臓器提供・献体の希望を叶える終活ガイド～事前手続きと葬儀への影響を徹底解説～

高齢者の終活において、「自分の死後に社会貢献したい」という思いから臓器提供や献体（遺体の提供）を検討する方も増えています。臓器提供や献体の意思を実現するには、生前の手続きと家族への共有が重要です。また、実際に提供が行われた場合、通常の葬儀の流れとは異なる点があります。本記事では、臓器提供意思表示カードの書き方・登録方法、献体登録の方法と対応機関、提供が行われた場合の葬儀日程への影響や遺骨返還の流れ、家族が求められる対応や留意点、そして希望を実現するために必要な事前準備と家族への意思表示の重要性について、分かりやすく解説します。柔らかな語り口でまとめますので、ぜひ参考にしてください。

臓器提供の意思表示方法と事前登録
献体（遺体の提供）の登録方法と対応機関
臓器提供が行われた場合の葬儀日程への影響
献体が行われた場合の葬儀日程への影響
家族や遺族に求められる対応・留意点
希望を実現するための事前手続きと意思表示の重要性

臓器提供の意思表示方法と事前登録

臓器提供を希望する場合は意思表示カードなどで生前に意思を示しておくことが大切です。厚生労働省によれば、臓器提供の意思表示方法は大きく分けて3つあります

インターネットによる意思登録

日本臓器移植ネットワーク（JOT）の公式サイトからオンラインで臓器提供の意思を登録できます。インターネット登録をすると、後日ID番号入りの登録カードが郵送され、意思の変更や削除もいつでも可能です。

参考日本臓器移植ネットワーク日本臓器移植ネットワーク

臓器提供意思表示カードへの記入

所定のドナーカード（意思表示カード）に自分の提供意思を記入し、常に携帯します。カードは保健所や市役所窓口などで無料配布されています。後述の通り記入欄に○や×で提供可否を示します。

健康保険証・運転免許証・マイナンバーカードの記入欄

これら公的証書の裏面に設けられた臓器提供意思表示欄に署名等で意思を記入できます。例えば運転免許証やマイナンバーカードの裏面下部に記入欄があります。

臓器提供意思表示カードの書き方

ドナーカードには提供についての詳しい選択欄があります。15歳以上であれば本人の意思で記入できます。基本的な書き方のステップは以下の通りです。

提供意思の選択: 「①脳死後および心停止後に提供可」「②心停止後のみ提供可（脳死後は提供しない）」「③提供しない」の3つから当てはまる番号1つに○を付けます。※②を選ぶと法律に基づく脳死判定は行われません。
提供したくない臓器の除外: ①または②に○を付けた人は、提供したくない臓器があればその臓器名に×を付けます。提供可能な臓器は、脳死後なら「心臓・肺・肝臓・腎臓・膵臓・小腸・眼球（角膜）」、心停止後なら「腎臓・膵臓・眼球」です。
特記事項の記入: 希望者は皮膚や骨などの組織提供も含める場合「すべて」または提供可能な組織名を記入できます。また、親族への優先提供を希望する場合は「親族優先」と記入できます（※親族優先提供には家族が移植希望登録している等の条件があります）。
署名と日付: 本人が署名と署名日の記入をします。可能であれば家族にも確認の署名をもらいます。自署困難な場合は立会人の下で代理人による代筆も認められています。

日本臓器移植ネットワーク公式HPより引用

記入が済んだカードは財布などに入れて携帯しましょう。またインターネット登録との併用もおすすめです。例えばオンライン登録をして登録カード（ID付き）を持ちつつ、従来のドナーカードも携帯することで、意思がより確実に伝わります。

厚生労働省と日本臓器移植ネットワークが発行する臓器提供意思表示カード（リーフレット一体型）の例。左がカード表面、右が記入欄付きのカード裏面で、提供意思の選択や提供しない臓器、親族優先などを記入できる。常に携帯し、生前に家族とも共有しておくことが大切です。

