家族葬と一般葬の比較完全ガイド

近年、お葬式のあり方が大きく変化し、家族葬を選ぶ方が半数を超えて一般葬を上回るようになっています。しかし、「家族葬は簡素すぎるのでは？」「費用は本当に安くなるの？」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

本記事では、家族葬と一般葬の費用を詳しく比較し、それぞれの特徴やメリットをご紹介します。

家族葬と一般葬の費用比較データ

お葬式の形式を選ぶ際、やはり気になるのが費用面での違いです。鎌倉新書の2024年調査^[1]によると、家族葬の平均費用は105.7万円、一般葬は161.3万円と約55万円の差があります。ただ、この数字だけでは見えてこない費用の内訳や、参列者数による違いもあります。

ここでは、実際のデータをもとに、それぞれの費用の仕組みについて詳しく見ていきましょう。

2024年最新データで見る費用相場

最新の調査データを見ると、お葬式費用は以下のような構造になっています。

家族葬と一般葬の費用比較

参列者数別費用相場の比較

この表を見ると参列者数30人前後を境に、家族葬・一般葬の選択が分かれていることがわかります。

つまり、想定される参列者数によって、自然と選ぶべき形式が決まってくるということです。20人程度までなら家族葬が適していますが、50人以上になると一般葬を検討した方が良いでしょう。30人前後が悩みどころですが、この場合は遺族の負担の大きさや故人の意向を重視して決めることをお勧めします。

このように参列者数を一つの目安にすることで、家族葬にするか一般葬にするか判断しやすくなります。まずは故人の人間関係を振り返り、どの程度の参列者が想定されるかを考えてみてください

費用だけでは決められないお葬式の価値

数字で見ると家族葬の方が費用を抑えられることが分かりますが、お葬式の価値は単純に費用だけでは決められません。故人への想いやご遺族の気持ち、参列者との関係性なども含めて、総合的に考えることが大切です。

ただ、参列者が30人前後の場合、どんな葬儀にしたらよいか迷う方も多くいます。そんなときは「小さなお葬式」のように、家族葬から一般葬まで幅広い実績をもつ葬儀社に相談するのがおすすめです。参列者数やご遺族の希望に合わせて最適なプランを提案してもらえるので、安心して準備を進められます。

家族葬のメリットと特徴

家族葬が選ばれる理由は、単に費用が安いからだけではありません。近しい人のみで温かなお別れの時間を過ごせるなど、一般葬とは違った魅力をもっています。

ここでは、家族葬のさまざまなメリットについて詳しく見ていきましょう。

故人とゆっくりお別れできる

家族葬の一番の魅力は、故人との最後の時間を大切にできることです。実際に、家族葬を選んだ理由として「故人とゆっくりお別れしたかった」という声が最も多く挙がっています。

家族だけの空間では、素直に悲しみを表現できます。大勢の前では涙を見せにくい方でも、身内だけなら自然な感情を表に出せるでしょう。故人との思い出を時間をかけて語り合ったり、故人の好きだった音楽や写真を自由に使った演出も可能です。

故人への感謝の気持ちをしっかりと伝えられる時間は、遺族にとって大きな心の支えになります。参列者への気遣いよりも故人との最後の時間を優先できることが、家族葬ならではの良さと言えるでしょう。
2025年7月1日家族葬のメリット、費用を抑えるコツ。相場は？香典と辞退についてまで

自由度の高いお葬式が行える

家族葬では、従来のお葬式の形にとらわれない自由な演出ができます。

釣りがお好きだった方には釣り道具を、音楽好きの方には楽器を祭壇に飾ることもできます。また、宗教的な制約を受けることなく、故人らしいお式を実現することも可能です。ご家族のペースに合わせて、ご高齢の方に配慮した短時間での実施もできるでしょう。

「よりそうお葬式」などの葬儀会社では、こうした自由度の高いプランニングに対応していて、故人の個性を活かした温かなお葬式を実現できます。形式にとらわれずに故人らしさを大切にしたお葬式は、参列者の心に深く残る思い出となるでしょう。

遺族の精神的・身体的な負担の軽減

家族葬は、遺族の負担を軽くできる点も大きなメリットです。お葬式は身体的にも精神的にも大きな負担になりがちですが、家族葬ではその負担を最小限に抑えることができます。

受付や挨拶回りの負担が軽く、招待状の作成や席次の調整も簡易にできます。少人数なので当日の進行も管理しやすく、遠方からの参列者が少ないため、宿泊手配や交通費の心配も軽減されます。

特にご高齢のご家族や体調面で不安のある方には、家族葬の負担軽減効果は大きな意味を持ちます。準備期間が短くて済むため、故人との最後の時間をより大切に過ごすことができるのです。

一般葬のメリットと特徴

一般葬は昔から行われてきた伝統的なお葬式の形式で、現代においても多くの方に選ばれ続けています。一般葬には、「多くの人と故人をお見送りできる」という、家族葬とは違った価値があります。

