身近な人が危篤や逝去の際に、インターネットで葬儀社や斎場を検索する方も多いのではないでしょうか。検索結果の上位に、全国の葬儀社や斎場の情報を掲載しているポータルサイトが表示されることがあります。
それらのサイトは「ネット系葬儀社」や「葬儀仲介サイト」呼ばれ、各社のサービスを介して全国の提携先に葬儀を依頼することができます。ただ、昨今は類似するサービスが乱立しており、特徴や料金体系を一目で理解するのは難しいのではないでしょうか?
そこで本記事では「葬儀仲介サイト」の中心的なサービスを紹介し、特徴や選び方のポイントを解説します。それらのサービスを上手に活用しながら情報収集を行い、故人や親族に相応しい葬儀を迎えられるよう解説していますので、ぜひ最後までご一読ください。
目次
「ネット系葬儀社」・「葬儀仲介サイト」とはなにか?
最近では、さまざまな背景を持つ企業が参入している葬儀仲介サイト。各社が差別化を図るためにさまざまな特色を打ち出しているため、比較する側のユーザーにとって少々分かりづらいものになっています。まずは全体像が把握できるように、各社のサービスを2つに分類します。
「葬儀仲介サイト」は大きく分けると2種類。違いを解説します!
現在、仲介サイトは後発の小規模な事業者も含めると、数十社がサービスを提供をしています。すべてのサービスを比較するのは困難ですが、そのほとんどが以下のいずれかに当てはまります。
1.統一プラン型:葬儀プランの価格や内容が全国どこでも同じになるサービス
例:「小さなお葬式」、「よりそうお葬式」
2.紹介(斡旋)型:葬儀社へ紹介や取次のみを行い、各葬儀社の独自プランで葬儀を執り行うサービス
例:「いい葬儀」、「安心葬儀」、「葬儀の口コミ」
もう少し細かい解説を付け加えると以下の表のようになります。
提供タイプ | 統一プラン型 | 紹介(斡旋)型 |
サービス名 (運営会社名) |
・小さなお葬式 (株式会社ユニクエスト)・よりそうお葬式 (株式会社よりそう) |
・いい葬儀 (株式会社鎌倉新書)・安心葬儀 (株式会社エス・エム・エス) ・葬儀の口コミ |
提供価格 | 一律の価格 (=どの葬儀社に依頼してもプラン価格が同じ) ※ただし、一部のオプションは葬儀社の独自価格の場合あり |
葬儀社それぞれの提供価格 (=依頼する葬儀社によって異なる) |
葬儀の内容 | どの葬儀社でも一律の内容 (=どの葬儀社に依頼しても同じ)※お花の種類や棺など、使用する物品に微妙な違いあり ※オプションは独自の内容になる場合あり |
各社が用意するプラン (=依頼する葬儀社によって異なる) |
細かな差はありますが、「サイトを通じて葬儀社の紹介を受けられる」点が共通で、「紹介を受けた葬儀社の独自プランかそうではないか」という点が大枠の違いです。
各社のサービス概要と特徴を簡単に解説
先に挙げた5つのサービスは、テレビCMなどでも見聞きしたことがあるのではないでしょうか?「聞いたことはあるけれど、各サービスの特徴や強みを知らない」という方がほとんどだと思いますので、まずはそれぞれのサービス概要や特徴について解説します。
統一プラン型:小さなお葬式
株式会社ユニクエストが運営する「小さなお葬式」は、国内最大級の受注実績を誇る仲介会社です。2022年度の受注件数は約78,000件と、業界全体を見渡しても随一の実績を誇ります。
直近では自社ブランドの葬儀斎場も運営するなど、ユーザーの動向や要望が新たなサービスにどんどん還元されています。取り扱い件数が多いことから、オペレーションが洗練されており、生前の問い合わせから納骨・遺品整理など一貫したサービスを高品質で受けられることが最大の特徴です。
統一プラン型:よりそうお葬式
「小さなお葬式」と二大ブランドに挙げられる「よりそうお葬式」は、株式会社よりそうが運営する葬儀サービスです。社名や、武田鉄矢さんらが出演するテレビCMに親しみを覚える方も多いのではないでしょうか。
業界最安水準の価格を打ち出しながらも、「返金保証」や「お別れ演出」などの独自サービスを提供しています。コールセンターの対応にも定評があり、担当者の対応に魅力を感じて「よりそうお葬式」を選んだというユーザーの声も少なくありません。お客様満足度94%も納得の、まさに社名を体現するような高い品質が特徴です。
紹介(斡旋)型:いい葬儀
東証プライム上場の株式会社鎌倉新書が運営する「いい葬儀」。紹介型の仲介サービスとしては国内最大級の実績を誇ります。同社が運営する「いいお墓」や「いい仏壇」などの周辺サービスは、単独のサービスとしても定評があり、終活領域全般に強い企業としてイメージが定着しています。
葬儀仲介サービスにおいては、提携各社の見積を最大3社まで取得することができるため、「膨大な数の見積を見比べるのは難しいけど、1社だけの見積だけでは不安」という方にお薦めのサービスと言えるでしょう。
紹介(斡旋)型:安心葬儀