家族への意思共有

臓器提供の意思表示は法律上、本人の書面意思が尊重される仕組みですが、実際の提供には家族の協力が不可欠です。例えば本人が生前に「提供しない」と記していれば家族が希望しても提供されませんが、逆に本人の意思が不明な場合は家族の承諾で提供が可能となります（2010年の法改正以降、本人意思不明でも家族承諾で臓器提供が認められています）。そのため生前にご家族と話し合っておくことがとても重要です。「自分や家族が臓器提供を希望するかしないか、一度よく話し合ってみましょう」と自治体も呼びかけています。家族が迷わないよう、意思表示カードを記入したら家族にも共有し、希望を伝えておくことが大切です。

献体（遺体の提供）の登録方法と対応機関

献体とは、自分の遺体を医学教育や研究のために大学の医学部などに無償で提供することを指します。将来の医師の解剖学実習や医学研究に役立ててもらう社会貢献であり、「誰かの役に立ちたい」「医療に恩返ししたい」という思いから希望する方もいます。献体を希望する場合は生前に登録手続きを済ませておく必要があります。主な手順は次のとおりです。

1.提供先機関への問い合わせ

献体を受け入れている大学医学部や献体団体に直接連絡し、献体登録の申込書類一式を取り寄せます。多くの大学ではWEBサイト上で手続き案内を公開しており、電話やメールで資料請求が可能です。

2.家族と内容の検討・同意

送付された申込書類の内容を確認し、家族としっかり話し合ってください。申込書には氏名・住所など基本情報のほか、緊急連絡先となる家族の情報や葬儀の希望などを記入し、本人の署名捺印をします。機関によっては家族全員の同意書の提出が求められる場合もあります。実際、登録の条件として「親族2名の同意」を必要とする大学もあります。

3.書類の提出と登録証の受領

記入・署名済みの申込書類一式を返送または提出します。受理されると、大学から献体登録証（会員証）が発行・送付されます。この登録証には提供先機関名や亡くなった際の連絡先電話番号が記載されています。登録証を受け取ったら手続き完了です。

4.対応機関

献体の受け入れは各大学の医学部（解剖学教室）や歯学部で行っています。地域ごとに受け入れ可能な大学が決まっており、遠方だと引き受け不可の場合もあります。例えば兵庫医科大学では原則として「兵庫県および隣接の大阪府・京都府一部在住者」に限定しています。また日本篤志献体協会など献体者団体が相談窓口となる場合もあります。希望する大学が明確でない場合は、お住まいの地域で献体を受け付けている医科大学に問い合わせるとよいでしょう。

登録時の留意点

献体登録をしたら、登録証を分かりやすい場所に保管しつつ、家族にもその場所と意思を伝えておきましょう。また、大学ごとに受け入れ条件や規約があります。例えば死亡時の健康状態によって受け入れ困難なケース（感染症がある場合や事故で遺体が損傷している場合など）もあります。さらに臓器提供との両立は難しい場合があります。臓器提供で主要な臓器が摘出された遺体は解剖実習に適さず献体として受け入れられないことが多いためです。ただし事前に調整すれば角膜提供程度なら献体と両立できるケースもあるようです。これら条件面も事前によく確認し、家族とも共有しておくことが安心につながります。

臓器提供が行われた場合の葬儀日程への影響

自分が亡くなった際に臓器提供が実現した場合、葬儀までの流れにどのような影響があるのでしょうか。基本的には臓器提供をしても通常の葬儀日程や手順に大きな遅れや違いは生じません。以下、臓器提供後の一般的な流れと留意点を説明します。

臓器摘出手術と遺体の返還

臓器提供の意思を示していた人が亡くなると、すみやかに移植コーディネーター等を通じた手続きが進み、提供可能な臓器の摘出手術が行われます。その手術時間はおよそ2～6時間程度です。手術が終わり次第、臓器を提供した方の遺体はすぐにご遺族のもとへ戻されます。提供に伴う体の変化についてはご心配なく。摘出後の遺体には、臓器を取り出した箇所に詰め物がされますので、外見は亡くなった時とほとんど変わらない状態で返されます。例えば眼球を提供した場合には義眼が入れられるため、顔貌もほぼ変わりません。こうした処置により、ご遺体の見た目に配慮した状態で戻ってくるので、通常通りお別れができます。

