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自死で家族を亡くしたときの葬儀と心の備え

アイキャッチ

身近な人を自死で亡くした遺族は、突然の悲しみと混乱の中で葬儀の準備を進めなければなりません。

警察や役所への手続きに加え、死因をどのように周囲に伝えるか、偏見や周囲の好奇心からどのように自分たちを守るか、自責の念とどう向き合うかなど、自死には特有の悩みが加わります。

この記事では、僧侶や葬儀社への伝え方必要以上に公表しない工夫遺族の心を支える相談窓口の利用などを紹介します。さらに、過度な負担を抱え込まずに葬儀を進めるための心構えもお伝えします。

突然の死に直面したときの対応

ひざを抱える女性

身近な人の突然の死に直面したとき、遺族は深い悲しみと動揺の中でさまざまな手続きを進めなければなりません。現場で発見された場合や死因がはっきりしない場合には、警察の検視医師の検案など、通常とは異なる流れが発生します。

ここでは公的な対応の基本と、遺族が冷静に行動するためのポイントを整理します。

警察や医師による初期対応

突然の死を迎えた場合、まず救急や警察への連絡が必要です。警察官は事件性の有無を確認し、犯罪の可能性がなければ医師による検案が行われます。

死因が特定できない場合は行政解剖、事件性が疑われる場合は司法解剖となり、遺体の引き渡しに数日かかることもあります。この間に必要書類や印鑑を準備しておくと、その後の手続きを滞りなく進められます。

警察は事件性の確認、医師は死因の特定と書類の発行、葬儀社は搬送や日程調整を担うという流れを知っておくと先の見通しが立ち、落ち着いて行動できます。

死亡診断書と死体検案書の違い

葬儀の手続きを進めるうえで必要になるのが、死亡を証明する書類です。

医療機関で亡くなった場合と、自宅や屋外などで亡くなった場合とでは発行される書類が異なるため、それぞれの特徴を理解しておくと手続きがスムーズになります。

項目 内容
死亡診断書 医療機関の医師が発行。医療機関での自然死に交付。費用は原則無料で、公費補助はなし。
死体検案書 検案を担当した医師が発行。自宅や外出先での突然死などに交付。地域によっては数万円かかり、一部自治体では公費補助あり。

どちらも死亡届の提出火葬許可証の発行に必要です。とくに死体検案書は費用がかかることがあるため、地域の制度を事前に確認しておくと安心です。

また、原本を提出すると返却されないケースがあるため、手続き前に必ずコピーをとって保管しておくことをおすすめします。

葬儀に必要な書類と持ち物

葬儀の準備をスムーズに進めるには、事前の書類準備が大切です。

身分証・印鑑・死亡届・火葬許可申請書などの基本的な書類は、できるだけ早めにまとめておきましょう。また、保険証・通帳・故人の写真なども必要になることがあります。

遠方の親族への連絡手段を整理し、葬儀社や僧侶とも早めに相談すると、日程や費用の見通しも立てやすくなります。

こうした準備を家族で分担すれば、心身の負担も軽減できます。突然の状況だからこそ、焦らず一歩ずつ進める姿勢が大切です。

手続きを落ち着いて進めるために

検視や検案は、遺族にとって大きな負担ですが、死因の確認や法的手続きのために必要な過程です。

警察や医師の対応に時間がかかる場合でも、葬儀社や僧侶に早めに相談しておけば、その後の流れがスムーズになります。また、警察が紹介する葬儀社は料金が割高な場合もあるため、自分で複数社から見積もりを取ることも大切です。

慌ただしい状況の中でも、焦らず少しずつ準備を整えることが後悔のない対応につながります。
アイキャッチ 家族が突然死したらー警察の検視から葬儀までの流れと心構え

死因を伝えるときに心がけたいこと

電話をかける女性

大切な人を自死で亡くしたとき、死因をどう伝えるかは遺族にとって大きな悩みです。

正直に話すか、表現をやわらげるか、それとも伝えないか──その答えに正解はありません。まわりの視線や言葉に振り回されることで、遺族自身がさらに傷ついてしまうこともあります。

ここでは、伝える範囲言葉の工夫家族での話し合い方など、心を守りながら向き合うためのヒントを紹介します。

誰にどこまで伝えるか決める

死因をどこまで知らせるかは、遺族が自由に決めてよいことです。親しい親族や友人には事実を伝える場合もありますが、近所や職場には「急逝」「体調の悪化」などと説明するだけで十分なこともあります。

大切なのは、「説明しなければならない」と思い込まないことです。家族の中で基本的な方針を話し合い、言葉をそろえておけば、よけいな詮索や混乱を避けやすくなります。

心を守る言葉の選び方

「自殺」という言葉に抵抗を感じるときは、「不慮のこと」「急逝」などの柔らかな表現を選ぶこともできます。近しい人に伝える際も、故人の人柄や努力を尊重する言葉を添えることで、相手も受け止めやすくなります。

