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【2025年最新版】なぜ東京23区には公営の火葬場が少ないのか

なぜ 疑問 女性

近年、東京都では火葬料金の高騰が深刻な問題として取り上げられています。2025年9月、東京都議会第3回定例会で小池知事は、都内火葬場の料金が物価・人件費の上昇を背景に急激に値上がりしている事態を踏まえ、「経営管理への指導強化」や「火葬能力の拡充」、「国への法制度見直しの要望」を打ち出しました[1][2]

背景には、かねてから指摘されてきた「火葬場が不足している」「多死社会で需要が急増している」という現実があります。高齢化で死亡者数が増加する一方、新しい火葬場の建設は住民の反対や土地制約から難しく、都市部では混雑や費用負担の問題が顕在化しています。

この記事では、その象徴ともいえる東京23区を例に、公営火葬場が少ない理由や歴史的背景、民営火葬場の役割、そして費用を抑えるための工夫について詳しく見ていきます。

圧倒的に少ない23区の公営火葬場

火葬場の数を他の都市と比べると、東京23区は人口に対して施設が極端に少ないことがわかります。これが混雑や料金の高さにつながる大きな要因になっています。

都市 人口(2025年推計・概数) 面積 公営火葬場 火葬炉数
東京23区 約985万人 約623km² 2か所 10+20
横浜市 約375万人 約438km² 4か所 44炉
大阪市 約275万人 約22km² 5か所 72炉

東京23区の公営火葬場は以下の2か所です。

東京23区の公営火葬場
  • 臨海斎場(大田区)
    火葬炉10基。港区・品川区・目黒区・大田区・世田谷区が共同設置。式場併設あり。
  • 瑞江葬儀所(江戸川区)
    火葬炉20基。火葬専用で式場はなし。都民全域利用可。

2004年に臨海斎場ができるまでは、23区の公営火葬場といえば瑞江葬儀所だけでした。

臨海斎場は港区・品川区・目黒区・大田区・世田谷区の住民と、それ以外の区民で料金が異なります。5区の住民は控室や式場を安く利用できますが、それ以外の区民は高めの料金が設定されています。瑞江葬儀所は都民であれば利用可能で、火葬料は比較的安価に抑えられています。

瑞江葬儀所には20基の火葬炉がありますが、式場は併設されておらず火葬専用の施設です。

斎場名 火葬炉数 式場 対象住民(対象外は料金高)
臨海斎場 10 港区・品川区・目黒区・大田区・世田谷区の住民
瑞江葬儀所 20 東京都民

つまり、およそ985万人の住民が、わずか2つの公営火葬場に集中していることになります。しかもそのうち約3割を占める5区の住民に割り当てられているのは、臨海斎場のたった10基の火葬炉だけです。これでは供給が足りなくなるのも当然で、公営火葬場が常に混雑する大きな要因になっています。

23区内に公営火葬場が少ないワケ

人口が多い東京23区で、公営火葬場が2か所しかないのは不自然に思えるかもしれません。その理由は、23区には古くから民営火葬場が整備されてきたことにあります。

都市 民営火葬場 火葬炉数(概数)
東京23区 7か所 約75基
横浜市 1か所 約10基
大阪市 1か所 数基

23区内には町屋斎場・桐ヶ谷斎場・落合斎場・代々幡斎場・四ツ木斎場・堀ノ内斎場・戸田葬祭場といった民営火葬場があり、その多くを東京博善(株)が運営しています。

背景には歴史的な事情があります。明治期、急速な人口流入で墓地不足や伝染病の問題が深刻化するなか、行政よりも先に民間が火葬場整備に踏み出しました。1887年(明治20年)には実業家・木村荘平が日暮里で火葬場の運営を始め、東京博善(株)を創設[3]。その後、都内の火葬場を吸収・統合しながら、都市の火葬インフラを担っていきました[4]

その結果、地方都市では自治体主導で公営火葬場が整備されたのに対し、東京では民営が主流となり、公営は現在でも2か所にとどまっているのです。

火葬場の新設が難しい

では、新たに公営火葬場を増やせば解決するのでしょうか。現実にはそれが非常に難しいのです。

火葬場の建設計画は、必ずといっていいほど周辺住民の反対に直面します。煙やにおい、心理的な抵抗感に加え、土地利用の制約や環境基準などの課題もあります。そのため都市計画は長期化し、完成までに10年、20年かかることも珍しくありません。

2004年に開設された臨海斎場も、住宅地を避けた立地を選び、整備には長い時間を要しました。さらに、既に民営火葬場が十分な炉数を持つため、「新設の必要性は小さい」と判断されやすい事情もあります。

こうした背景から、23区内で新たに公営火葬場を建設する見通しはほとんど立っていません。

23区で安く葬儀を済ませるには

火葬場併設の公営斎場が人気を集める最大の理由は、やはり費用の安さです。火葬場と式場が同じ敷地内にあるため移動費がかからず、葬儀をコンパクトに行える点も大きな魅力です。

一方、民営斎場では火葬料や休憩室料に加えて式場料がかかり、総額が高くなることが多いのも事実です。ただし町屋斎場のように、火葬と休憩室を合わせても約7万円程度と、公営と大差ない料金設定になっている施設もあります。

費用を抑えるための工夫としては、次のような方法があります。

費用をおさえるための工夫
  • 区営斎場など、公営の式場を利用する

  • 家族葬や直葬(火葬式)を選び、葬儀を小規模にする

どの施設を利用できるか、料金はどの程度かを事前に調べておくことで、急な場面でも落ち着いて判断できます。自分や家族の住む地域の選択肢を確認しておくことが、納得のいく葬儀につながります。

脚注

  1. TOKYO MX:「東京都議会 火葬料高騰問題への対応 小池知事が方針示す」↩︎
  2. NHK 首都圏ニュース:「東京都 火葬料金高騰・火葬能力強化に向け検討へ」↩︎
  3. 東京博善「会社沿革」↩︎
  4. 神田博善「沿革」↩︎

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