葬儀の日程

臓器提供後の遺体は数時間手元を離れる以外は通常とほとんど変わりません。臓器提供が行われたからといって、通夜や葬儀・告別式の日程が何日も遅れるようなことは基本的にありません。多くの場合、病院で臨終を迎えた後に提供手術が行われ、半日から数時間後にはご遺体が戻るため、その後は通常の流れ（安置→お通夜→葬儀・火葬）に沿って進められます。したがって臓器提供を理由に葬儀をあきらめる必要はなく、通常通りの葬儀を執り行うことが可能です。

費用負担

臓器提供はあくまで善意の無償提供であり、提供者側が費用を負担することはありません。臓器摘出手術にかかる医療費は提供を受ける側で負担されます。また提供に謝礼金が支払われることもありません。従って臓器提供を行ったことで特別な経済的負担が生じることもありません。通常の葬儀費用のみご遺族でご準備いただければ大丈夫です。

葬儀での扱い

式場で故人が臓器提供を行ったことを公表するかどうかは自由です。式の進行や作法自体に違いはないため、特別に周囲へ伝えなくても差し支えありません（もちろん故人の偉大な意思として紹介しても良いでしょう）。大切なのは故人の意志を尊重し、いつも通りに見送ることです。

以上のように、臓器提供が実現しても葬儀のタイミングや進め方は大きく変わりません。強いて言えば「臨終直後に数時間、遺体が手元を離れる」という点だけが通常と異なる部分ですが、その後は普段通りにお見送りができます。臓器提供を決める際は、ぜひこのことを家族とも話し合い、不安を和らげておきましょう。

献体が行われた場合の葬儀日程への影響

一方、自分の遺体を医学部に提供する献体が行われた場合、葬儀や埋葬のタイミングは臓器提供の場合とは大きく異なります。献体ではご遺体が長期間にわたり大学に預けられるため、一般的な葬儀の形をそのまま行うことができません。以下に献体時の流れと、通常の葬儀との違いを説明します。

死亡後の遺体搬送

献体登録者が亡くなった際は、できるだけ早く提供先の大学へ連絡します（多くの大学で「24時間以内に要連絡」とされています）。ご遺族はまず役所に死亡届を提出し、死亡診断書のコピーと火葬許可証を取得する必要があります。死亡届提出時に火葬場を大学指定の場所（大学と提携する火葬場）に指定するのが通常です。その後、大学が手配する専門の搬送業者がご遺体をお迎えに上がります。ご遺族は遺体引き渡し時に必要書類へ署名捺印を行い、遺体は大学に搬送されます。大学到着後は防腐処置（ホルマリン固定等）が施され、解剖実習まで丁重に安置されます。

葬儀のタイミングと形式

献体を行う場合、従来のようなお通夜や告別式を故人の遺体とともに行うことは難しくなります。遺体は速やかに大学へ引き取られてしまうため、火葬もその時点では行われません。ご遺族の対応としては大きく3つの選択肢があります:

1.献体前に略式の葬別を行う

遺体引渡しまでの短時間で、家族・親しい人のみでお別れの場を設けるケースです。病院の霊安室や自宅で簡単なお別れ会（納棺の儀程度）をしてから献体に出す方もいます。正式な通夜・葬儀は行わず、後述の「遺骨返還後」に改めて式を行うこともあります。

2.遺体なしで葬儀を行う

遺体は大学にある状態で、写真や遺影のみを飾って通夜・告別式を執り行う方法です。火葬や納棺は伴わないため、宗教者による読経や追悼式的な形になります。ご遺骨がないまま行う葬儀となりますが、亡くなって日が浅いうちに儀式を行えるメリットがあります。

3.遺骨の返還を待って葬儀を行う

献体後、大学から遺骨が返還されるのは死亡から約1年半～3年後と長期間になります。この返還を待ち、ご遺骨が戻ってから葬儀やお別れの会を行う方法です。それまでは四十九日法要など最低限の法要のみ行い、本格的な葬儀（あるいはお別れ会）は遺骨到着後に執り行う形です。時間が経っている分、式を簡略化する場合もあります。