質問がつらいときは「詳細はお話しできません」と伝えてもかまいません。無理に全てを説明する必要はなく、自分の気持ちを守ることを優先してよいのです。

ご近所や職場への伝え方

地域や職場には、必要最低限の情報だけを伝えれば十分です。葬儀日程を知らせる場面があっても、死因を詳しく話す義務はありません。

職場では「身内の不幸」と伝えるだけで手続きできる場合が多く、詳しい説明は上司や人事担当だけにとどめて問題ありません。どうしても答えづらいときは、親族や信頼できる人に代わりに説明をお願いする方法もあります。

家族で考えをそろえる

遺族の間でも、死因をどのように伝えるかで意見が分かれることはあります。そのようなときは一方的に決めず、互いの気持ちを尊重しながら話し合うことが大切です。

家族で方針を共有しておけば、外部への対応も落ち着いて行えます。さらに、葬儀の準備や手続きの役割分担を決めておくことで、心身の負担も軽減できます。支え合うことで、悲しみの中でも心の安定が保ちやすくなります。

遺族が大切にすべきは、自分たちの心をどう守るかです。相手の期待に合わせて無理に説明する必要はありません。誠実に伝える相手と、最小限にとどめる相手を分けることで、余計な負担を減らすことができます。
守りたいものを家族で確認し合い、無理のない伝え方を選ぶことが、穏やかに過ごすための第一歩になります。

偏見や自責の気持ちに振り回されないために

耳をふさぐ女性

大切な人を自死で失った遺族は、突然の悲しみに加え、まわりの偏見無神経な言葉、そして「自分のせいではないか」という思いに苦しむことがあります。こうした重荷は心や体の不調につながり、孤立感を深めてしまうこともあります。

ここでは、社会に残る誤解やその影響、そして自責の気持ちとの向き合い方について、少しでも心を軽くするための視点を紹介します。

社会に残る思い込みへの向き合い方

今もなお、日本では自死に対して「弱さ」や「逃げ」といった偏った見方が根強く残っています。そうした言葉や態度に触れると、遺族は深く傷つき、周囲から孤立したように感じることもあります。

居心地の悪さや孤独感が強まるなかで、自分を責める気持ちに押しつぶされそうになる人も少なくありません。

だからこそ、まずは自分の気持ちを守ることを優先してよいのです。無理に受け止めようとせず、必要に応じて距離をとることも立派な選択です。

自責の気持ちとの向き合い方

大切な人を自死で亡くすと、「もっとできたことがあったのでは」と自分を責めてしまうのは自然な反応です。しかし実際には、自死の背景には精神的な問題だけでなく、過労・生活の困難・介護や育児の疲れ・いじめ・孤独など、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。[1]

それでも、自責の気持ちは簡単には消えないものです。周囲の目や言葉に心を閉ざし、自分だけを責め続けてしまうこともあります。

そんなときは自分の感情を守ることを意識し、安心できる人に打ち明けたり、支援先を頼ったりすることが大切です。心を少し休めるだけでも、次の一歩へと踏み出す力になります。
アイキャッチ 【悲しみをひとりで抱えないで】大切な人を亡くした悲しみを和らげるグリーフケア入門

相談窓口や支援先の利用

ハートとSOS

大切な人を自死で亡くした遺族のために、話を聞き、支えてくれる相談窓口が用意されています。ひとりで抱え込まず、まずは利用できる場所を把握しておくことが安心につながります。

匿名で相談できる機関も多く、状況に応じて安心して活用することができます。

相談先名 内容・特徴 利用方法 電話番号
全国自死遺族総合支援センター 専門相談員による電話・対面相談。家族向けの情報提供もあり 電話・対面
(要予約)
03-3261-4350
全国自死遺族連絡会 自死遺族同士の交流・体験共有。定期的な集まりやオンライン会も実施 HPから申込・地域の会に参加 022-717-5066
精神保健福祉センター(各自治体) グループミーティングや専門機関紹介など。自治体により内容・窓口は異なる 電話・窓口相談 各都道府県の福祉保健部門を参照
例:「東京都こころといのちのほっとナビ」
いのちの電話 緊急時や夜間も対応。心のSOSを受け止める支援窓口 電話 0570-783-556(ナビダイヤル)
※10時~22時/地域により24時間対応あり
よりそいホットライン 幅広い社会的困難(DV、外国語対応、LGBTQ等)にも対応 電話・チャット 0120-279-338(通話無料・24時間対応)

上記の窓口は、いずれも匿名での相談が可能です。関心を持った機関があれば、まずは案内先を確認してみてください。

こころを守るための距離感

偏見や無神経な言葉に出会ったとき、自分の心を守る行動は決して弱さではありません。しつこい問いかけには簡潔に答えるにとどめたり、会話を切り上げたりするのも立派な方法です。相手に悪意がなくても、自分がつらいと感じる場面では距離を置いても構いません。

気持ちが揺れ動いたときには、少し歩く、深呼吸をする、信頼できる人に話を聞いてもらうなど、日常に取り入れられるセルフケアが助けになります。「今は答えない」と判断することも、自分を守るための大切な選択肢です。

