地域の人に訃報をお知らせするのに長年貢献してきたのが「新聞のお悔やみ欄」ではないでしょうか?
しかし、今回それを悪用して窃盗を繰り返していた男が逮捕されました。
京都府警は1日、空き巣を繰り返したとして常習累犯窃盗の疑いで、兵庫県伊丹市昆陽南、無職、松谷努被告(59)=同罪で公判中=を追送検し、捜査を終えたと発表した。既に起訴された事件を含め、平成23年1月から今年4月までに愛知県や神奈川県など計12都府県で、計45件(約4600万円相当)の被害を裏付けた。
新聞の訃報欄で留守宅をチェック 空き巣容疑の男を追送検 12都府県で4千万円被害 – 産経WEST
実際の取り調べによると45件のうち、約20件は地元の新聞のお悔やみ欄を確認した上で、葬儀中の留守を狙って犯行に及んだとのこと。
今回は意外と見落としがちなお葬式と防犯対策について解説していきます。
目次
新聞のお悔やみ欄って何?
訃報を知らせる死亡広告
そもそも新聞のお悔やみ欄はどのようなものなのでしょうか。有名人の死亡記事と違い、新聞のお悔やみ欄は死亡広告と呼ばれるものです。
死亡広告は無料で掲載されるものと、掲載料を支払うものがあります。
死亡届けを出す際に役所でお悔やみ欄への掲載をするか否かを確認され、新聞社に訃報が伝わり、掲載されるかどうかが決まります。
地域紙では訃報は大事なお知らせなので積極的に掲載していたり、社葬など大規模な葬儀では有料広告で確実に掲載するなど様々です。
いずれにせよ、死亡広告では亡くなった人の名前や通夜・告別式の日時と場所、喪主や葬儀委員長などの情報を掲載します。
この時連絡先として喪主・遺族の住所も掲載するのです。
今回の窃盗事件では、まさにこの死亡広告を悪用したものでした。
告別式の日時と喪主の住所をお知らせするということは、裏を返せば通夜・告別式の時間帯に家に誰もいないことを知らせていることでもあります。
死亡広告に喪主の住所を載せる理由
では、死亡広告に喪主の住所を載せなければ問題は解決するのでしょうか?
しかし実は喪主の住所を載せる理由があるので、そうはいきません。
お通夜や告別式に参列できるのが一番良いですが、どうしても都合が合わずに参列できない場合があります。
この場合に弔意を伝える方法としては、弔電を送り、香典を郵送し、可能ならば後日に弔問に伺うことになります。
弔電は告別式会場に届けるものですが、香典は確実に届けるために現金書留で喪主の自宅に郵送するのが一般的です。
後日弔問をするにしても香典を郵送するにしても、喪主の住所というのは必要な情報なので、掲載しないと弔問者を混乱させてしまうことになってしまいます。
お葬式の防犯対策
死亡広告の役割を考えると、どうしても喪主の住所を掲載しないわけにはいきません。
空き巣などの防犯対策はできることからやる必要があります。
戸締まりはしっかりと
実際のお葬式では、家族が亡くなった悲しみの中、お通夜や告別式の準備など、お葬式の手配に忙殺されることになります。
こんなときだからこそ、戸締まりなどはしっかりとしておきましょう。
訃報欄に掲載されたということは、同時に不在をたくさんの人に知られているということを認識しておく必要があります。
貴重品は斎場へ持ち込むこと
貴重品はできるだけ斎場に持ち込むようにしましょう。斎場には、遺族の控室などが用意されていることがほとんどです。
現金などはもちろん、銀行手帳やキャッシュカード、ブランド物の小物なども可能であるならば、車や控室に移動させておきましょう。
忌中紙・忌中札を玄関に貼らない
忌中紙・忌中札とは、身近な人が亡くなった際に玄関に「忌中」と書いた紙を貼る習慣のことです。
自宅に来た人のためにに斎場の場所などを記載することもあります。
現在では防犯を考えて貼らないようにする人も増えてきています。
最も確実なのは留守番を依頼すること!
最も確実な方法は誰かに留守番を頼むことです。
喪主や遺族などはできるだけ出席したほうがよいでしょうから、付き合いのある親戚や、親しい友人などに依頼しましょう。
お通夜の晩と告別式の日、それぞれ一人ずつお願いして、どちらかでお焼香をしてもらったり、当日に留守番を交代してお焼香をしてもらうなど、可能であるならばお焼香をしていただいてもよいかもしれません。
留守番役を引き受けてくれた人にはもちろん、後日きちんとしたお礼が必要です。
最近では家族葬が増えて、事後報告として後日に死亡広告を出すことも多いですが、事前に新聞で訃報を知らせる際は防犯対策を忘れないようにしたいものですね。