ここでは、一般葬が持つ意義と魅力について詳しく見ていきましょう。

故人の人生の豊かさを実感できる時間

一般葬の最大の特徴は、故人の人生に関わった多くの人が参列できることです。これは単なる儀式ではなく、故人の人生を振り返る大切な場になります。

職場の同僚、学生時代の友人、近所の方など様々な関係者が参列し、故人の幅広い人間関係を実感できます。参列者から聞く故人のエピソードで、ご家族も知らなかった故人の新たな一面を発見することもあります。また、故人の社会的な立場や貢献を多くの人と共有できる意味もあります。

参列者から聞く故人の思い出話はご家族にとって大きな慰めになり、故人の人生の豊かさを実感する貴重な機会になるのです。

お葬式後の対応がシンプル

一般葬では、お葬式の場で多くの方とお別れを済ませることができるため、その後の対応が比較的楽になります。これはご家族にとって大きなメリットになります。

お葬式に参列した方は改めて弔問に来ることは少なく、主要な関係者とはお葬式で挨拶を済ませているため、その後の挨拶回りの負担も軽くなります。お葬式後はゆっくりと故人を偲ぶ時間を持つことができ、心の整理をする時間も確保できます。

特にお仕事関係の方々への対応は、一般葬であればお葬式の場で完結することが多く、その後の職場復帰もスムーズになります。一方、家族葬の場合は、お葬式に参列できなかった方が後日個別に弔問に訪れることがあり、対応に時間を取られることがあります。

親族や周囲の理解を得やすい

一般葬は従来からのお葬式の形式であるため、親族や周囲の理解を得やすいという利点があります。これは、お葬式後のトラブルを避ける上で大切な要素になります。

多くの人が慣れ親しんだお葬式の形式のため、親族間での話し合いもスムーズに進むことが多いでしょう。また、故人の社会的地位に見合ったお葬式として、周囲からも受け入れられやすい傾向があります。

ただし、これは地域やご家族の考え方によって大きく変わります。最近では家族葬への理解も深まっていて、形式よりも故人の意向を尊重する傾向が強まっています。

後悔しないお葬式の選び方

家族葬と一般葬、そどちらにもメリットがあります。では、実際にどちらを選ぶべきなのでしょうか。ここでは、後悔しないお葬式選びの3つのポイントを分かりやすく解説します。

故人の想いを第一に考える

お葬式選びで最も大切なのは、故人がどのようなお葬式を望んでいたかです。生前に「身内だけで静かに」とおっしゃっていた方なら家族葬が適しているでしょう。逆に「みんなに見送られたい」とお話しされていた方なら一般葬が良いかもしれません。

故人が社交的で多くの人とのつながりを大切にしていた場合、一般葬の方が故人らしいお別れができるでしょう。ご家族との時間を大切にしていた方なら、家族葬がふさわしいと言えます。

エンディングノートなどで明確な希望が残されている場合は、その想いを最優先に考えましょう。
2025年4月18日はじめてのエンディングノート〜今から始める安心の備え〜

家族の状況に合わせて選択する

故人の意向と同じくらい大切なのが、ご家族の状況です。ご高齢の配偶者がいらっしゃる場合や体調に不安がある場合は、負担の軽い家族葬が適しています。また、経済的な事情も大切な判断材料になります。

家族葬と一般葬の適用場面比較

まずはこの表を参考に、ご家族の状況と照らし合わせて検討してみてください。

ただし、これは一般的な目安であり、絶対的な基準ではありません。ご家族の負担の大きさや意向を総合的に判断することが最も大切です。

信頼できる葬儀会社を選ぶ

葬儀会社選びは、満足度の高いお葬式を実現するための大切な要素です。見積もりの分かりやすさ、実績と評判、担当者の対応力を確認して選びましょう。

基本プランに含まれる内容と追加費用を明確に提示してくれる会社を選ぶことが大切です。また、家族葬・一般葬の実績数と利用者の評価も大切な判断材料になります。担当者が質問に対してていねいに説明し、柔軟な提案をしてくれるかどうかも確認しましょう。

複数の葬儀会社を効率的に比較したい方は、「安心葬儀」のような一括見積もりサービスを活用するのがおすすめです。事前にご相談することで、いざという時に慌てることなく適切な判断ができるでしょう。

故人らしい温かなお別れのために

お葬式は人生で何度も経験するものではありません。だからこそ事前に情報を集め、家族で話し合っておくことが大切です。

家族葬も一般葬も、それぞれに故人を偲ぶ大切な意味があります。費用や形式にとらわれすぎず、故人らしい温かなお別れの時間を過ごすことを優先しましょう。

いざという時に慌てることなく最適な選択ができるよう、今から準備を始めてみてはいかがでしょうか。

出典

• 鎌倉新書「お葬式に関する全国調査からみる葬儀費用の推移・変化」↩︎