心の重荷を和らげる工夫

社会に残る偏見や、自分を責める気持ちは遺族にとって大きな負担になりますが、それを一人で抱え込む必要はありません。無理に正面から向き合うのではなく、正しい知識を持つ人共感してくれる人と関わることで、心を守りやすくなります。

気持ちを言葉にするのが難しいときは、日記に書き残したり、誰かと同じ空間で静かに過ごしたりするだけでも安心につながります。後悔や偏見に押しつぶされそうなときは、「助けを求めてもいい」と自分に許すことが、回復へ向かう大切な一歩になります。

宗教儀礼に込める思い

僧侶

自死で亡くなった場合の葬儀では、僧侶や神職への伝え方や宗教儀礼の進め方について、不安を感じる遺族も少なくありません。かつては自死に対して厳しい立場を取る宗派もありましたが、現在では多くの宗教者が遺族の思いに寄り添う姿勢を大切にしています。

ここでは、宗教者への伝え方宗派ごとの供養に対する考え方葬儀の形式祭壇の工夫について解説します。

僧侶への伝え方の工夫

自死の事実を僧侶にどう伝えるか悩む方は多いですが、すべてを細かく話す必要はありません。通夜や葬儀の依頼時に「詳細は伏せたいが、自死である」と簡潔に伝えるだけでも、僧侶は十分に理解して対応してくれます。

信仰や宗派の希望がある場合は、早めに相談して戒名や読経の内容を確認しておくと安心です。気持ちの整理がついていないときは、葬儀社のスタッフを通じて事情を伝えてもらう方法もあります。必要な配慮は遠慮なくお願いして構いません。

宗派ごとの供養の姿勢

宗派によって自死に対する考え方に違いはありますが、多くの寺院や宗教者は遺族の思いに寄り添った供養を行っています。

  • 仏教(浄土真宗など)
    葬儀や法要は通常どおり行われます。ただし戒名や読経の方法は寺院ごとに異なるため、事前に確認が必要です。
  • 神道
    古くは自死を「穢れ」とする古い考えがありましたが、今では柔軟に対応する神職も増えています。
  • キリスト教
    一部の教派では葬儀が行えない時期もありましたが、現在はカトリックを中心に自死者の葬儀を認める方針に変わっています。

いずれの宗教でも対応は地域や宗派によって異なるため、不安があるときは寺院や教会に相談して確認するとよいでしょう。

葬儀形式の選択

自死で亡くなった場合でも、葬儀の形式は基本的に一般的なものと変わりません。通夜や告別式を行う宗教葬のほか、近年では家族葬や無宗教のセレモニーも選ばれています。

たとえば、自宅や小規模ホールで行う家族葬は、限られた参列者で静かに故人を偲ぶことができ、遺族の心身の負担を軽くする選択肢になります。無宗教式では音楽を流したり、手紙や思い出の品を紹介するなど、自由な演出が可能です。

また、宗教儀式を省略しても、納骨や法要の際に僧侶に読経を依頼するなど、柔軟な供養もできます。

こうした多様な形式があるなかで、近年は葬儀社が提供するセットプランを利用する方も増えています。

たとえば小さなお葬式では、家族葬一日葬火葬式などのプランから幅広く選ぶことができます。遺族の希望に合わせて柔軟に対応してもらえるため、安心して準備が進められるのが特徴です。

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祭壇や戒名に関する考え方

祭壇は特別な形式でなく、通常の葬儀と同じように整えられます。白木の祭壇のほか、故人の趣味や人柄が伝わるような写真や花、小物を飾ることで、温かみのある空間が生まれます。

戒名を付けるかどうかは宗派によって異なりますが、僧侶と相談しながら無理のない形を選びましょう。

戒名料や祭壇の内容に不安がある場合は、予算や希望に応じて調整可能です。迷うときは僧侶や葬儀社にアドバイスを求めると、安心して準備を進められます。
アイキャッチ 戒名の種類と費用|位号ごとの意味と戒名料の相場完全ガイド

葬儀は僧侶や神職と相談しながら、無理のない範囲で準備を整えることが大切です。自死という事実に対して周囲の目が気になることもありますが、宗教儀礼を通じて気持ちに一区切りをつける機会にもなります。
丁寧なやりとりを重ねることで、遺族自身も少しずつ心の整理を進められるはずです。

遺族が歩み出すための心構え

支え合い

大切な人を自死で失うことは、言葉にできないほどの深い悲しみを伴います。手続きや葬儀の準備に追われ、気持ちが追いつかないまま時間だけが過ぎてしまうこともあります。

それでも、支援してくれる人や場とつながることで、重さを一人で抱え込まずにすむ瞬間が生まれます。

死因をどう伝えるか、どんな葬儀にするかに正解はありません。遺族が安心できる形を選ぶことが、故人を尊重することにもつながります。無理のない方法で故人を送り、心を守りながら少しずつ歩みを進めることが、やがて「生きていく力」へと変わっていくでしょう。

出典

    1. 厚生労働省「自殺総合対策大綱」p.1↩︎

参考リンク

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