鎌倉新書と同じく、東証プライムに上場する株式会社エス・エム・エスが運営する「安心葬儀」も主要サービスの一つです。後発ながらもメディアとしての充実度が高く、急成長を遂げています。
集客をする側の葬儀社の紹介ページが利便性が高く、他社サイトよりも葬儀社がアピールしたいポイントや担当者の特色が一目で分かりやすく表現されています。
複数企業から見積が取得できる点などは「いい葬儀」とほぼ同様のサービスですが、葬儀社の特徴やプラン、担当者の人柄に触れられるメディアとしての価値が評価され、多くの支持を獲得しているサービスです。
紹介(斡旋)型:葬儀の口コミ
葬儀の人材派遣などを手掛ける株式会社ディライトが運営する「葬儀の口コミ」。サイトを通じて仲介が行われるスタイルと葬儀社の独自プランが提供される点は、「いい葬儀」・「安心葬儀」と同様です。
しかし、サイトに表示されている電話番号に連絡をすると、オペレーターではなく葬儀社に直接つながる点が他の2社と異なり、最大の特徴です。
サイト上の口コミ・評判をもとに、ユーザーが直接葬儀社と話ができる、食べログのようなスタイルです。ユーザーが直接葬儀社の評価を見ながら、自分の意思や意図に沿って葬儀社を選択できる点がポイントです。
葬儀仲介サイトの活用方法
ここまで、各仲介サービスの概要と特徴を解説してきました。全体の概要は把握できたものの、これらのサイトはどのように活用すると良いのでしょうか?サービスの提供形態別に、活用方法と利用に向いている方について解説します。
統一プラン型の活用方法と利用に向いている方
「小さなお葬式」や「よりそうお葬式」は、予めプランの内容と価格が決まっているので、葬儀社ごとにそれらを比較する必要はありません。また、僧侶手配など、葬儀に必要なサービスも一括して依頼することができるため、葬儀手配に関して、ほとんどの工程を各社のコールセンターや提携先の葬儀社に任せることが可能です。
紹介(斡旋)型の活用方法と利用に向いている方
「いい葬儀」や「安心葬儀」は、自社プランは保有しておらず、提携葬儀社各社のプランで葬儀を行うことになります。複数の葬儀社から見積を取得した場合、細かな比較は少々手間にはなりますが、自分たちの意思で葬儀社を決定したという意識を持つことができます。情報収集の時間と手間はある程度圧縮したいが、葬儀の内容には独自性を持たせたいと考えている人に向いていると考えられます。
以上の内容をまとめると、以下のような形になります。
提供タイプ | 統一プラン型 | 紹介(斡旋)型 |
提携葬儀社の価格や内容の比較をする必要が | ない | ある |
利用に向いている方 | プランや金額の比較に時間や手間を掛けたくない方 | 複数の候補の中から、自分や周囲の人たちと比較検討したい方 |
インターネットで葬儀社や斎場を探す際の注意点
インターネットで葬儀社や斎場を探すことや仲介サービスを利用することは、ある程度一般的になっており、便利なサービスであると言えます。ただし、集めた情報をもとにどのサービスを選択するのか、最終的な判断はユーザーに委ねられます。後悔のない葬儀社選びをするために、知っておきたいポイントを3点紹介します。
1.複数のサイトを見て葬儀社の評判を確認する
葬儀社の評判は複数のサービスに目を通し、検証することが大切です。サイトによっては評判に偏りがあったり、古い情報が掲載されている場合もあります。できるだけ最新の情報を集め、故人や喪家に親身になって伴走してくれる葬儀社かどうかを見極めましょう。
2.返金保証などの規約はしっかりと目を通しておく
一部のサービスでは、葬儀・施行内容に満足がいかない場合の返金保証を謳っています。ただし、申告日に期限があったり、サービスの会員になっていないと返金が適用されないなど、細かい規定があります。条件を満たしていない場合には、返金保証の対象外とされてしまうケースもありますので、規定が適用されるかどうか事前に確認するようにしましょう。
3.できるだけ早い時期から情報収集をする
大切な方のご逝去は突然訪れますし、葬儀のことを事前に考える機会はタイミングを図ることが非常に難しいと思います。
しかし、不慣れなことを限られた時間の中で情報収集して、比較検討し、意思決定をするのは精神的にも相当な負担になります。また、大切な人を失って、普段と同じような判断が難しいケースが大半です。
そのため、「言った・言わない」で葬儀社との間でトラブルになったり、終わった後で葬儀社選びに後悔をするといった体験も頻繁に耳にします。葬儀に関する情報収集・比較検討は、お元気なうちから少しづつ行っておくことをお薦めします。
まとめ
葬儀仲介会社の比較、主要なサービスの紹介、向いている方の解説、注意点の説明を行ってまいりました。地元の葬儀社なども含め、できる限り時間に余裕のあるタイミングから情報収集をスタートし、後悔のない葬儀社選びをしていただきたいと思います。
一から情報を集めたり、比較検討したりするのが難しい・時間が取れないという方は、本記事で紹介した各サービスに問い合わせをされてはいかがでしょうか。