4.葬儀を行わない

故人や家族の考えによっては、葬儀自体を省略し、大学からの遺骨返還後にそのまま納骨・散骨するケースもあります。近親者のみで集まりお別れする程度で、公的な葬儀式典を行わない選択肢です。費用負担を抑えたい場合や、故人が「自分の葬儀不要」と希望していた場合などに選ばれます。

大学での火葬と遺骨返還

提供されたご遺体は大学で解剖学実習などに使用されます。実習終了後、大学側で合同ではなく一人ずつ丁重に火葬されます。例えば兵庫医科大学では西宮市の火葬場で個別に火葬を行い、その後ご遺族代表へ遺骨を返還しています。遺骨返還までの期間は大学や状況によりますが、概ね1年半から3年程度かかります。早い場合でも1年、長い場合は数年に及ぶことを念頭に置いておきましょう。大学からは遺骨返還の時期が近づいた段階で連絡があり、日程調整の上、ご遺族へ遺骨と埋火葬許可証が手渡されます。

供養と慰霊祭

大学によっては、献体者の御霊を弔う慰霊祭（無宗教の追悼式）を毎年開催しています。医学を志す学生や教職員、遺族が集まり、故人への感謝と冥福を祈る式です。さらに大学によっては合同墓（慰霊碑）を設置し、遺族が希望すれば遺骨を大学で永代供養してくれる場合もあります。例えば兵庫医科大学では遺骨返還後、希望者については大学で一定期間安置した後、神戸市の慰霊碑に合葬して供養する制度があります。献体を行うと決めた場合、こうした大学側の供養のあり方についても事前に確認し、納得しておくと良いでしょう。

以上が献体時の葬儀の流れです。通常の葬儀との最大の違いは、「ご遺体が長期間戻らない」点と「火葬を大学側が執り行う」点にあります。そのため、生前に自身や家族がどのタイミング・形式で見送りの儀式を行うか考えておく必要があります。事前に家族と話し合い、「どの方法で葬儀をするか」「香典の扱いをどうするか（遺骨がない場合の香典返し等）」まで決めておくと、いざという時にスムーズです。

家族や遺族に求められる対応・留意点

臓器提供や献体を実現するには、家族・遺族の協力と対応が欠かせません。ここでは、ご家族が求められる主な対応や注意しておきたい点を整理します。

突然の連絡・承諾に備える

臓器提供の場合、本人が意思表示カードを携帯していても、実際の提供にはご家族の同意確認や署名が必要になることがあります。特に本人の意思が明確でない場合は家族の承諾次第で提供可否が決まるため、突然の問いかけにも慌てないよう心構えが必要です。献体の場合も、死亡後ただちに家族が提供先へ連絡し手続きを進める役割を担います。家族の誰が中心となって対応するか事前に決め、連絡先リストや必要書類を把握しておきましょう。

意思表示カード・献体登録証の所在確認

本人が用意した臓器提供意思表示カードや献体登録証の保管場所を家族が知っておくことは非常に重要です。例えば臓器提供カードは財布に入れておくケースが多いですが、入院時に持っていない可能性もあります。緊急時に備え、家族がすぐ見つけられる場所に保管したり、コピーを共有しておくと安心です。献体登録証も同様に、家族がすぐ取り出せる場所に置き、連絡すべき大学名・電話番号を周知しておきましょう。

臓器提供時の対応

臓器提供が可能な状況になった際、ご遺族は移植コーディネーターや医師から説明を受けます。提供される臓器の種類や手術時間、終了後の流れについて案内がありますので、落ち着いて対応してください。提供後は前述の通り遺体が戻りますが、一時的に警察の検死手続き等が入るケース（事故死の場合など）も考えられます。いずれにせよ数時間～半日程度で遺体と再会できるのが一般的です。その後は通常どおり納棺・葬儀の準備に入ります。精神的に動揺する場面ですが、「故人の意思で誰かの命が救われた」という事実はご遺族の心の支えにもなり得ます。周囲のサポートも受けながら乗り越えてください。

