ご逝去」「お亡くなりになる」と言い換えます。
お悔やみの手紙の構成
お悔やみの手紙は、以下の4つの要素で構成するのが一般的です。
| 構成要素 | 内容 | 例文 |
|---|---|---|
| 1. 訃報を知った驚き・悲しみ | お悔やみの言葉 | 「〇〇様のご逝去を知り、驚きと悲しみでいっぱいです」 |
| 2. 故人との思い出・人柄 | 故人への敬意を短く述べる | 「いつも温かい笑顔で接してくださいました」 |
| 3. 遺族への慰め・気遣い | 遺族の体調を気遣う言葉 | 「ご家族の皆様のお体が心配です」 |
| 4. 結びの言葉 | 故人の冥福を祈る | 「心よりご冥福をお祈り申し上げます」 |
便箋と封筒の選び方
お悔やみの手紙に使う便箋と封筒にもマナーがあります。
便箋の選び方
- 色:白無地が基本。薄いグレーも可
- 柄:無地が最適。控えめな花柄(ユリ・菊など)は許容範囲
- 罫線:あっても構わないが、縦書きが正式
- 枚数:1枚に収める。2枚以上は「不幸が重なる」を連想させるため避ける
封筒の選び方
- 色:白無地
- 形:一重封筒を使用。二重封筒は「不幸が重なる」ことを連想させるため厳禁
- 郵便番号枠:枠なしが正式だが、枠ありでも失礼にはならない
二重封筒(内封筒と外封筒がセットになったもの、または裏地のある封筒)は絶対に使わないでください。「不幸が二重に重なる」ことを連想させるため、弔事では最大のマナー違反のひとつとされています。
お悔やみの手紙の文例集
一般的なお悔やみの手紙
このたびは〇〇様のご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。
ご家族の皆様のお悲しみはいかばかりかと存じます。お力落としのことと思いますが、どうかお体をお大事になさってください。
本来であれば直接お伺いしてお悔やみを申し上げるべきところ、やむを得ない事情により参列がかなわず、誠に申し訳ございません。略儀ながら書中にてお悔やみ申し上げます。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
親しい友人の親が亡くなった場合
お父様(お母様)のご逝去を知り、とても驚いています。突然のことで、さぞお力落としのことと思います。
お父様(お母様)にはいつも温かく接していただき、感謝の気持ちでいっぱいです。
今はご家族のそばで過ごされることが一番かと思いますが、何かできることがあればいつでも連絡してください。遠方のため駆けつけることができず残念です。
お父様(お母様)のご冥福を心よりお祈りいたします。
会社関係者が亡くなった場合
〇〇様のご逝去の報に接し、謹んでお悔やみ申し上げます。
〇〇様には在職中ひとかたならぬご指導を賜り、深く感謝しております。温厚なお人柄を偲び、哀惜の念に堪えません。
ご遺族の皆様におかれましては、お力落としのこととお察しいたします。どうかご自愛くださいますようお願い申し上げます。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
後日訃報を知った場合
〇〇様がご逝去されていたことを、このたび初めて知りました。存じ上げず、お悔やみが遅れましたことを深くお詫び申し上げます。
〇〇様には生前大変お世話になり、突然のお知らせに驚きと悲しみでいっぱいです。
遅ればせながら、謹んでお悔やみ申し上げますとともに、〇〇様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。ご遺族の皆様もどうかお体をお大事になさってください。
宗教別のお悔やみの言葉遣い
お悔やみの手紙で使う言葉は、故人の宗教によって注意が必要な場合があります。
| 宗教 | 使える表現 | 避けるべき表現 |
|---|---|---|
| 仏教(一般) | ご冥福をお祈りします、ご供養 | 特になし |
| 浄土真宗 | 哀悼の意を表します | 「冥福」(浄土真宗では冥土の概念がないため) |
| 神道 | 御霊のご平安をお祈りします | 「成仏」「供養」(仏教用語のため) |
| キリスト教 | 安らかにお眠りください | 「冥福」「成仏」「供養」(仏教用語のため) |
故人の宗教がわからない場合は、「謹んでお悔やみ申し上げます」「哀悼の意を表します」など、宗教色のない表現を使うのが無難です。
香典を同封する場合
葬儀に参列できず、お悔やみの手紙と一緒に香典を送る場合のマナーを解説します。
送り方の手順
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1. 香典袋に現金を入れる | 不祝儀袋に表書き・名前を記入し、現金を入れる |
| 2. お悔やみの手紙を書く | 手紙の中に「心ばかりのものを同封いたします」と一文を添える |
| 3. 現金書留で送る | 現金書留封筒に香典袋と手紙を入れて郵送 |
現金は必ず「現金書留」で送ってください。普通郵便で現金を送ることは郵便法で禁止されています。現金書留封筒は郵便局の窓口で購入できます(21円)。封筒のサイズは香典袋が入る大きさのものを選びましょう。
手紙に添える一文の例
香典を同封する場合は、手紙の結びの前に以下のような一文を加えます。
- 「心ばかりではございますが、御香典を同封いたしましたので、御霊前にお供えいただければ幸いです」
- 「些少ではございますが、同封のものをお供えいただけますと幸いに存じます」
よくある質問
Q. メールやLINEでお悔やみを伝えてもよい?
親しい友人や同僚であれば、取り急ぎメールやLINEでお悔やみを伝えることは許容されています。ただし、正式にはお悔やみの手紙を送るのがマナーです。メールやLINEで第一報を伝えた後、改めて手紙を送ると丁寧です。目上の方や取引先に対しては、手紙が基本です。
Q. はがきでお悔やみを送ってもよい?
お悔やみの手紙ははがきではなく、封書(封筒入りの手紙)で送るのがマナーです。はがきは内容が第三者の目に触れるため、弔事の手紙には適していません。
Q. お悔やみの手紙は縦書き?横書き?
正式には縦書きが望ましいです。ただし、横書きの便箋を使っても失礼にはなりません。目上の方やフォーマルな場面では縦書きを選ぶとよいでしょう。
まとめ
- お悔やみの手紙には頭語(拝啓)・時候の挨拶は不要
- 忌み言葉(重ね言葉・直接的な死の表現)は避ける
- 構成は「お悔やみの言葉→故人の思い出→遺族への気遣い→結びの言葉」の4要素
- 便箋は白無地、封筒は白無地の一重封筒を使用する。二重封筒は厳禁
- 便箋は1枚に収め、簡潔に書く
- 香典を同封する場合は、必ず現金書留で送る
- 後日訃報を知った場合も、知った時点で速やかに手紙を送れば問題ない
- 訃報を知ったらできるだけ早く、遅くとも1週間以内に送るのが望ましい
いざというとき慌てないよう、使えそうな例文をスマートフォンにメモしておくと安心です。