献体時の対応

献体の場合、ご家族の負担はさらに大きくなります。死亡直後から複数の手続きを行い、ご遺体を送り出すまで迅速に対応しなくてはなりません。具体的には死亡届の提出・火葬許可証の取得、大学への連絡、搬送業者への引継ぎ、書類署名などが続きます。これらは葬儀社が代行する通常の葬儀と比べ、家族自身が主体となる部分が多い点に留意が必要です。可能であれば事前に葬儀社にも献体予定であることを伝え、当日の進行について相談しておくと良いでしょう。最近は献体の手続きに詳しい葬儀社もあります。さらに献体後、遺骨が返るまで長期間遺族として区切りが付かない状態が続きます。節目の法要をどうするか、周囲への訃報連絡をいつどのように行うか（葬儀をしない場合など）といった点も悩むところです。菩提寺や親戚とも相談し、宗教的なケアや周囲の理解を得ることも心掛けましょう。

家族の心理的ケア

臓器提供や献体は尊い行為ですが、遺されたご家族の心情には複雑なものがあります。献体でお骨がしばらく戻らない場合、「きちんと送り出せなかった」という思いが残ることもあります。また臓器提供で故人の体にメスが入ることに抵抗を感じるご家族もいるでしょう。大切なのは故人の意思を尊重することですが、同時に残された人々の気持ちにも寄り添う必要があります。生前から家族みんなで話し合い、疑問や不安を共有しておくことで、実際の場面での心理的負担が軽減されます。提供後も、例えば臓器提供者の遺族には移植を受けた方から感謝の手紙が届く場合があり、それが心の救いになることもあります（日本臓器移植ネットワークではドナー家族へのケアも行っています）。献体者の遺族も、大学の慰霊祭に参加することで気持ちの整理が付くことがあります。家族のケアと故人の意思実現の両立を図るためにも、遠慮せず行政や関係機関のサポートを利用しましょう。

希望を実現するための事前手続きと意思表示の重要性

最後に、臓器提供や献体の希望を確実に実現するために、生前に準備しておくべきことと家族への意思表示の大切さをまとめます。

正式な手続きを完了させる

希望があるだけでは実現しません。臓器提供なら必ず意思表示カードの記入やインターネット登録を行いましょう。献体なら該当機関での登録手続きを済ませ、登録証を受け取っておく必要があります。いずれも生前の届け出が前提であり、亡くなってから「家族が申し出ても手遅れ」という場合が多いです。早めに行動に移しましょう。

書面やノートに残す

公的なカードや登録以外にも、自分のエンディングノートや遺言書に「臓器提供希望」「○○大学に献体登録済み」等を書き記しておくのも有効です。特にエンディングノートは家族が目にする機会も多いため、そうした欄に詳細を書いておけば家族へのメッセージにもなります。口頭で伝えにくい思いや理由も書き添えておくと、残された方々が迷ったときの助けになるでしょう。

家族への周知と話し合い

繰り返しになりますが、希望を叶えるには家族の理解と協力が不可欠です。本人がどんなに強く望んでいても、家族が全く知らされていなかった場合、戸惑いや反対から実現しないケースもありえます。そうした残念な結果にならないよう、普段から家族に自分の意思を伝えておくことが大切です。「一度、ご自身の考えやご家族の思いなどを話し合ってみましょう」との提案にもあるように、日頃から臓器提供や献体について話題にし、考えを共有する時間を持ちましょう。特に同居のご家族だけでなく、いざという時に駆けつける親族にも伝わっていると理想的です。

家族の同意取得

献体登録では家族の同意署名が求められる場合があります。事前手続きの段階で家族にもサインしてもらうことで、少なくとも主要な親族の理解は得た状態となります。臓器提供の場合は法的には本人意思が優先されますが、それでも家族の承諾や協力が現場で必要になる場面があります。「もしもの時はお願いね」と具体的に頼んでおくことで、家族も心構えができます。